テラーノベル
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新幹線に乗るとさすがにマナー面もあり皆静かに会話しだした。たまに小さな声で笑い声が上がったり等もあったが迷惑にならない声量だった。席は2:2:2:2で縦に並んでいる。前からウェンとカゲツ、マナとライ、俺とテツ、るべと小柳。それぞれが好きな話をしている。暫くすると後ろからの声が聞こえなくなってきた。眠そうにしていた小柳が寝たのかと思っていたがどうやら違うらしい。
「かわいーやつ。おやすみ」
後ろから聞こえたのは寝たと思っていたやつの声。寝たのはるべの方だった。テツも気がついたようで声には出ていないが意外、という顔をしていた。後ろに寝ている人がいることがあって小声だった声をさらに小声にして話していた。すると後ろからまた声が聞こえた。俺達に呼びかけており振り向く。
「何?」
「俺寝るから。着いたら起こしてくんね」
るべの頭を撫で乍らそう言う。やはり朝も早かったし眠いのか。まだ到着までは何時間とあるので別に寝ようが寝なかろうが自由だ。
「おん。ゆっくり休めよ」
さんきゅ、と言い終わるとすぐに寝てしまった。お互いがお互いにもたれかかって寝ている姿が普段のクールに振舞っている小柳と美人で生徒会以外では無口なるべからは想像ができずギャップで可愛い。思わず持っていたスマホで写真を撮ってしまう。
〰️
昼頃、目的地に着いた。相変わらず後ろのふたりは熟睡で起こすかと後ろを見た。だが、あまりにも気持ちが良さそうに眠るので起こすのを少し渋ってしまった。ウェン達にはもう先に行かせているのでここで変に遅れて何か言われたら恨まれかねない。ならばここでこの優雅な睡眠を妨害してまでも起こすべきなのだろう。はじめに名前を呼んでみる。小柳の方は起きたがるべは寝ている。小柳は2秒程度ぼーっとした後こちらを見る。
「おはよ」
「っす…、俺星導起こすから先行ってていいよ」
「ぇ?でも…」
いいから早く行け、と言わんばかりに見られている。代わりにトランク等を持って待たせている場所へ向かう。
〰️
寝ている間に目的の駅に着いたようだ。起こさたが暫くぼーっとしてしまった。着いて何分かは知らないが早めに降りなければ間に合わないかもしれない。リトとイッテツに早く降りるように促せば何を思ってか俺たちのトランクを持って行ってくれた。本当に感謝だ。横を見ればまだ優雅に寝ている者が1名。寝起きは中々に悪く度々、睡眠妨害が一番嫌いだと言われるのだ。旅行中に機嫌は損ねたくない。ここはどう言うべきなのか。一声かけてそれでも起きなかったら最悪抱き上げて移動すれば良いだろうか。正直、自分よりも身長が高いこいつを長々と抱き上げられる自信はない。精々2分程度だろうか。
「星導〜?起きろ」
肩を揺らしてみても起きない。もう一度声を掛けると瞼が微かに動く。チャンスだと思いもう一度肩を揺らしながら呼べば目を覚ました。明らかに不機嫌そうな顔も美しい。長いまつ毛にふっくらとした唇、普段より薄められた目は老若男女問わず魅了してしまうだろうか。
「着いた、?」
「着いた着いた。」
眠そうにゆっくりと聞いてくる。多分俺の言葉は頭に入っていない。
「動く気ある?ないなら運ぶけど」
「運んで、」
だろうなと思っていたので抱き上げて移動する。さすがにホームに着くと歩き出したので支えながら歩くことにした。どのくらい時間が食ったのかは分からないがかなり待たせてしまったかもしれない。ペースを合わせながらも急いで駆け寄ると意外と咎められることはなかった。代わりに星導に向かい眠そうという言葉がいく。当の本人は段々と意識が戻ってきたのかさっきよりもさっぱりとした顔をしていた。ここから温泉地はバスに乗った場所。かなり有名な場所で流行りに疎い俺でも知っていた場所だ。駅から離れ、バス停まで行くとちょうどバスが来る。そのバスへ乗れば暫く揺られることになる。
次は〜、@漣〜と機械的な声が流れる。ここが降りる場所だ。先程まで眠そうにしていたというのに外を眺める目はキラキラと輝いていた。バスが止まり、降りる。そこにはかなり広い宿。奥に温泉があるのだろう。ここら辺は山が多いので露天風呂なのだろうか。チェックインをすると部屋へ案内される。これもまた新幹線の時と同じメンツで別れる。荷物を片付け終わった時に丁度ご飯の時間になった。とりあえず集合と言われていた場所へ向かう。席へ着くとかなりの量が用意されていた。食堂はかなり広く、家族連れや観光客などが多い。8人全員が揃い食べ始める。栄養満点で量も多い。これこそ目の前のジムトレーナーは喜ぶだろう。食べるのが好きなので。かくいう俺も食べるのは好きだった。だがあまり皆の前では好んで食べない。どう思われるかも分からないので苦手だった。だがこの7人は例外だ。平気に食べることができる。食べる量にも自信があったので食べ進めていく。食べない人も意外と食べて、苦手なものは得意な人へとまわっていた。星導の方を見るとかなりお腹いっぱいそうな顔をしていた。大食い担当を自称するのにこういう時はあまり食べない。少食なカゲツよりも食べないのだ。それはもう大食いでは無いのかもしれない。仕方なく余っているものを少しずつ皿から取り口に運ぶ。自分の分は既に食べ終わっていたので皆が完食するのを待つためにもちょうど良かった。話すのに夢中なのか腹いっぱいなのかなかなか食べ進めない人が何人かいる。ゆっくり、ゆっくりと食べ進め、1時間を過ぎた頃にようやく完食した。皆で部屋へ続く廊下を歩きながら喋る。
「美味しかったね〜」
「あの肉まん最高だろ」
「おでんだろ」
「糸こんね〜」
「はんぺんのことかな?」
「あの水美味しかったな」
無意味な会話を繰り広げていると部屋の前へ来た。どうせ風呂も皆で入るのだ。部屋へ入り替えの下着等の最低限の物を持ち、星導を待ってから外へ出る。寝巻きは宿側が準備しているようだ。
コメント
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oh......すきすしすちすぴ