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《私はアテナ・ゼーレ。色々訳あって男装して学園生活を送っていた。とあるきっかけで、私の男装は学園中にバレた。学園長は私の事情を聞いて学園にいさせてくれた。これは色んな波乱を乗り越えて私が幸せになるまでの物語…》〜オンボロ寮 談話室〜
ヴィルとジャミル、グリムが???達に攫われた
アテナ「ヴィル兄…。!まさか⁈」(急に走り出した)
ユウ「え⁈どこ行くんですか⁈」
アム「姉さん⁈姉さん!!」(追いかけた)
デュース「アム!アムまで行ってしまった」
エース「アテナ先輩、急にどうしたんだ⁈」
〜メインストリート〜
アテナ「ッ!流星の如く!(メテオール・スネル)…お願い。間に合って…!」(ユニーク魔法で速く走れるようになった)
〜教室〜
ズドン!!!!
アズール「うわっ⁈一体何事です?」
イデア「あーーっ!!今のゲーム、拙者の方が優勢だったのに!チェスの盤面グチャグチャ!」
アズール「そんな事言ってる場合ですか!絶対に緊急事態が発生していますよ!」
イデア「オルト、状況の解析を」
オルト「了解」
ピピピピピ…
オルト「ーーー学園の魔法結界にむけ、高出力の魔導ビームが照射された模様。現在、結界に複数の破損あり。敷地内に部外者の生体反応を複数確認」
アズール「侵入者…⁈」
イデア「人数は?」
オルト「現在15の生体反応を確認。また、上空に複数の熱源を感知。侵入者の数値は増加する可能性があります」
イデア「学園の障壁を破れる魔導ビーム…。侵入者の装備は?分かる範囲で」
オルト「高度・移動速度から箒、あるいは魔導を用いた飛行装置に塔乗。魔法弾、及び電気性魔導ビームが使用されてます。………移動ガジェットの性能、魔導エネルギーの回路の性質により、S.T.Y.X.『ステュークス』製と判断」
イデア「あー、最悪。…って事は、“渡し守”か」
アズール「貴方達は、何故そんなに落ち着いているんだ⁈つまり学園が外部から攻撃を受けている事でしょう!すぐに他の寮長と連携を…」
オルト「3機の飛行物体、急速に接近。約3秒後に接触します。3、2、1…」
ガシャーン!!
シュワアアア!
???「ノナ班、被検体Cを目視で捕捉。…イデア・シュラウド。ならびに魔導ヒューマノイド・ORTHO。同地点に確認」
アズール「…遅きに失したようですね。1年生は教室から退避!オクタヴィネル寮長の権限において、侵入者に…」
イデア「ストップ、アズール氏。抵抗しないで、大人しくした方がいい」
アズール「え?」
イデア「アイツらは特警班・『カローン』」
アズール「とくけい、カロ…えっ?」
イデア「S.T.Y.X.『ステュークス』の所有する特別魔導警備班・『カローン』。とりあえずマジカルペンから手を離して。手を頭の後ろに」
オルト「兄さんの推奨行動により、アズール・アーシェングロットさんが負傷する確率が約87%低下するよ」
アズール「……わ、かりました」
カローン班員A「対象の無条件降伏を確認。同行を要請します
イデア「………はぁ〜〜〜。あのさ〜、キミらちょっと乱暴すぎん?絶対いつか訴えられますぞ。第一、今回は“ファントム”じゃなく一応理性ある人間が相手なんだから、せめて話し合いから入るとかさ…」
カローン班員A「…作戦内容についての発言は、禁則事項とされています」
イデア「あー、出た出た。禁則事項」
カローン班員B「本部より、イデア様のS.T.Y.X.本部への帰還要請が出ています」
イデア「は?僕も?父さんと母さん、どっか行ってるの?」
カローン班員B「構成員の現在地についての情報開示は、禁則事項とされています」
イデア「はぁ…。りょ、…いや、了解。行くよオルト、着いてきて」
オルト「はぁい、兄さん」
アズール「イ、イデアさん。これはどういう事なんです⁈貴方は一体…」
イデア「詳しいことは後で説明する。なにもしないのが、この突発イベントの最善の攻略法ってこと。…あーあ、今日からスタートの推しキャラのランキングイベ、走る予定だったのに。最悪だ…」
???「…待てーーーー!!」
イデア、オルト、アズール「⁈」
イデア「ア、アテナ氏⁈」
アテナ「ヴィルさんやジャミルくん、グリムくんで飽きたらず、アズールくんとイデアさんも攫う気?私が許さないよ!!」
アム「姉さん!…ッ!カローン…!」
イデア、オルト「⁈」
アテナ「アズールくん、イデアさん。今助けます!!」(カローンに襲いかかった)
アム「姉さんダメ!そいつらは魔法が効かない!」
アテナ「知るか!!ヴィルさんとジャミルくんも返せ!!はぁーーー!!」
カローン1体を完全分解した
イデア、オルト、アズール「⁈」
アズール「ロ、ロボを分解した⁈」
オルト「あり得ない。どういう事?兄さん」
イデア「分からない。けど、今は」
カローンA「魔道ビーム、充電完了!ー発動!」
バリバリバリバリバリバリ!
