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akn「 」
fw『』
他の人…()
注意
・卒業ライバー様が出てきます。
──後日──
ろふまおの収録後。事務所の廊下を歩いていると、見慣れた赤メッシュが目に入った。
すぐに明那だと気付きその名前を呼ぼうとした時、周りに何人かの人がいることに一拍遅れて気が付いた。
どうやら明那も七次元生徒会の収録後らしい。
後ろから聞こえるように大きな声で呼びかけると、明那がこちらに気付いたように振り向いた。
『あきな〜!!』
「…」
ん、?
明那は何も言わない。聞こえんかったかな?
そう思い、再度話しかけるとやっと返答が返ってきた。
『明那も収録?奇遇やな、俺もろふまお塾の収録でさー』
「…そうなんや。奇遇やね」
…やっぱりおかしい。
いつもの明那ならもっと満面の笑みで「え!?まじ!?めっちゃ偶然やん!」とでも言いそうなものだが。
それなのに、今の明那には普段のような笑顔は無く、どこか伏し目がちで、いつもの綺麗なスカイブルーの瞳がよく見えない。前髪で隠れていて表情も読み取りにくい。
どこか体調が悪いのかと聞こうと明那の腕を掴んだ時、近くから誰かの声が聞こえた。
(あれ、三枝ししょーとふわっちじゃん。ふわぐさで何してんの?)
声のした方を見ると、くろのわの二人が一緒に歩いているところだった。
明那の腕を掴んでいる俺の手を見て、葛葉が怪訝そうな顔をする。
その顔を見て、俺もその不自然な手をすぐに離した。
ちらりと明那の様子を横目で伺う。きっと俺の時みたいに真顔なのだろうなと思っていたのに、その顔は予想と反してキラキラと輝いていた。
「───あれっ!くろのわの二人やん!叶さんさっき楽屋に居たのにどこ行ったのかと思ったら…」
(あー…、さっき帰ろうとしたらたまたま葛葉と会ってさ。どうせなら一緒に帰ろっかなって)
「そうなんや!まじ仲ええな〜w」
『っえ、』
そんな俺の声も気にすることなく、目の前では会話が繰り広げられていく。
くろのわの二人が来た瞬間、さっきの俺への態度が嘘だったかのように豹変した明那。
まるで尻尾をブンブン振り回す犬かのような明那にただ呆然としていると、叶さんが俺の異変に気が付いた。
(あれ、ふわっちどしたの。今日元気ない?)
(それなー。いつものふわぐさてぇてぇ無いじゃん。毎回息をするようにイチャイチャしてんのに)
「……ふわっちどしたん?」
『え、あ、ああ…別に。なんでもないけど…』
「へー…。てか、俺用事あるからもう行くね」
(…行ってらー)
やっぱりさっきの態度の違いは勘違いなどではない。明らかに明那のこちらに対する態度が冷たい。
そのあまりの違いに流石にくろのわの二人も違和感を覚えたのか、叶さんが俺にこっそりといった感じで耳打ちした。
(…なんか今日の明那ふわっちにだけ冷たくない?喧嘩でもしたの?)
『え、えっと、喧嘩はしてない、はずなんすけどね…』
(はぁ〜〜??でもそれじゃあおかしくね?三枝ししょー明らかにふわっちにだけ態度変わってたじゃん)
こっちの方が聞きたいよ…と心の中で思いながらも喧嘩したという事実はないと再度弁明する。だって昨日は本当に喧嘩などしてないし、むしろ恋愛相談まで乗ってなかなかに仲が良かったと自分でも思ったのに。
そして翌日にはこの豹変っぷり。全く心当たりがないせいで余計不安になる。
もしかしたら俺が明那を好きで、明那の好きな人と明那がくっつかないように小細工をしたことがバレてしまったのかもしれない。
もしそうなら、最悪だ。ぜっっったいに嫌われた…。
あからさまにへこんだ俺をどう慰めれば良いか分からなかったのか、くろのわの二人もある程度「大丈夫だって!」と俺を励ましてから仲睦まじく帰って行った。
『あきな…俺なんかした…?』
そう独り言を呟くも、それを誰かが拾ってくれるはずもなく。
そして結局明那の態度の豹変の真相は分からないまま、その日は終わってしまった。
『明那!今日どっか一緒に…』
「ごめん…今日は予定があって!」
『今日通話でもせん?』
「今日も予定が…」
『あき…』
「ごめん!もうすぐ収録!」
あれから数週間が経った。が、明那の俺への態度は変わらず。
流石にここまで避けられてはこちらも何も出来ない。かと言って明確な理由が分からないから解決も望めないし…。 事態はどんどんと深刻な方へと進んでいる気がする。
あまりの現状の変わらなさに、俺も人に相談することにした。
『お願いや!明那の態度が突然変わった理由一緒に考えて!』
『───────まゆ!』
(……はぁ、どういうことなの…)
面倒臭そうにため息をついた目の前の男は黛灰。
俺の恋の良き理解者だ。今までも幾度となく俺の恋の相談に乗ってくれたまゆに、今回も相談させて貰うことにした。
説明を求める、みたいな顔をされて、今までのことを洗いざらい全て話すと、まゆは再びこめかみを抑えて固まってしまった。
(…不破くんは明那に「相手に冷たくしてみて」ってアドバイスしたんだよね…?)
