遥

-悠side-

隣の女がうるさい。

お前のシャーペンなんて触りたくもない。

媚びすぎだろ。

男なら誰でもいいくせに。

隣の悪口が島村ちゃんに向けてなのは分かる。

だから代わりに俺が

「ごめんね」

島村ちゃんに愛想笑いでかえされた。

悪口とか気にしない子なのかな。

悪いことしたかな。

「…くん、佐原くーん」

文化委員長の声で我にかえる。

自己紹介、俺の番か。

悠「2-Bの佐原悠でーす。まぁゆるーくやるんで。おなしゃーす」

いつものように笑って挨拶をして、席に着く。

これまで女はたくさん寄ってきた。

まぁ、俺も遊んでないとは言えないから人のことは言えないんだけどさ。

2年生の自己紹介が終わり、1年生の自己紹介。

凛「…涼風凛です。お願いします」

凛くんって言うのか。

かっこいい名前。

周りでヒソヒソと話し声が聞こえる。

でもみんな女子の声。

聞こえてくるのはあの1年男子に向けての悪口？陰口？みたいなもの。

こいつらこんなことしかやることねぇのかよ。

バンッ！！！！

うおっ、なんだ。びっくりした。

「1-Bの島村はるかです。よろしくお願いします」

…ふーん。

これはあれだ。

前言撤回。

完全に悪口とか怒るタイプね。