アテナ「ッ!(かわそうとしたが、当たった)あ”ーーーー!!」(跪いた)
アム「姉さん!!(アテナに駆け寄った)姉さん、姉さん!」
アテナ「…うっ…アムは離れてな」
アム「でも!…ッ!…分かった」(少し離れた)
アテナ「…ハァ、ハァ…イデアさん達を、返せ…」
イデア「アテナ氏、やめて!アテナ氏!」
カローンA「魔道ビーム、再度充電完了!ー発動!」
バリバリバリバリバリバリ!
アテナ「あ”ーーーーーー!!…ッ!おまえ、も…ッ!(ギリギリでカローンAを腕だけ分解した)…ッ…」(倒れた)
アム「姉さん!(アテナに駆け寄った)しっかりして!姉さん!」
イデア「アテナ氏…!」
オルト「兄さん…」
イデア(アテナに駆け寄った)「アテナ氏!」
アテナ「…ッ…イデア、さん…。守れ、なくて、ごめ、ん…」(気絶した)
イデア「アテナ氏…(アテナをお姫様抱っこした)この子も連れて行く。アム氏も来て」
アズール「イデアさん⁈」
アム「いいけど、どうして?」
イデア「…なんか今離れちゃいけない気がするんだ…」
アム「…」
イデア「…」(アテナ氏、勝手にごめん…)
アテナはイデアに抱えられながら、イデア達と共に嘆きの島へ…
〜アテナの夢〜
アテナの母「いい?アテナ。貴女はあのお方をしっかりお支えするのよ?」
子どもアテナ「はい、お母様」
アテナの父「アテナ。あの方の良き理解者であり、あの方をしっかり守るんだよ」
子どもアテナ「はい、お父様」
アテナ(何?この記憶は…。私知らない。あの方って誰なの…?)
〜S.T.Y.X.研究場 個室〜
アテナ「…はっ!…ここは?皆は?」(夢から覚めた)
アム「!姉さん!良かった、目を覚ましたんだ。心配したよ」
アテナ「アム、ここは?」
アム「ここはS.T.Y.X.研究場の個室。この建物はイデアさんとオルトくんの実家」
アテナ「え⁈そうなの⁈」
アム「うん。姉さんはあの後、イデアさんに運ばれてここへ来たんだよ」
アテナ「そうなんだ…。あ!皆は無事⁈」
アム「無事だよ。彼らは情報と検査の為に連れてこられたんだ」
アテナ「…手荒な事してないよね?」
アム「してないよ。とりあえず、イデアさんの所行く?」
アテナ「…うん」
〜S.T.Y.X.研究場 廊下〜
アテナ「…服、用意してもらっちゃった。この服、なんだか…懐かしいような…この服ってここの仕事服?」
アム「そうみたい。S.T.Y.X.の人達は皆それを着てたよ」
アテナ「そっか。…アム」
アム「ん?」
アテナ「私達、ここに来るのは初めてよね?」
アム「うん、そうだよ」
アテナ「…だよね。なんか変な感じ…」
アム「…」
〜S.T.Y.X.研究場 指令室〜
アム「ここだよ」
アテナ「!イデアさ、」(つまづいた)
イデア「!アテナ氏!(すぐアテナを支えた)もう体は大丈夫なの?」
アテナ「はい。お手数をおかけしました」
イデア「いや、いいんだ。君が無事なら…」
アテナ「イデアさん…。そう言えば、皆さんはどこに?」
イデア「あー、ヴィル氏達は別の部屋にいるよ」
アテナ「!顔合わせできませんか?少しだけでも!その後、必ずお手伝いします!」
イデア「…分かった。でも、僕は今行けないからオルト、アム氏」
オルト、アム「はーい」
イデア「2人は同行させる。いいね?」
アテナ「!はい。ありがとうございます」
〜S.T.Y.X.研究場 廊下〜
オルト「アテナ・ゼーレさん、元気になって良かったよ」
アテナ「心配かけてごめんね」
オルト「大丈夫だよ。でも、結構寝てたね。体調は大丈夫?」
アテナ「大丈夫。ただ…(フラッシュバックした)長い夢を見てただけさ」
オルト「そっか。あ!ここが皆がいる所だよ」
〜S.T.Y.X.研究場 会議室〜
アテナ「ヴィル兄!」
ヴィル「アテナ⁈どうしてここに」
アテナ「色々あって私もここに連れて来られたの」
ヴィル「まさかアテナになんかしたの?💢」
オルト「してないよ」
アム「ヴィルさん。むしろ、姉さんの方が暴れたんだよ。それで魔道ビームでビリビリやられて」
アズール「ええ、あの時凄かったですよ。あのカローンを分解したんですから」
皆(アム、アテナ、アズール、オルト以外)「え⁈」
リドル「そうなのかい⁈アテナ」
アテナ「うん。なんか出来ちゃった」
ジャミル「よく軽々しく言えるな」
