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虚side
「それにしても依頼主さん、くしゃみすごかったね…」
「そうだな」
うちの探偵事務所に来た依頼主は30秒に一回はくしゃみをしてるんじゃないかという頻度でくしゃみをしていた。案の定花粉症のようだ。
メモは別にDMで送ってくれてもよかったのだが、依頼主は色々こだわりがあるのだろう。……知らないが。
「えっと…依頼主さんが来てたというスーパーはここ…ですかね?」
「ごめんなさい、私ここ周辺のことあんまり詳しくなくて」
まあ、別に俺も詳しいわけじゃないけどな。じゃないとコミュ障の俺が通行人にわざわざ道を訊いたりしない。
依頼主から渡された地図のメモと今来た道を照らし合わせる。
…特に違いはなさそうだ。
「そうっぽい」
「じゃあ、まずスーパーから探しましょうか」
「あの」
たまたま近くにいた、見るからに元気そうな女性店員に話しかける。
「はい!どうされましたか?」
「ティッシュ一箱とマスク一箱、忘れ物として預かってません…?」
店員は驚いたのか、目を見開いた。まあそりゃ忘れ物の癖が強いんだから驚くわなと思う。
…それは束の間、店員はさっきまでのにこにことした笑顔に表情を戻した。
「はい!かしこまりましたっ!ちょっと担当の方呼んできますね!少々お待ちくださいませ!!」
「佐々木さーん!!!!!」
言いながらバタバタとどこかへ行ってしまった。
…さてと。とりあえず待つしかないようだ。
なんとなく視線を右横に向けると、ポテトチップスがセールになっていた。だからなんだというわけではないが。
そうしてぼーっと眺めていると、結村が話しかけてくる。
「…そういえば、律華ちゃんって、ポテトチップス好きでしたよね?よかったら買っていきませんか?」
律華、か。…あまり思い出したくない名前を思い出してしまった。
「はぁ…?小鳥遊に?」
「最近大学頑張ってるみたいですし、モチベーション維持にも繋がるかなと」
あいつはそんなんでモチベーションなんてそう簡単には上がらないだろう。
「“最近は”だけどな」
結村はそうですね、と目を細め微笑する。
「買うか買わないかはご自由に」
その後自腹なら、とつけ足した。俺の金を人に使われるのが一番怠いから。…まあ、結村“は”そんなことをする奴じゃないと、とうの昔に知っているのだが。
それからは普通に、あまりにも好都合に、任務は完了した。
こんなに好都合に進む依頼は、一年に一回あるかないかぐらいだ。…ただ、経験上こんな依頼のあとは、一年に一回あるかないかぐらいの大変な依頼が来ているのだけれど。
はぁ…そうなると色々と怠くなる。そうならないことを祈ろう。
…そしてポテトチップスを入手した。別にどうってことはない。………いやマジか。あいつにあげたら調子乗るぞ?絶対に。この世の何よりも確信して言える。
依頼は解決したのに、ものすごい陰鬱だ。なんで俺が色々なことに四六時中悩まされなくてはいけないんだ。
…はは、それもそうか。俺がこんな探偵を選んでしまったのだから。
いいよ構わない、死ぬまで俺の発言の責任を背負って生きてやる。
mission completed.
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コメント
5件
忘れ物見つかって良かったね……😷😷😭 律華さんとの間に何があったんだろう🤔ポテチ…🤔 書き方好きです💘💘💘ルビの振り方が天才🫵🫵🫵
好 き だ ───── 書き方が超好き…天才すぎる… やばい、ポテチ食べたくなってきた。(は)
私が長文書けないせいで、結構シーンをぶっ飛ばすぜベイベーしてました(?)