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僕の好きな彼女は基本的に…。
「好きだよ、める。」
「…は?」
言動がツンツンしている。
「今日もかわいいね。」
「気のせいでしょ。ちょっとは勉強に集中すれば?」
けれど。
「照れて目を合わさないのかわいいね。」
「そんなんじゃっ、ないし…っ。」
「かわい。…あぁ、かわいいって言われて照れてるんじゃなくて、勉強そっちのけで、僕と手をつないでることに照れてるのか!」
真っ赤な顔をして彼女は僕を見た。
「ちがうってばぁっ!!…さっきから、う、うるさい!!」
ツンツンしてる割に、嬉しいとか好きとか、隠しきれてないのが彼女の可愛いところ。
そんな彼女の反応を楽しむのが、最近の楽しみ。
今日は彼女の部屋で、勉強会だ。
「じゃあ言われた通り、勉強に集中するために…手繋ぐのやめよっか?」
「っ…!」
彼女の眉がぴくりと動いた。
「めるが勉強に集中出来なくなっちゃうもんね?」
彼女が座っている直ぐ側の床に、手をついて距離を詰める。
「う、あ、…。」
凄く悲しそうな、焦ったような顔をする彼女。
「…ね?」
楽しくなってしまう。
「だ、だめ…!」
思い通りに反応してくれるのが、あまりにも嬉しい。
「えぇ、でも勉強に集中したいんでしょ?僕にも集中してほしいんでしょ?」
「そう、だけど、ちがう、から…。」
彼女の目が泳ぐ。
僕はじっと見つめる。
「なーにー?」
目が合った。
「手、離さないで、繋いだままが、いいっ…。」
声は少し小さくて、震えていた。
「…。」
耳まで真っ赤にして、彼女は僕を見つめてくる。
あんまりに可愛くて、愛しさが溢れる。
「…勉強より、手、繋ぐのがいいっ!」
今度はさっきより、大きな声で言ってくれた。
可愛さに浸っているだけなのだが、何も言わない僕の反応が心配だったのか、念を押してくる彼女。
「も〜、かわいすぎ。いい子だね、ちゃんと言えたね。ずっと繋いでようね?」
愛でることを我慢できないし、やめられない。
繋いでないもう片方の手で彼女を撫でる。
「うん。」
小さく彼女は頷いて、照れて目を閉じている。
「あぁ、本当に可愛いね。かわいすぎる。める大好きだよ〜?」
頭を撫でて、それから横髪を耳にかける。
そのままそっと頬に手を添えて…。
「…っ」
静かに離れると、めるは目を見開いた。
顔をさっきよりも真っ赤にして僕を見る。
「目なんか、閉じるからだよ?」
「あぅ…。 」
抜けた声がまた可愛い。
「おかわりおねだりしたい子、いるかな? 」
「…っ。」
彼女は少し悩んで、また目を閉じた。
「こんなかわいい子前にして、キスしないでいられる人なんていないでしょ…。」
僕は少し微笑んだ。
「…んっ、…っ。」
照れてなのかわざとなのか、少し目を開けるのに時間がかかる彼女。
可愛くて、目を閉じていることを言い訳に、何度も唇を重ねてしまう。
そのたびに少し、体をビクつかせる彼女に口元がほころぶ。
「める、かわいいね。大好きだよー。」
彼女は照れて、俯いたまま固まってしまった。
これはきっと、反応が返ってくるようになるまで、時間がかかる。
愛でるのを我慢できずに、抱き寄せてしまう。
それからまた手を繋いで、もう片方の手で抱きしめて、擦り寄る。
「やばい、かわいー…。もう離してあげれないよ。」
その日は勉強そっちのけで、彼女を愛でた。