アテナ「あははは💧あ、オルトくん、アム。イデアさんのお手伝いに戻っていいよ。私が戻りたい時、連絡するから」
オルト「はーい」
アム「うん」
オルトとアムは行った
ヴィル「…アテナ。ここに来たって事は何かあるんでしょ?」
皆(ヴィルとアテナ以外)「?」
アテナ「察しがいいね、ヴィルさん。そうなの、ちょっと相談って感じ」
レオナ「相談?は!気楽なもんだな」
アテナ「内容は気楽じゃないけどね。…ヴィルさん」
ヴィル「何?」
アテナ「…内容はとても信じてもらえないかもしれない。私も色々とおぼろげなところがある。でも、感じたり見たりしたことは事実。それだけは信じて欲しい」
ヴィル「分かったわ。んで、内容は?」
アテナ「…私はここの…嘆きの島の住人かもしれない」
皆「⁈」
アズール「どういう事ですか⁈貴女はここ初めてのはずでしょ⁈」
アテナ「仰る通り。だけど、変なんだ。ここに来る前、個室からイデアさんの所へ行った時、違和感を覚えたの」
リドル「違和感?」
アテナ「この建物の景色、今着ている服の感覚、私は何故か懐かしいと思ってるんだ」
レオナ「へぇ?」
アテナ「何かは引っかかるけど、残念ながら私には記憶ないところがあるからここにいた記憶を引っ張り出せない」
ヴィル「!…まさか。アテナ、アタシと出会う前、ここにいた可能性があるのね」
アテナ「うん。てか、それしか考えられない。記憶ないのに魔法の痕跡が全然なかった」
ジャミル「痕跡がない…?」
アテナ「うん。ヴィルさんのお父さんに拾われた後、拾われる前の記憶ない私は検査したの。そしたら何もないって。もし、ここの技術によってそうなったとも考えられる。都合の良いのは分かるけど、正直ここは色んなものがあるからね」
レオナ「…仮にそうだとして、なんで今それを話した?」
アテナ「そうだね。ここに来て感じたってのもあるけど、私の夢も関係してるの」
アズール「夢、ですか?」
アテナ「うん。その夢の内容は幼い私は両親に何かを諭されてる。景色はここに似ていた。だから、私の故郷はここじゃないかって思って。でも…」
リドル「何かあったのかい?」
アテナ「夢の中で両親は“あの方”を守りなさいや支えなさいって言われたんだ。あの方って一体…」
ジャミル「守れって、てことはアテナは従者なのか?」
ヴィル「その線はあり得るわ。この子、昔ジャックを背負い投げしたことあるのよ」
皆(ヴィル以外)「え⁈」
アテナ「なんか体が覚えてたみたい」
ヴィル「それを9歳にしては完璧にこなしていたんだもの。尚更、教育されたんでしょうね」
レオナ「んじゃ、あの方ってのはあのカイワレ大根か?」
ヴィル「それもあり得るわね」
アテナ「え…?イデアさんが私の主人…?」
ヴィル「その可能性があるわ。アテナ、一応仮説よ。もし、本当だとしたら…アンタはどうして輝石の国の森にいたのか気になるわ」
アテナ「…」
ヴィル「だから、一旦そこで寝てなさい」
アテナ「…はい」(ソファの上で寝た)
レオナ「随分ご熱心だな」
ヴィル「勘違いしないで。アタシはアテナを家族として心配してんのよ。記憶ないとしても家族とは離れ離れにされた。もしくは、捨てられた。しかも、9歳の女の子が夜の森にいたのよ?とんだ話よ」
リドル「そうなんですか⁈アテナにそんな過去があったなんて…」
ヴィル「やっぱり。アンタ達、アテナのこと、そんなに聞いてないわね」
アズール「どういう事です?」
ヴィル「…アテナ、自分の事が嫌いなのよ。さっき話した事もそうだけど、この子、昔いじめられていたのよ」
皆(ヴィル以外)「⁈」
ヴィル「近所の子に血の瞳だとか呪われてるって言われ、アテナの綺麗な紅い瞳を馬鹿にされたのよ。それ以来からかしら。この子はあまり自分の事を話さない。話すとしたら、趣味ぐらいね」
ジャミル「そんな事が…」
ヴィル「だからかしらね。過保護だけど、アタシなりにこの子を守ってるのよ。幼馴染だけど、一応一緒に暮らしてきた家族なんだから」
〜アテナの夢〜
アテナの母「ああ…この子を産んだのが間違いだったかしら。まさかこんな罪を犯すなんて…」
子どもアテナ「お母様…」
アテナの父「なんてことしてくれたんだ!!あの方を傷つけただけではなく、優秀なアムとあの方の弟君まで…」
子どもアテナ「お父様…。ごめんなさい、ごめんなさい…!」
アテナ(罪?なんの事?苦しい…。誰か、助けて…!)
