テラーノベル
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「寒っ……」
緋八マナが肩をすくめる。
「言ったでしょ、もっと着込んでって」
伊波ライが笑う。
「いや、ここまでとは思わんやん」
息が白い。
完全に冬。
⸻
「はい」
「ん?」
マフラーをぐるっと巻かれる。
「……近いって」
「寒いんでしょ」
距離が一気に縮まる。
「……あったかい」
「でしょ?」
⸻
そのまま。
二人で同じマフラー状態。
「これ、ずるない?」
「いいでしょ」
「……まあ、ええけど」
⸻
歩くたびに、肩が触れる。
というか、ほぼくっついてる。
「マナ、手冷たい」
「しゃーないやろ」
「貸して」
そのまま手を握られる。
「……お前、ほんま自然やな」
「恋人だからね」
⸻
イルミネーション。
光が反射する。
「綺麗やな」
「うん」
でも。
視線は横。
⸻
「……なあ」
「ん?」
「こっち見て」
言われるまま顔を向けると。
すぐ近くにライの顔。
「……っ」
「寒いから、ね」
理由になってない。
⸻
軽く触れるキス。
冷えた空気の中で、やけに温かい。
「……外やぞ」
「暗いから大丈夫」
「適当やな」
⸻
でも。
「……まあ、ええか」
少しだけ笑う。
帰り道。
まだ繋いだ手。
ほどけない距離。
「冬、いいね」
「……悪ないな」
寒いはずなのに。
隣があったかいから。
それだけで、全部ちょうどよかった。
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