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 ズィナミは進めていた歩みを止め、レイブの瞳を真っ直ぐに見つめて言葉を続ける。


「そう、魔獣は血液を抜く事で侵入した魔力を体外に出せるし、ニンゲンは石化という一種の疾病として魔力をその部位に留めるでしょう? 実際、遥か昔には石化した部位を摘出していた事例も有った、そう言われているのよ」


「じゃあ竜は……」


「ええ、竜は惰眠と脱皮によって初期の症状を経験しなかった、そう言い伝えられているの…… 爬虫類や両生類を祖に持つ彼等は周囲の魔力を呼吸や捕食によって吸収した時、他の物質と同様に自分の内に取り込もうとしたのよ、酸素や水分、食料の様に自分の生命力に利用しようとしたの」


「…………」


「でも強過ぎる生命力は毒と同じ…… 本能的に排出しようとした竜達は自分の外殻、つまり全身を覆った鱗に魔力を帯び過ぎた細胞を集めて捨て去ろうとしたの、それが鱗が肥大化する理由だと言われているわ…… 次回の脱皮で不必要な魔力を脱ぎ捨てられるようにね」


「じゃ、じゃあ脱皮さえすれば良いんじゃ――――」


 レイブの疑問に答えたのはズィナミの話に頷いていたアスタロトである。


『竜は全て無力で無防備な新生児まで戻った事のある個体が元になっているからな、トラウマとでもいうのか…… 脱皮をしないんだよ…… それで丹波たんばあきらが考案した魔石の粉、確かタンバーキラーと呼んでいたかな? そいつで削り落としてやるようになったのさ…… だが』


 ズィナミは大きく一つ頷いて見せ、改めてレイブたちスリーマンセル、とりわけギレスラをじっくりと見つめてから言葉を引き継ぐ。


「限界まで肥大化した鱗は魔力を吸収し切れなくなる、そして過剰な魔力は竜種の肉体全てを侵して行くのよ…… 溢れ出した魔力をブレスで吐き出そうとし始めたら…… もう全身の生命力が外部から侵入した魔力に置き換えられてしまった、そう言う事なのよ…… だからっ!」


 そこまで言うと、ズィナミは一際厳しい表情を浮かべ、足を強く踏み出しながら言葉を続ける。


「全身が外部の魔力に満たされてしまった状況、それは最早モンスター、魔物と同じなの! そうなった竜を助けてあげる事など出来ない、不可能なの! だから…… だからっ、そこまで邪竜化が進んでしまった竜は魔術師や獣奴が、殺してあげるしかないのっ! それが彼等の尊厳を守る唯一の手段よっ! この地で竜に引導を渡すのは学院長である私の役目…… レイブ、ペトラ、ギレスラ、そこから離れていなさいっ!」


『おい、ズィナミとやら』


 覚悟を決めたズィナミを呼び止めたのはアスタロトであった。


「止めないでちょうだい! これは私の役目なのよ!」


『いやまあ、止める気はないのだがな…… 今お前『反射』のエリアから出たみたいなんだがぁ…… あれだぞ? そこらってまだ魔力が滅茶苦茶濃いから、多分お前石化すると思うんだがなぁ』


 シュバッ! シュタッタッタッ!


 アスタロトが言い終えると同時に、見事な無反動からのバク転、続くバク宙三連続で後方に戻ったズィナミは指先や足先、髪の先なんかを慌てて確認している、チェックは大切だもんな。


 自分達の上司、バストロ学院長の抜け目ない行動に、レイブ達スリーマンセルも念の為グルグルを慎重に繰り返している。

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

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