イデア「アテナ氏…アテナ氏!」
〜S.T.Y.X.研究場 会議室〜
イデア「アテナ氏…アテナ氏!」
アテナ(起きた)「…あれ?(横を見た)イデア、さん…?オルトくん、アムまで…」
イデア「良かった。君、うなされていたんだよ?」
アテナ「うなされ…そうだったんですか…」
ヴィル「びっくりしたわよ。急にうなされて起こそうとしたけど、揺らしても起きなかったのよ」
アム「だから、私達ヴィルさんに呼ばれて来たんだよ」
アテナ「そっか。ご迷惑をおかけしました」
イデア「いや、君が大丈夫ならいいんだ」
アテナ「…はい…ありがとう、ございます…」
アナウンス「ヒトサンマルマルより、被検体ROS_859A、SUS_3320Bのテストを開始します。現在、該当のファントムのケージを凍結解除中。職員の安全に万全を期するため、テスト終了まで館内の扉は全て施錠されます。館内を移動中の方は、速やかに管轄エリアにお戻りください」
アテナ「な、何?」
イデア「…今日はAクラスのファントムテストか。少し時間がかかるかもしれないな。というわけで、君らは今から2、3時間はこの部屋から外に出られません。各自適当に暇つぶしヨロ」
皆「ええ〜〜〜〜⁈」
しばらくして、オルトがタルタロスについて説明をした
アテナ「タル、タロス…」
アム「…」
オルト「アテナ・ゼーレさん、大丈夫?」
アテナ「う、うん。大丈夫…」(なんだろう。何か引っかかる。なんで…)
数分後、皆はゲームを楽しんでる
アテナ「え⁈ヴィル兄もやるの?うわ〜、ヴィル兄がゲームやるの見るの久しぶりかも」
アム「確かに!」
オルト(ヴィルにコントローラーを渡した)「では…」
イデア、オルト、アテナ、アム「遥か彼方の栄光を目指し、流星のように駆け抜けろ!」
ヴィルがゲームプレイ中
オルト「うまい、うまい!第1ステージのボスまで難なくクリアできたね!」
アテナ「ヴィル兄、凄い!」
ヴィル「プレイして気付いたけど…このゲーム、実写映画化されてない?このストーリー。おぼろげだけど、父と一緒に映画館で見た記憶がある」
アテナ「あー、そう言えばそうだったね」
イデア「マ?ヴィル氏とアテナ氏、実写映画見たの⁈」
ヴィル「あの映画、ゲーム原作だったのね。今日初めて知ったわ」
オルト「映画版は原作ゲームのファンから評価が高かったけど、原作を知らない一般層にもヒットして、『スター・ローグ』の名前を広めるきっかけになったんだ」
イデア「そうそう。映画をきっかけに、ゲームはさらに売上を伸ばし…ついに続編制作決定へ!」
オルト「でも…ゲームの続編制作決定と発表された直後、ゲームの開発チームが仲違いしちゃって」
イデア「マジで悲劇ですわ。シナリオライター、キャラクターデザイナー、ゲームプランナー、全員が揉めに揉めてゲーム会社を辞め、散り散りに…」
ヴィル「制作陣が誰も残らなかったんじゃ、続編を作っても別物になる可能性が高いわね」
イデア「そう。無理に別クリエイターを立ててまで続編を作らなかったゲーム会社のポリシーは評価できる。しかし、『スター・ローグ』の続編は永遠に叶わぬ夢となってしまったのであった…」
オルト「その流れで、実写映画の続編も凍結しちゃったみたい」
イデア「いつの日かまた神クリエイターたちが集結し、『スター・ローグ』の続編が発表される奇跡を、拙者はずっと夢見てるんでござるよ…。ウッ…」
アテナ「イデアさん…」
ヴィル「あら、夢見てるだけなの?」
イデア「え?」
ヴィル「そんなに好きなら、アンタが作ればいいじゃない」
イデア「はあ?」
レオナ「確かにな。シュラウド家の財を持ってすれば、クリエイターにギャラを払って再集結させられるだろ」
イデア「は、はぁ〜〜〜〜〜⁈分かってない!君たち全然分かってないっすわ!拙者は、クリエイターたちがこれは絶対に面白い!プレイヤーを楽しめてやるぞ!っていう熱い気持ちで作った『スター・ローグ』の続編がやりたいの!報酬で釣って、イヤイヤ作らせたものになんの価値があるんだよ」
