テラーノベル
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テントの奥へ足を踏み入れた瞬間、パァン! という破裂音とともに、頭上から紙吹雪が降ってきた。
「うわっ!?誰やねん、こんなドッキリ仕掛けたんは……!」
けど、紙吹雪に紛れて、小さなカードが一枚、
ひらひらと俺の手元に落ちてきた。
表には、
《WELCOME TO THE CIRCUS GAME!》
裏には、クレヨンで描いたみたいな丸っこい文字で、こう書いてある。
《だれかを見つけたいなら、まず はじめの道化師(ピエロ)を探せ》
「……いや俺、人探してへんで!?
てか“はじめの道化師”ってなんやねん。チュートリアル的存在か?」
誰もツッコむ相手がおらんから、自分でボケて自分でツッコむしかないやん。
なんか負けた気分や……。
カードに書かれた方向へ進むと、小さなテントがひとつ。
その前に、古びた三輪車がぽつんと置いてある。
「出た、ホラー映画でよう見るタイプのやつや……!?
あれやろ?勝手に動くパターンのアレやろ?」
そう思っていたら、
ギィ……ッ
って金属が軋む音とともに、三輪車がほんまに動き出した。
「ほらやっぱり!!誰か操作しとるんやろ!?出てこい!!」
三輪車はゆっくりと、俺の前に止まった。
座席に、道化師の赤い鼻が一個、ちょこんと置かれている。
その鼻には、小さくメモが挟まっていた。
《音をたどれ》
「……ヒント雑っ!!」
でも、テントの奥からかすかにオルガンの音が聞こえてくる。
サーカスっぽい楽しげな曲……のはずなのに、
今はどこか壊れかけのオルゴールみたいな、不気味さがあった。
「まぁでも、進めっちゅうことやんな。
しゃーない、行ったるわ!」
そう自分を鼓舞して、一歩踏み込んだとき——
パキ……ッ。
足元で何かを踏んだ。
見ると、古い写真の欠片やった。
写っているのは、
笑っているたっつん(俺)と、誰かの肩。
でも、その“誰か”の部分だけが破り取られて見えない。
「……なんやこれ。
なんで俺写ってんねん。」
胸の奥がズンっと重くなった。
思い出した覚えもないのに、
どこか懐かしい気配だけが、確かに残ってる。
そして、音の鳴る方へ進むにつれて、
写真の欠片が少しずつ増えていく。
テントの中央にたどり着いたとき、
古いピエロの人形が椅子に座っていて、その足元に——
**“完全な一枚の写真”**が置かれていた。
震える手で拾いあげる。
そこに写っていたのは、
サーカス衣装の俺と、
同じくサーカス衣装で満面の笑みを浮かべる——
『相棒』らしきシルエット。
だけど、写真の“相棒”の顔だけが、
絵の具で雑に塗りつぶされていた。
「……誰やねん、これ。
俺、こんな写真……知らんぞ?」
その瞬間——
背後でピエロ人形の首が、
ギギギ……ッ
と不自然な音を立てて回った。
見なくても分かる。
絶対ロクでもない流れだ。
そっと振り返る。
人形の胸元の札には、さっきまで無かった文字が浮かび上がっていた。
《相棒を忘れたのは、だぁれ?》
心臓が一気に冷えた。
「……っ、なに言うてんねん……!!」
まるで俺の“過去”を知っているみたいに、
ピエロの空洞の目がじっとこっちを向いていた。
次の瞬間、
テントの奥で大きなライトがパッとつき、
リングの中央に吊り下げられた一枚のカードが現れた。
そこに書かれた言葉は——
《次の試練:空中ブランコ》
《そこに“相棒の痕跡”がある》
「……相棒?
俺に相棒なんて……おったか?」
胸がざわつく。
知らないはずの誰かの存在が、
どんどん“確かやった気がする”方へと傾いていく。
「……行くしか、ないよな。」
俺は拳をグッと握りしめ、
次のアトラクションへと歩き出した。
サーカスは静かに、
まるで“思い出すのを待っていた”みたいだった。
コメント
1件
今回も楽しいお話ありがとうございました!!たっつんの相棒…だれのことだろう?…じゃっぴ…かな?…続き楽しみにしてます!!頑張ってください!