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「なあ、ライ」
緋八マナが、少しだけそわそわしながら言う。
「今日ってさ」
「うん?」
伊波ライが首を傾げる。
「……何の日か、覚えてる?」
一瞬の沈黙。
「……え」
「は?」
「えっと……」
目が泳いでる。
「……お前」
「あ、いや、待って」
焦るライ。
数秒後。
「付き合った日、だよね」
「……遅いわ」
でも。
ちゃんと覚えてた。
それだけで、少し安心する。
⸻
「どっか行く?」
「せやな」
「マナの行きたいとこ」
「……お前とおるならどこでもええ」
「それずるい」
笑われる。
でも本音や。
⸻
カフェ。
落ち着いた席。
「はい、これ」
差し出された小さな箱。
「……なんやこれ」
「開けてみて」
中には、シンプルなブレスレット。
「……」
言葉が出ない。
「ペアにしたくて」
「……お前」
優しすぎるやろ。
⸻
「ほら、つけて」
「……自分でやるわ」
「いいから」
手を取られる。
そのまま、そっとつけられる。
距離が近い。
「……ありがと」
小さく言う。
「どういたしまして」
⸻
「俺からもあるで」
「え?」
今度はマナが渡す番。
「……用意してたんだ」
「当たり前やろ」
開けると、同じようにシンプルなもの。
「……お揃いだ」
「せや」
⸻
「なあ、ライ」
「うん?」
「これからも」
少しだけ照れながら。
「よろしくな」
ライは、すぐに笑った。
「こちらこそ」
⸻
帰り道。
自然に繋がる手。
「記念日、いいね」
「……せやな」
また一つ。
大事な日が増えた。