アテナ「うんうん。分かる、分かるよイデアさん」
ジャミル「そういうものですか?」
イデア「そうだよ!これだからパンピーは!オタクの気持ち分かってないなぁ!」
ヴィル「アツくなってるところ悪いけど、アタシはそういう意味で作ればって言ったわけじゃないわよ」
イデア「へ?」
アテナ「ヴィルさん?」
ヴィル「手始めに散り散りになったクリエイターひとりひとりを訪ねて、アンタの暑苦しい情熱を伝えて回ってみたら?」
イデア「は…?」
ヴィル「続編に心待ちにしている熱烈ファンがいることを真剣に伝えれば、なにか変わるかもしれない」
イデア「そ、そんなの…過去に何度もファン有志が署名とか寄せ書きとかしてますし…」
ヴィル「それはアンタじゃなくて他の誰かがやった事でしょう。アンタ自身は何かアクションを起こしたの?」
イデア「む、無理無理。拙者1人が何かしたところで、どうにかなるわけないし…」
ヴィル「最初から無理だって決めつけてなにも行動を起こさなければ、可能性はずっとゼロのままよ。アタシなら、ゼロをゼロのままにしない」
オルト「……⁈」
アム「オルトくん…?」
ヴィル「ゼロには何をかけてもゼロのままでしょ?でも何かアクションを起こせば、0が0.001に変わるかもしれない。そして、0.001は100になれる可能性を秘めてるの。だったらやらない理由はないわ。『スター・ローグ』の主人公だって、ゼロからスタートして、最後はヒーローになる。そうよね?」
イデア「そりゃそうですけど、それは作り話ですし…。現実はそう上手くいかないでしょ。結局ゲームの制作陣だって、志半ばで解散しちゃってるわけだしさ」
ヴィル「ええ、アンタの言う通り。いつだって現実は厳しく、予定調和のハッピーエンドとはいかないわ。でも…だからこそ、ひっくり返せる未来(シナリオ)もあるはず。だってアタシ達、まだ18歳よ?諦めてエンドマークをつけるのには早過ぎる」
アテナ「ヴィルさん…」
イデア「で、でも、拙者にはそんなの…」
オルト「無理じゃないよ、兄さん!!」
イデア「へぁっ⁈」
オルト「学校の友達を家に呼んで一緒にゲームをするなんて、僕達には絵空事(フィクション)だってずっと思ってた。でも、こうして実現したんだもの」
アム「オルトくん…」
イデア「え、えぇ〜?だからさ、今回の友達を家に呼ぶのとはちょっと違うでしょ…」
オルト「僕、なんだか自分がやるべきことが少しだけ見えてきた気がするよ。ありがとう。ヴィル・シェーンハイトさん!」
ヴィル「?お礼言われるようなことは何もしてないけど…アンタがポジティブな気づきを得たんなら良いことね」
オルト「うん!」
イデア「お、おーい、オルト?拙者の話聞いてる…?」
リドル「やった!!最初のステージをクリアしたぞ!」
アテナ「おー👏」
オルト「あっ!リドル・ローズハートさんがイージーモードで冥界伝説の1面をクリアしたみたい」
イデア「なんと!コントローラーの上ボタンがなんだか分かっていなかったリドル氏が⁈」
アズール「それもこれも、ひとえに僕の根気強いアドバイスのおかげですよ。ねえリドルさん?」
リドル「君は横からあれこれと口を挟んでいただけじゃないか」
ヴィル「アンタ達、あれからずっとやり続けていたわけ?ちゃんと休憩は挟んだんでしょうね」
皆はワイワイし始めた
オルト「ゼロを、ゼロのままにしない…そうすれば…ひっくり返せる未来(シナリオ)も、ある…か」
アム「…」
アナウンス「ヒトサンマルマルより、被検体ROS_859A、SUS_3320Bのテストを全行程終了しました。該当ファントムのケージを凍結、収容完了。館内の全扉のロックを解除します」
イデア「あ、ようやくテストが終わったみたいっすな。ふぅ…やっとこの猛獣だらけの空間から解放される…」
ヴィル「なんだかんだ、あっという間の3時間だったわね」
レオナ「ふぁ〜あ…よく寝た」
ジャミル「レオナ先輩…よくあの騒ぎの中で眠れましたね」
リドル「うう…目をつぶると、川を流れる人魂がちらつく…」
