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#エルフ
桜井正宗@オートスキル1巻発売
6,950
上野文
4,013
あのち
226
577
第24話
半年後。
私は力はまだ使えない。他の四人は淡々と強くなっていってる。
今日は、ロルフが約束してくれた、サンコウの木に連れて行ってくれる日。そして明日はロルフの十四歳の誕生日。
私が今日を希望した。ロルフは毎日、夜の予定は勉強だけと言ってたし、息抜きも大切だから、私はその日を選んだ。
「ほら、行こう」
そう、優しい声が私の鼓膜を振動させた。私は笑顔で大きく頷いて、外出証を見せてからサンコウの木へ向かった。
道中も馬の上から見る城下町の夜景は凄かったし、夜空も心を奪われる圧巻の景色だった。
私たちは、そんな町を抜けてサンコウの木へ着いた。
サンコウの木は満開で黄色い花は星のように見えた。
お母様……私は元気です。何もできない無能な姫だけど、お母様みたいに力を操れるように頑張りたいです。
私は誰にも聞こえない声でお母様に語りかけた。
……ロルフは何でもできる、凄い人。それだけはいつまで経っても変わらない。
勉強だって、武術だって、人柄だって良いし、強い。私が憧れるような、凄い素敵な人。
だけど、表情だけでは分からない。言葉も話す事は苦手意識あるみたいだし、分からない事だらけ。だけど、この星の一つのように、ちゃんと自分で光っている。
日をまたいだ頃、ロルフは馬を撫でながら寝かしつけていた。
「誕生日、おめでとう。いつも、ロルフといると楽しい。こんな風に、色々な所に連れて行ってくれたりして、新鮮」
私はそこまで言い切ったらロルフの顔を見た。
でも、いつも通り、ロルフは見ないでと言わんばかりに顔をそらしている。
「連れてきてくれてありがとう。用意してたんだけど、忘れてきちゃったから、後で渡すね」
彼はそらしていた顔を上げて頷いた。まだまだ赤いけど、そんな所があるロルフが優しい。
この人のようには、なれないかな。どこまでも優しくて、とても素直。
「ありがとう。僕、アニカの誕生日、知らなくて何もできてなかったけど……」
『もう、限界……』
そこまでロルフが言った時、ソフィーの声が聞こえた。直接鼓膜を震わしているようなそんな感覚。
そんな事を感じている間に星屑が黒い影に包まれた。そして、魔物を作り出すように黒いモヤが魔物の姿に変わった。
サンコウの木の前で倒れている女の子の姿も見えた。暗い中で誰だかは判断が難しい。
「ソフィー!」
隣でロルフがそう叫んだ。
え? もしかして、この子が……
「起きて、起きて……置いてかないで……目を覚まして……お願い、だから……」
泣きじゃくりながら、ロルフは女の子をさすっている。
「……うぅ……っ……」
ソフィーは唸るだけだ。
私が二人を見ているとロルフが急に弓を放った。
ドサッと鈍い音がして、振り向くと後ろの魔物が倒れた。
まずい、これじゃあ町も、ロルフも、ソフィーも……
「とりあえず、下がってて。一掃してから、走り出す」
私はロルフの背中に頷いてからソフィーに駆け寄った。
魔法をかけてからロルフの方を見るとロルフは次々と魔物を倒していく。強い魔物もいるのに、華麗な剣捌きで斬り伏せる。
でも、怪我をして段々鈍くなっている。
私は自分にも何かできないかと思ってキョロキョロしているとロルフが私の腕を掴んでから駆け出した。
「もうここは駄目だ。ソフィーは僕が連れっ!」
そこまで聞いた所でロルフに抱かれて暴風に巻き込まれた。
少しすると、私は目を覚ました。
立ち上がって周りを見渡すと、辺りはボロボロで二年前より、酷い惨状だ。
遠くに誰かが光を発しているように見えた。
「……アニカ!」
ソフィー!
「起き、たの?」
「うん! あれからどうだったの? お兄ちゃんは私に気がついたの?」
「気づいてたよ。それに、あれからは少し魔物が強くて、でも大きな事は無かった。ソフィー……心配したんだよ!」
私がそう言って抱きつくとソフィーは「え、あ、ちょっと」と言って後ろにのけぞった。
「あ、ごめん。でも、とっても心配かけたんだよ。兄妹揃ってて……ソフィー。光の家なの?」
「……うん。お母さんが死ぬ間際に私に囁いたの。『ソフィー。もしもの時は、自分の力で世界を守るのよ……』って。だから、お兄ちゃんは知らない」
「私はまた、戻るから、手伝えるなら、手伝って欲しい……」
「ごめん、私にはまだ、使えなくて……」
「そっか……って、危ない!」
そう言ってソフィーは私の前に立った。
ソフィーの前には真っ黒のモヤが沢山あった。
これ以上使うと体が保たないのに……私はソフィーの腕を掴んで自分の後ろに持っていった。
ごめんなさい……お父様、お母様、ロザンナ、マルコ、シルビオ……ロルフ……
私がそんな事を考えてソフィーの前に立っていると、周囲が眩く光った。
コメント
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みぅです🤍🥀 第25話、読ませてもらいました。 サンコウの木の下でのアニカとロルフのやり取り、すごく優しくてじんわりしました。ロルフが誕生日を照れながらも受け取ってくれる姿、可愛かったな。 でも、そこからの一変…ソフィーが倒れてるシーンは胸が苦しくなった。ロルフが泣きながら「置いてかないで」って叫ぶところ、本当に切なくて。守りたい人が目の前にいるのに、自分が倒れそうになってるっていう状況が重く響きました。 最後のアニカの覚悟の場面も、光の中にどうなっていくのか気になる終わり方でした。続き、すごく気になります🌙