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結子さんちの大掃除をしてシュークリームを食べてから別れた。年越しデート設定はそこで終了。


一緒に紅白を見てダラダラ過ごすことも想像した。だけどこれ以上は一緒にいられなかった。結子さんの魅力にあてられて、触れたくなってしまいそうだったからだ。


「なっさけねぇ……」


ぐっとこぶしを握る。

あ、寒いと思ったら手袋回収するの忘れた。俺の手袋は結子さんちで年越しか。くそ、羨まし……じゃない、手袋にまで嫉妬するとか俺の頭いかれてるかも。


近所のコンビニでインスタントのカップ蕎麦を買った。テレビでは紅白が始まったばかり。別に見なきゃいけないわけではないけど、なんとなく毎年流している。実に大晦日っぽい。


いつもと変わらない大晦日。

カップ蕎麦にお湯を入れて、年越し蕎麦の代わり。ダラダラ紅白を見ながら蕎麦を食べて、ながらで携帯電話でニュースを読んだりして時間が過ぎていく。


いつも通りなのに、寂寞感に打ちひしがれるのは昼間結子さんと過ごして楽しかったからなんだろう。


「……楽しかったよなぁ」


ずっと尊敬する先輩としてしか見ていなかった結子さんを、ここにきてこんなにも俺の頭の中を支配する存在になるとは思っても見なかった。


仕事上では頼りになる先輩なのに、プライベートではどうしてこう守ってあげたくなるんだろう。綺麗で可愛くて完璧で、それなのにどこか抜けてるとこもあって恥ずかしがり屋で……。


テレビから紅白が流れようがいつの間にか年を越していようが、そんなことは目に映る情報としてサラッと流れていく。


見えている情報とは裏腹に頭の中は結子さんのことでいっぱいで、俺って実はヤバいやつかもしれないと思いつつもその気持ちを消し去ることはできなかった。


重症だ。

わかってる。

俺は結子さんのことが好きだ。

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