アズール「僕はゲームの実況動画がエンタメとして成立する理由が少し分かった気がします。もう少しでクリアだというところで、ミスをした時のリドルさんの叫び声ときたら…思い出しただけでも…フフフッ!」
イデア「それじゃ皆さん、各自個室に戻ってクダサイ。明日朝8時には、学園へ向けて出発する予定なんで…。それまで大人しくしといて。…あ、そうだ。ヴィル氏。ちょっと話があるから残ってくれる?」
ヴィル「アタシにだけ?構わないけど…」
アテナ「?」
ヴィル「ルークとエペルが、嘆きの島まで追いかけて来た⁈」
イデア「しかも、ユウ氏まで巻き込んでね」
アテナ「え⁈」
ヴィル「ユウまで⁈冗談でしょう⁈」
イデア「冗談だったらどんだけ良かったか。恐らくルーク氏達の襲来はS.T.Y.X.始まって以来の珍事として後世に語り継がれますぞ」
ヴィル「あの子達、なんだってそんな無茶を…まさか、アタシを助けだすために?」
イデア「オルト、ルーク氏から預かったもの出して」
オルト「了解(出した)はい。ヴィル・シェーンハイトさん愛用のスキンケア用品一式!」
ヴィル「…は?」
アテナ「え、え⁈まさかスキンケア用品をヴィルさんに渡す為に来たの⁈」
イデア「だよね?やっぱその反応になるよね?嘆きの島まで箒1本で乗り込んで来て…ヴィルにこれを!って化粧品を渡された時には、S.T.Y.X.一同完全にフリーズしましたわ」
アテナ「うわ〜。でも、なんかルーク先輩らしい〜」
オルト「我が盟友ヴィルの危急存亡のとき!ってね」
アム「ルークさん、そんな事言ったんだ」
ヴィル「……ふっ、あはははははは!!!あの子達を抱きしめてキスしたあと、ビンタしてやりたい気持ちよ」
アテナ「いや、どんな気持ちなのそれ…」
ヴィル「ルークの突飛な行動には慣れたつもりでいたけど、今回は流石に驚いた。しかも、エペルやユウまで来てるなんて!待機しろって言ったはずなのに。全く、全然言うことを聞きゃしない。自分達がどれだけ馬鹿な事をしたのか、学園に戻ったらみっちり説教してやらないと。でも、せっかく持ってきてくれたんだものね。ありがたく受け取るわ。…あら?この美容液…」
アテナ「!」
アム「?」
オルト「どうかした?」
ヴィル「いえ、大したことじゃないわ。普段使いのものじゃなく、“特別なおまじない”が込められたスペシャルケア用を持って来たみたい。カローン達に乱暴に連れ去られたのを見て…とんでもなく劣悪な状況に置かれてると考えたのかもしれないわ」
オルト「カローン達と戦っても勝ち目がないって分かってたはずなのに、それでも追いかけてくるなんて…ルークさん達は本当に友達想いなんだね」
イデア「いや、友達想いで済むレベルか?普通に怖いんですが…」
ヴィル「ふっ。確かにクセは強いけど、慣れれば裏表なくて付き合いやすい男よ、ルークは。裏表がなさすぎてデリカシーがないのが玉に瑕だけど。…おかげで来週に控えた雑誌のカヴァー撮影には、最高のコンディションで挑めそう」
アテナ「良かったですね、ヴィルさん」
ヴィル「ええ。外部から被検体への差し入れを許可するなんて、きっと顔見知り特権よね?感謝するわ、ボス」
イデア「別に。吠えまくる猛獣をなだめるためのジャーキーを与えただけにすぎないんで」
ヴィル「本当にいちいち腹が立つ言い方をしてくるわね、アンタ。話が終わりなら、アタシは部屋に戻らせてもらうわ」
イデア「ハイ。乙でーす…」
アテナ(あの美容液って…)
イデア「あい、こちらイデア・シュラウド」
オペレーター「所長代理。ケースナンバーLOD-627へ適応される『レテの河』についてのご報告です。現在88%チャージ完了。本日フタゼロマルマル、本部に収容されている被検体A〜E、そして賢者の島全域、その他関係者への使用が可能となる予定です。インターネット上へ流出した情報については、現在情報対策班・ムネーモシュネーが対応しています」
イデア「はい、お疲れさん。じゃあ洪水を起こすのは0時にしよう」
オペレーター「了解。賢者の島へはヘキサ班が出動予定です」
