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「あ、やべ…財布落としちまった…」
華時 蒼弥、17歳。現在俺は友達から預かっていた財布を落として絶賛絶望しています。
「やべぇやべぇよ、次落としたらぶん殴るじゃすまねぇって言われたのに…うわぁ、俺の人生もここまでか…」
友達が戻ってくるまで残り10分ぐらいで見つけきれる気がしない、大人しく諦めるか交番行くか…
「ねぇキミ、もしかしてこの財布探してるの?」
えっ?と振り返ると小学生ぐらいの女の子が立っていた。
「わわっ!ありがとう、見つけてくれたんだね!いやぁ助かったぁ…!ふふ、ありがとうね。」
「ちょっと、子供扱いしないでくれる?私これでもキミと同じ年齢よ。」
え、えぇ…!?目玉が飛び出るほど驚くとはまさにこういうことか。いやぁ、人を見た目で判断するのは良くないなぁ。
「にしても、なんで俺が財布探してるって気づいたんだ?」
「財布落とすところ見たの。拾って声かけようとしたけど、キミがあまりにも仲間と楽しそうにつるんでるから声掛けずらかっただけ。」
集団に声かけるのが苦手なタイプか…。まぁ慣れない人達だと余計だよな。悪いことしてしまった気分だ。
「えっと、それでもありがとうな!この恩は一生忘れねぇよ!ところで、お前名前は?俺、華時蒼弥!━━━━高校の…」
「キミのことはよく知ってるよ。同じ高校、同じ学年、同じクラスだからね。ちなみに言っちゃえば席も隣だよ。」
驚きすぎて声が出ないってこういうことかぁ。てかこんな子見たことないし…本当か?
「疑ってんね。ほら、学生証と集合写真。」
…マジだった。
「でもお前、学校来てないよな。どうして?」
「…どうしてって、それ不登校の人に聞く?普通。これだから陽キャは…」
なんか悪口っぽいこと言われた気がしたけど多分気のせいだよな。よし!
「よしじゃないよ馬鹿。はぁ、相変わらず楽しそうなことで。まぁボクはお姉ちゃん以外興味ないから、キミと関わるのは今日までかもしれな…」
「お姉ちゃんいるの!?いいなぁ、俺は一人っ子だから羨ましいよ。なぁなぁ、お姉ちゃんの話色々聞かせてくれよ!姉妹ってどんな感じなんだ?」
「…これだから馬鹿は…」
うっ、また罵倒された…ま、いつもの事だしいっか!
「キミ友達いるでしょ?わざわざボクと話さなくてもいいじゃん。」
「いや、お前だから話したいんだ!あと財布拾ってくれた恩も返したいし…な、また話そうよ!」
「ふふ、これだから陽キャは。いいよ、そろそろ成績も不味いだろうし、明日は学校に行くよ。」
やったー!ここまで嬉しいことは久々だ。
「ほら、仲間が戻ってきたよ。また明日、学校でね。」
「おう!また明日〜!」
歩き去って行く小さな背中に手を振る。何気に初めて女の子と喋ったから正直めっちゃ緊張した。でも、優しそうな子でよかったなぁ。明日が楽しみだ!