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私には兄がいる。血を分けた実の兄である。私は彼を愛していると言ってもいいくらいだが、もちろん家族としてであって恋愛の対象としては見ていない。
しかし、その兄のことを最近よく考えるのだ。なぜかといえば――ああもう、こんなこと書きたくないんだけど。つまり、私には好きな人ができた。それが彼氏の弟のSくんなのだ。
Sくんとは直接会ったことはないけれど、電話で話したりSNSでやり取りをしているうちに好きになってしまった。電話越しの声が好きだし、文字だけで送られてくるメッセージの内容にもドキドキさせられる。顔を見たらきっともっと好きになってしまうだろう。
「Sくんのこと好きなんだよね?」
親友のA子にそう言われてわたしはすぐに返事をした。
「うん」
A子は続けて言う。
「じゃあさ、告白したらいいじゃん」
そうだ。その通りだと思う。
だけど――。
わたしにはそれができない理由があった。
なぜなら、Sくんとの接点がひとつもないからだ。
同じことを繰り返すだけの人生なんてうんざりするわ。もうおしまいにしましょう。
この人生は終わるんだ。
わたしたちみんな死ぬしかないのよ。
あなたもいっしょに来るといいわ。
わたしたちといっしょに行きましょう。
この苦しみに満ちた世界から抜け出して、新しい世界に旅立とう。
新しい世界にはきっと楽しいことがたくさん待ってるはずだもの。
わたしたちが連れていってあげる。
だからお願い、一緒に来てちょうだい。
この世界の未来のために。
あなたがいればどんなことでもできる気がするの。
ねぇ、わたしを信じてくれるでしょう? ねぇ、愛していると言ってくれるよね? ぼくを愛していると言うまで離さないよ。
ねぇ、言ってみてよ。
ずっとここにいたいわ。
だってここは安全だし安心だもん。