イデア「了解。あー、そうだ。ナイトレイブンカレッジには、茨の谷の次期当主マレウス・ドラコニアが滞在してる。妖精は『レテ』の効き方に差があるはずだから、注意して調整して。あのへんのご長寿な種族が知ってて当然の情報まで押し流したらまずい」
オペレーター「了解」
オルト「…『レテの河』使ったら、皆S.T.Y.X.のことを忘れちゃうんだよね」
イデア「そう。いくらS.T.Y.X.の技術をもってしても、時間を巻き戻すことはできない。だから、『レテの河』を使って強制的に、齟齬の出ない範疇で記憶を書き換えるんだ。被検体A〜Eの5名の記憶は、英雄の国の大学病院に特別要請を受け、ブロットに関する調査に協力したことに変わる。嘆きの島へ連れ去られて、戻って来た魔法士がいない…なんて言われてるけど…行ったこと自体を忘れちゃうんだから、戻ってくるわけがないんですわ」
アテナ「…レテの河…」
オルト「……皆と一緒にゲームしたことも、忘れちゃうの?」
イデア「当然だろ。拙者に対しての認識も、S.T.Y.X.所長代理じゃなく、ただの引きこもりの根暗オタクに戻る。あ、それはここでのことを覚えても変わらんか。フヒッ!」
オルト「…」
イデア「…オルト?」
オルト「…えっ?」
イデア「さっきから少し様子がおかしいけど、どこか調子悪い?魔導回路か、リアクターに不調があったりするのかな…念の為にメンテしようか?」
オルト「ううん!ボディのどこにも不調はないよ。兄さんのメンテはいつも通り完璧。普段あまりしないことを経験したから、メモリの処理に時間がかかってるのかも」
イデア「そう?ならいいけど…」
オルト「僕、研修施設のルークさん達の様子を見てくるね。ちゃんとヴィルさんに化粧品を渡したよってことも伝えてくるよ」
イデア「ああ、うん。いってら」
オルトは行った
アム「あ!私も!」(オルトを追いかけた)
イデア「オルト…?」
アテナ「アム、どうしたんだろう?」(それになんだろう。なんか…胸騒ぎがする…)
イデア「アテナ氏?」
アテナ「な、なんでもないです。お手伝いします」
イデア「ありがとう」
〜S.T.Y.X.研究場 個室〜
イデア「はぁ〜…問題児達の検査、ようやく全行程終〜了〜」
アテナ「お疲れ様です」(飲み物を渡した)
イデア(受け取った)「ありがとう、アテナ氏。グリム氏に施されている魔術については引き続き調査をするつもりだけど…魔力保有量として、何か問題が起きても大事にはなりっこない。まあ、経過観察でOKでしょ」
アテナ「そういうものなんですか?」
イデア「そういうものなんだよ。それにしても…ナイトレイブンカレッジの生徒を収容調査するようS.T.Y.X.に依頼してきたのって誰なんだろう?」
アテナ「え…?」
イデア「黎明の国政府を介して、匿名での通報…。逆探知対策バッチリなところが怪しさ満載。怪しさ満載と言えば…この短期間で5人が連続してオーバーブロットしたこと自体そもそも異常ではあるんだけど。ナイトレイブンカレッジで過去100年のうちオーバーブロットした生徒は10人にも満たない。それが半年足らずで5人。今の在校生が特別問題児揃い、ってことで片付けられるレベルを超えてる。でもテストの結果を見るに、被検体自身に何か特異性があるわけないんじゃないんだよなぁ〜」
アテナ「そうなんですか?」
イデア「うん。封印されたファントムや強力な呪いを解き放ってしまった影響でオーバーブロットした事例も、ないわけじゃないけど…。でも、賢者の島はここ(嘆きの島)と違って良くないものが大量に封じられてる場所や遺跡があるって情報もないし…。まさか…誰かが人為的に、オーバーブロットを誘発させている?」
アテナ「え⁈」
