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「うん…銀河は、正しいよね…。間違ってるのは、私の方だし……」
「正しいとか間違ってるとかいう話をしてるんじゃねぇって。周りの奴らに合わせたところで、めんどくさくなるのはおまえ自身だろ。
だったら、めんどくさくねぇ生き方をしろよって、そう言ってんだろ」
銀河の言葉が胸を深くえぐる。
「うん……わかってる……」
「……わかってるんなら、いつまでも泣いてんなよ」
私を元気づけようとして、多少強めな口調で言う銀河に、こくりと頷いた。
「だが……俺が、考え方を変えられたのも、影響を与えた奴がいたからだったしな…」
銀河が何かを思い出すようにそう言って、
「なんなら、俺がおまえの影響を与える男になってやってもいいけどな」
いつもの軽い調子で付け足すのに、
「……バカじゃないの」
軽口を返すと、やっと涙が止まるのを感じた。
「銀河なんかじゃ、役不足だもの……」
言って、照れくささに顔をそむける。
「そうかよ。また素直じゃない子供に逆戻りかよ。おまえって、ホントかわいくねぇのな」
「かわいくないとか、言われたくないし」
「そうですか…っと。まぁ、涙も引っ込んだみたいだから、これでいいことにしとくか」
と、銀河がニッと笑った──こちらを気にしてないふりで、しっかりと泣き止んだのまで気がついている彼に、
(もしかしたら銀河って、すごくいい人なんじゃないのかな……)
なんて、無意識に心惹かれている自分がいた……。
「……海、好きか?」
クルマを走らせていた銀河が、ふいにそう尋ねてきた。
「急に、どうしたの?」
「海に行こうかと思って。目的もなくドライブしてんのにも、ちょっと飽きただろ?」
「ああ…うん。嫌いじゃないけど…海」
「じゃあ、決まりなっ!」
と、銀河がアクセルを踏み込んだ──。
──海が近くなると、開け放した窓から潮の香りが車内に心地良く吹き込んだ。
運転席側に広がる海岸線に目を移すと、ハンドルを握る銀河の横顔が視界に入った。
その顔つきにふとかっこ良さを感じて、目が離せなくなる。
「……海、着いたぜ。少し降りてみるか?」
「あ…ああ、うん…」
彼に見とれていたことに気恥ずかしさを覚えて、ちょっとだけうつむき加減で頷いた。