『そうやけど…それがどしたん』
(それで翌日急に明那の態度が冷たくなったと…)
『そう!マジで何でやと思う!?やっぱ俺がわざと相手を遠ざけるようなアドバイスしてんのバレたんかな!?』
(なんでそこまで来て分かんないわけ?明那は……いや、言うのはやめとくか)
『?』
何かを言おうとしてやめた様子のまゆに首を傾げると、何で分かんないの、というふうにこちらを睨まれた。
(…明那もそうだけど、不破くんも思った以上に鈍感だよね)
『え?』
自分のことを鈍感なんて今まで思ったことがなかったのだけれど。むしろ普通よりは人の色んなところに気づくなと、そんな自負心があった。それなのにまゆは俺は鈍感だと言う。
(いや…鈍感っていうか、本命だけに鈍感というか…。まあとにかく、明那からの動きを待つしかないんじゃない?不破くんは明那の態度が急に冷たくなった理由が分からないんでしょ?)
『んー、やっぱそれしかないかぁ…。ありがとまゆ!気持ちの整理ついたわ!』
(…それはなにより)
最後までなにか言いたげだったまゆのことは気に掛かるが、今は明那のことのほうが大切だ。
そしてある日、やっと明那から例の恋愛相談について話が来た。
「ふわっち…。ぜんっぜんダメやった…!」
その日の明那はいつも通りで、ホッと胸を撫で下ろす。
良かった…。普通だ…。
『えー、まじ??これでも無理かぁ…。相手どんな感じやったん?』
「うーん、全然こっちを気にかけてるみたいな感じなかった…」
いや…、自分でやっといて何だが相手も本当にしぶといな。ここまでやって何の効果もなしとは、逆にどんなやつなのか興味が出る。
「それでさぁ…考えたんやけど、ふわっちだったら何されたら意識しちゃうとか無いん?」
『んぇ、おれ?』
「例えば!!例えばだからね!?」
『ん、?おん…知ってるけど』
謎に狼狽える明那を不思議に思いながら、自分がされて意識してしまうこと…と、考える。
これといったものは思いつかないが、まあ強いていうなら…。
『ん〜…。何かさりげないボディタッチとか、?よく分からん…』
「ふーん…さりげないボディタッチ…ね。…それ、やってみよっかな」
『え』
しまった、普通に答えてしまった。相手が嫌がるようなことをやらせなきゃいけんのに。
『っああでも!全然こっちに触らせてくれんとかもええかもな!逆にこっちから触りたくなるというか…』
我ながら無理のある軌道修正だと思いながらもそう叫ぶと、明那はくつくつと面白そうに笑う。
「ふわっちなんか必死すぎん…?wんふふ、ww
おもしろw
かわいーね、ふわっち」
『は』
その顔を見て、勝手に声が漏れる。
愛おしそうに細められたその瞳を見て、
にっと笑った口元を見て。
もう一回、キスしたい。
そんなことを思ってしまった。
この思いを隠すことなんか、最初から無理な話だったんだ。
『っ、明那、俺────────!』
プルルルルルル
「ん、電話…ごめんふわっち!ちょっと出てくる」
『えっ、あ…分かった』
雰囲気をぶち壊したその着信音が、喉まで出かかっていたその言葉をすんでのところで押さえ込んだ。
慌ただしそうに部屋を出ていった明那を待っていると、少しして明那が帰ってきた。
だけど、今回は前より大変そうだ。
「やっばいふわっち!!!俺今日大切な配達来るの忘れてた!!すぐ家戻らんと!じゃあまた!!」
『ん、え??ああ…、頑張って…』
物凄い速さで荷物をまとめて出て行った明那。
その後一人部屋に残された俺はポツンと佇む。
てか、毎回こんなんばっかだな…と考えながら、次こそは絶対にこの思いを伝えると心に決めた。
コメント
3件
ひゃぁあ🫶💞毎回思うんですけど話の切り方が上手すぎて尊敬します😭全話同じような長さで終わり方も綺麗すぎて… 🫰💞💞このお話を見るのが最近の楽しみです‼️‼️

ふわっち鈍感すぎるよぉ😭可愛くて好きですけどもっっっっ あきにゃ頑張って!