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#エルフ
桜井正宗@オートスキル1巻発売
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上野文
4,013
あのち
226
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第23話
今日は視察に周ってから帰る予定だ。
朝日を浴びて、いつもの服に着替えて部屋を出た。
「ロルフ。昨日はごめん……色々と、勢いで言ってしまって……」
「気にしないで。僕だってアニカに言われなかったら、今日こうやって話せなかったかもしれない」
……でも、この時の模範的な行動って何だろう?
「ロルフはいつも優しくて強いね。あれから、一年が経ったけど……ソフィーは今も戦っているの?」
「分からない。だけど、夢は見る。僕の見たことない、知らないソフィーが訴えている。だから、一刻も早く行かないといけない。大切な人はもう、失いたくない……」
「大切な人……」
え? アニカにもいる……?
いや、アニカも親を亡くしたばかり。そう感じるのも仕方無い……
でも、そういう大切な人は……いや、妄想は模範的な行動では無い。
それに、家族がいる人なら、分からない方がいい。誰一人家族がいなくなるなんて……
だから、僕は立ち上がれる。誰かがそんな思いをするのは正しくないから。僕が斬り伏せると誰かを護られたかもしれない。
アニカを護らないといけないのは重々承知の上でだけど、見捨てられない。僕の本心。決して、模範的と考えて出した答えではない。それは分かる。
「だから、僕は頑張れる。護らないといけない人と助けたい人がいるから。それに、期待してくれている人もいる」
「……私も頑張らないとね。期待外れの姫になるわけにはいかないし」
期待外れ……僕は、期待外れの騎士にならないように……模範的な行動と誰もが見ても正しく、間違いなく期待に応えられるように……
もう、できてないのかな……? 先輩にも後に入った人にもあんな風に言われるって事は、期待外れ……いや、気にしない。
でも、本当に期待外れだったら……もっと頑張らないと……
「出かけよう。今日は私も買いたい物があるの。手伝ってくれる?」
「買いたい物?」
お昼頃。
「こっちの弓と、この弓はどちらがいいのかな……?」
そう言ってアニカは弓を両手に持って首を傾げている。
……こっちは、アニカの撃ち方に合っているんじゃないかな……
でも、そっちは操作がしやすい。
……模範的な行動……
いや、姫に武器を……でも、僕が動け……いや、そんな事が無いように鍛錬をしている。
でも、何があるか分からない。これはいい判断なの……いや、普通に危ないし……
どっちなんだ? どっちが正しい判断なんだ?
「ロルフ? 何だか昨日から様子が変だけど……」
「あ、ごめん」
うん。やりたい事をやらせる。人としてだ。
「こっちの方が……」
僕は説明をするとアニカは興味津々で聞いてくれる。
「う〜ん……そしたら、こっちに決めた。ありがとう。私の我儘に付き合ってくれて」
「良かった。メンテナンスとかもするから、何かあったら直ぐ言って」
「ありがとう。貴方が護衛で良かった」
僕はその言葉で顔が真っ赤になったと思う。
顔をそらしたけど、アニカが微笑む声が聞こえた。
……アニカで良かった……でも、うん。情けない……
「僕もこの剣を一本買おうかな」
僕は照れ隠しに少し長めの剣を買った。
重心が掴みづらいけど、握りやすさとか、切れ味はそこそこだ。
こういう剣、少し使ってみたかったんだよね……
僕たちはその店を出たら王城へ向かった。
「ロルフは、その、ソフィーが言ってたまた来る大災厄が封印できたら、何をしたい?」
突然、空を見上げていたアニカがポツリと言った。
「何をって……分からないな」
「そっか……よし、私はこれから頑張らないといけないし、ソフィーにも頑張ってもらってるから、先の事より今だったね」
先の事より、今か……アニカはちゃんと自分のやるべき事を分かっているんだな……
僕もこの鈍感をどうにかしたいけど……どうにもできないから困ってるんだよね……
「……そうだね。僕もちゃんと使命を与えられてる身でありながらこんな感じだからな……頑張らないとね」
「ロルフは十分に頑張ってる……ソフィー、待ってて。辛かったり、苦しかったりするかもしれない。この世界の命運をソフィーに託しているようになっているけど、私もちゃんと使命を果たせるように頑張る。もう少しの辛抱だから、また笑い合いたい」
そう、アニカが空に向かって語りかけた。
世界の命運……そっか。僕たちには、その期待がかかっているのか……
そして、ソフィーにも……
やらないといけない事ははっきりとした。
アニカが使命を果たせるように護衛と援護をするのとソフィーを助ける。これが今、やらないといけない事。
「待ってて。僕も、助けに行くから」
僕も同じ方向を見あげてそう呟いた。
コメント
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こはるさん、第24話読了しました。ロルフの「模範的な行動とは何か」という迷いが本当に丁寧に書かれていて、彼の誠実さゆえの苦しさが伝わってきました。アニカが「貴方が護衛で良かった」と言った場面、ロルフが顔を赤らめるのも分かるなあ……。最後の、空を見上げてソフィーに語りかける二人の姿、静かだけど強い決意が感じられて、ぐっときました。続きが気になります!