コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
僕は寝てたみたい。お手洗いに行きたい。
「ママ〜!ママぁ!」
パパは…。
「大雅、ただいまぁ!ごめんごめん1人にさせちゃってね…!」
ママが帰ってきたけど、慌てている。
大雅はまたしてしまったのか。まぁ、仕方ないか…。
「ママ!お手洗い行きたい!」
「はいはい…」
僕は気づけばベッドで眠っていた。
「ママおはよう…!」
「大雅おはようー」
普段の日常では当たり前のことだけど、僕にはなんだか、懐かしく思えた。
パパはどうしたのか。パパがいない…。
「どうしたの大雅。」
「あのね、僕思ったんだ。僕のパパはどこにいるの?」
ママは息をのんでこう言った。
「パパはね〜遠い遠いお空で大雅とママのことをそーっと見守ってくれているのよ。」
「遠いお空って、会うのにどれくらい?」
ママはなんだか泣いちゃったみたいで、お鼻が真っ赤になって、顔はくしゃくしゃだった。今まで僕が見たことのない顔をしていて、驚いた。
「一生…かな?」
僕は「一生」がどれくらいなのか正直わからなかった。が、ママがこんなにも悲しいのならばと思い、この話はやめた。
ママはすっごく切り替えが早かった。
「さーて…朝ごはん食べよう!」
「はーい…」
僕はママにつきっきりじゃないと、ご飯を食べるのが難しい。食べ物を下に落とすと食べられなくなるからだ。
ママは食べ方を教えてくれた。スプーンは鉛筆の持ち方と同じらしい。鉛筆ってなんだろう。
朝ごはんを食べ終わったあと、
「お外でもらってきたお薬飲んで?」
と言われたけれど、なんだか、その言葉が怖くって、飲めなくて、泣いてしまった。そしたら、ママは諦めてくれた。
「お外の世界ってなに?」
「お外はものすごく広くってね。人がいーっぱいたくさんいるんだよ?」
「行きたーい!」
そんな他愛ない会話をママと一緒にするのが楽しかった。
今日はママは本を読むみたい。
僕に読み聞かせをしてほしかったけれど、だめだと言われた。
ママはなんだか真剣みたい。
「お薬を飲まないお子さんにはゼリーと一緒に…」
ゼリーってなんなんだろう?
ご飯の時間、今日はハンバーグ!だけど、
「お薬、今日こそはちゃんと飲むようにね!」
と言われてしょんぼりした。
ご飯の後、お薬の時間がやってきた。
「大雅、今日はゼリーってものと一緒にお薬飲もうね!」
ゼリーってなんだろう?ピンク色だ。
「大雅、桃大好きでしょ?桃のゼリーだよ〜!」
「マ、ママー!ゼリーってなに?」
ママは少し困った顔をして、
「おいしいおやつだよ…!」
と答えた。
僕は桃のゼリーをおいしく頬張った。
ママは僕が桃のゼリーを食べただけで、なぜか安心してるみたい。
ご飯を食べた後には、動物園に行ったよ。
前、僕は動物園にきて、ぞうさんときりんさんを見たらしいけど、覚えていないな〜
「大雅、今日はくまさん見よっか!」
「うん」
と僕は返事をしたけれど、くまさんってどういう動物なのか、正直わかんない。
「くまさんはね…」
ママがくまさんについて説明しようとしてた、そのとき、
ガラス越しにいたくまさんが僕に向かって走ってきた。
僕は咄嗟に逃げた。怖かった。
気づいたら…
ママがいなかった。
ママとはぐれてしまったみたい。
だけど、
僕はここがどこだかわかんない。怖い。
人混みの中で、僕は独りポツンと佇んでいる。
僕だけ時が止まっているように。
ママはとても心配しているだろう。僕も心配だ。
「大雅!どこなの?ねぇ、大雅!」
大雅がいない…。どうすればいいの!?
「どうかしました?」
「私、ちょっとどうしていいかわかんないんです!目を少し離した隙に、いなくなっちゃって…」
気が動転していて、うまく言葉にできなかった。
「ゆっくりでいいですから、落ち着いて喋りましょうか…」
ママは一体どこなんだろう。
走って走って、探そうとしたけれど、見つからない…
閉園のチャイムが鳴り響き、人が次々出口へと向かった。僕もどうしていいかわからなかったから、出口へと向かった。
動物園から出たはいいが、どうしていいかわからない。
ママはどんな服装をしてたんだっけ?家はどこにあるんだっけ?
なにもかもわからないけれど、とりあえず、歩くしかなかった。
日が沈み、だんたんと寒くなってきた。
だけど、僕は今帰る場所がない。どこかわからない。
僕は、公園のベンチに横たわり、気づけば眠っていた。
大雅はどこにいるのだろう?大雅の2日目の捜索が始まった。
動物園の中に大雅はまだいるはずだと聞いているけど、本当なのか不安になりながらも、必死に探した。
だけど、大雅はいない。
防犯カメラにも…!
写っていた。大雅の姿が。
園外に出たということは把握できたが、この広い街なら、すぐには見つけることができないと悟った。
大雅と一緒に動物園に訪れたことを、悔やんだ。
今、大雅はどこにいるのだろうか。
心配で心配で仕方ない。
ベ、ベンチに、僕が…横たわっている?
なぜだろう?あれ?ママがいない。僕は何をしていたんだろう?
ママはどこだ?今僕はどこにいるんだ?
昨日のことを思い出したいけれど、寝起きなのか、全く思い出せない…
ママ心配しているだろうな…。僕も早くママに会いたいよ…!
僕は、今とてもママに会いたくて仕方がない。