テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#不思議の国のアリス
ぴのん
1,288
1
#ご本家様とは一切関係ありません
ぬこ
114
🍌視点
次の日。
MENが、廊下の壁に寄りかかって笑っている。
向かいには井上がいて、少し頰を赤くして、でも目ははっきりとMENをみていた。
「……だからさ、昨日のメッセージ、めっちゃ嬉しかった」
井上の声は、柔らかくて、少し照れ臭そうで。
でも、隠しきれない好意が、言葉の端々から溢れていた。
MENはいつものように明るく笑って、後頭部を掻いている。
🐷「マジで? 俺、返信遅れてごめん。なんか緊張しちゃって…w」
「ううん、大丈夫。むしろ……MENが考えてくれてるって思ったら、嬉しいよ」
井上は、そう言って小さく笑った。
その笑顔は、明らかに「好きな人にみせる笑顔」だった。
ああ、分かってしまった。
井上は、MENのことが好きなんだ。
つまり、両思いだ。
両思いなら、もう俺には何の可能性も残っていない。
勝てない。
絶対に、勝てない。
MENの笑い声が、廊下に響く。
井上がMENになにか耳打ちしている。
MENは「バカ」と笑いながら、でも嬉しそうに笑う。
その光景が、あまりにも自然で、あまりにも幸せそうで。
俺は、そっと後ろに下がった。
音を立てないように、気配を消すように。
角を曲がった先で、ようやく息を吐き出した。
胸の奥が、冷たく締めつけられる。
両思い。
それが分かってしまった瞬間から、俺の中のほんの小さく残っていた希望は、静かに消えていった。
翌日の昼休み。
俺はいつも通り、教室の窓際の席で弁当を開けていた。
食欲はほとんどなかったけど、食べないとMENにまた心配される。
🐷「おんりー」
上から声がして、顔を上げるとMENが立っていた。
いつもの明るい笑顔。
🐷「昨日どうした? 廊下ですれ違ったとき、めっちゃ元気なかった気したんだけど。 何かあった?」
作り笑いを、顔に貼り付けて言った。
🍌「……大丈夫。ちょっと寝不足なだけ」
🐷「ほんと? 無理すんなよー」
MENはそう言って、隣の空いた椅子に腰を下ろした。
近くに来るだけで、胸がざわつく。
でも、もうそれは「好き」というより「痛み」に近い。
しばらく沈黙が流れた後、MENがぽつりと口を開いた。
🐷「なあ、おんりー」
🍌「ん?」
🐷「俺、今日の放課後……井上に告白するつもりなんだ」
手が、止まった。
箸が、弁当箱の縁に当たって小さく音を立てる。
🍌「……え」
🐷「昨日話してて、なんか確信したんだよ。 井上も、俺のこと嫌いじゃないみたいでさ。 このまま友達のままでいるの、もう限界かもって思って」
MENは少し照れ臭そうに頰を掻きながら、でも目は真剣だった。
無邪気で、真っ直ぐで、幸せそうで。
俺は、笑顔を崩さないように必死だった。
🍌「……そっか。いいんじゃない」
嘘だった。
いいわけがなかった。
告白なんて、してほしくない。
だって、してしまったら絶対に付き合うとわかっているから。
🐷「だろ?応援してくれよ。緊張するから」
🍌「……うん。応援してるね、!」
声が、自分でも驚くほど普通に出た。
でも、喉の奥が熱くて、視界の端が少し滲んでいる。
MENは満足そうに笑って、俺の肩を軽く叩いた。
🐷「ありがとな。おんりーが応援してくれると、なんか勇気出る」
以前は嬉しかった感覚が、今はただ冷たく刺さるだけだった。
MENが席を立って、教室を出ていく。
背中が遠ざかっていくのを、俺は黙って見送った。
両思いだと分かっていた。
それでも、どこかで「まだ時間がある」と思っていた自分がいた。
でも、もう、終わりだった。
長い長い片想いが、もうすぐ完全に終わる。
放課後。
俺は、校舎の裏にある木陰に立っていた。
ここからは、中庭のベンチがよく見える。
MENが、井上の前に立っていた。
いつもの明るい声が、風に乗って聞こえてくる。
🐷「俺、井上のことが好きだ。付き合ってください」
シンプルで、真っ直ぐな言葉。
井上は少し驚いたように目を見開き、それからゆっくりと頰を赤くして、小さく頷いた。
「……俺も好き!付き合おっ!」
その瞬間、MENの顔がぱあっと明るくなった。
井上も、嬉しそうに笑っている。
両思い。
予想通りの結末。
俺の胸が、静かに、でも確実に沈んでいく。
「……よかったね、MEN」
誰に言うでもなく、呟いた。
しばらくして、中庭から二人が歩き去るのを確認してから、俺は教室に戻った。
荷物をまとめて、早く帰ろうとしていたところに、後ろから足音がした。
🐷「おんりー!」
振り返ると、MENが息を切らしながら走ってきた。
顔は紅潮していて、目が輝いている。
今、一番見たくない人だった。
こんなことを思うのは、初めてだ。
🐷「今、井上に告白してきた! うまくいった! 付き合えることになったんだ!」
無邪気に、全力で嬉しそうに報告してくる。
その笑顔があまりにも眩しくて、俺は一瞬、何も言えなくなった。
気づいたら、涙がじわじわと出てきた。
泣く気なかったし、絶対に泣いちゃいけないと思ってたのに。
MENが表情を変えた。
🐷「……あれ? おんりー、涙目じゃない? どうした、?」
俺は慌てて後ろを向き、目元を袖で拭った。
🍌「……なんでもないよ」
🐷「嘘つけ。目、赤い」
🍌「……MENが幸せそうなのが、移ったんじゃない? うれし泣きだよ、うれし泣き」
声が、少し掠れていた。
それでも、俺は無理に笑って見せた。
MENは少し不思議そうな顔をしたけど、すぐにまた笑顔に戻った。
🐷「そっか。ありがとうな、おんりー。
お前が応援してくれたおかげだよ」
🍌「……よかったね」
俺はそう言って、ようやく前を向いた。
笑顔のまま。
MENは満足そうに手を振って、教室を出ていく。
背中が完全に見えなくなるまで、俺は動けなかった。
うれし泣き。
そんな嘘を、自分でも信じられないくらい上手に言えた。
えらい、えらいよ俺。
本音なんて言ったら、MENびっくりさせちゃうもんね。
その場しのぎの慰めを、心の中で唱えていた。
気づいたらすんごい重くなっていた
てか、この話更新するの久しぶりすぎますねwwwww
長いのに、全然ストーリー進んでないのが怖い
次回からは、明るい方向にちょっといけるはず…!
全然暗いままかもしれないですww
次の更新は早めにできる予定ですっ!
♡💬よろしくお願いします!
コメント
3件
見るの遅れました...泣 好きな人の付き合った報告聞くの絶対つらい....。 この後どうなるのか楽しみです!続き待ってます!
うわあ……胸が締め付けられる回だった……。「うれし泣き」って言い張る🍌の強がり、全部こっちに刺さったよ。MENが無邪気に報告に来るところとか、笑顔で「よかったね」って返すシーン、読んでるこっちまで息が苦しくなった。両思いだと分かってて祝福しなきゃいけないの、辛すぎる……。でも🍌の視点だからこそ、この切なさが刺さるんだよな。次回、明るい方向にいくのかな? それともまだ苦しい展開が続くのか……でもどっちにしろ読みたい。更新待ってる🔥