イデア「…いくらなんでも現実的じゃないか。世間一般的にオーバーブロットの原因は、魔法の使い過ぎによるブロットの許容量超過、並びに術者の負の感情の高まりによるもの…と言われているけど、そんな単純じゃない。オーバーブロットには、無数の因果…原因と結果の連鎖がある。全ては過去から連なる因果の積み重ね。そして感情を暴走させるトリガーとなるのは、1番存在の証明が難しく、数値化が不可能とされる心。心だけは…制御しようと思っても、制御できない。つーか人為的にオーバーブロットを制御できるなら、S.T.Y.X.はとっくに解散してますよネー。はぁ…なんで人間には心なんて厄介なものが標準装備されてるんだろう」
アテナ「…確かにそうですね…」
イデア「動作が不安定、しかも制御不能なシステムなんて完全にバグだし、初期不良じゃん。デバッキング本当にしたんか?嫌んなりますわ…」
アテナ「…」
ピロン(メールの音)
イデア「…ん?マッスル紅氏からのメッセ?あーっ!!今日は新実装の高難易度クエ行こうって約束したんだった!忘れてた!」
アテナ「あらら💧イデアさん、忙しかったですもんね」
イデア「実家のパソコンに最新拡張パッケージインストールしてないし…今日一緒にクエ行くのはちょっと無理だな…」
イデアはマッスル紅とメール中…
アテナ「…」(なんだか不思議。イデアさんとは学園で一緒にいて近くに感じるのに。ここだと、なんか距離が感じる。どうして…)
リリンリリン
アテナ「ん?オペレーターからかな?」
イデア「はい、こちらイデア・シュラウド」
オペレーター「所長代理。ケースナンバーLOD-627へ適応される『レテの河』についてのご報告です。現在100%チャージ完了。情報対策班の各種セットアップも完了。カローン・ヘキサ班が賢者の島海域へ到着しました」
イデア「フタフタマルマル、予定時刻ピッタリ。流石ですわ。では予定通り洪水は0時に…」
電気が落ちた
イデア「!!!??なんだ⁈急に電気が落ちた⁈」
アテナ「嘘、なんで?ここは設備万全だからそんな事ないはず…。イデアさん、オペレーターの方は?」
イデア「管制室、応答せよ。管制室?ダメだ、繋がらない」
アテナ「そんな…」
イデア「有線の内線…こっちもダメか」
アテナ「う〜ん!(ドアを開けようとしたが、開かない)ダメです。ドアも開きません」
イデア「非常用電源に切り替わってない…のか?とにかく状況を確認しないと」
アテナ「そうですね」
イデア「非常用ドアコックは…あった、これだ。んぐぐぐぐぐ…!!(開けようとしたが、ビクともしない)おっっも!非常時に使用が想定されてるなら挙動は軽くするべき!改善を要求する!ふんぬっ!」
アテナ「私も手伝います!う〜…!!」
非常用ドアが開いた
アテナ「行きましょう」
イデア「うん」
〜S.T.Y.X.研究場 廊下〜
イデア「はあ、はあ…やっと出られた」
アテナ「ですね」
イデア「オルト!S.T.Y.X.本部の非常用電源の確認を!」
アテナ「…反応がないですね。アム!返事をして、アム!」
イデア「アム氏も応答がない。館内の集音マイクも全部ダメになってるのか。一体何が…」
サイレンが鳴った
アナウンス「ブロット警報。ブロット警報。館内にてブロット濃度の上昇を確認。所員はただちに緊急配置についてください」
イデア「警報が鳴ったってことは、非常用電源は復旧したな。ブロット濃度が上昇…タルタロスか冥府で何かトラブルがあったのか?」
アテナ「そんな…!」
イデア「ケルベロス!島内全域のセキュリティレベルを最高に設定。カローン用パワードアーマーをオートパイロットモードで緊急配備。全チャリオットを格納庫から発着ポートへ移動」
アテナ「…反応、しない…?」
イデア「…ケルベロス?ケルベロス、応答せよ!電源が復旧したはずなのにケロベロス・システムが僕の声に応答しない…⁈」
アテナ「まさか、誰かがハッキング?いや、有り得ない。イデアさんを超えれる人なんてこの世にいない…」
イデア「オルト!応答して、オルト!」
アテナ「アム、お願い!返事して!」
イデア「…クソッ、どうなってんだ⁈」
アテナ「とりあえず、管制室へ行きましょう」
イデア「うん」
〜S.T.Y.X.研究場 管制室〜
オペレーターA「ケルベロス・システム、完全に沈黙。外部からのコマンドを受け付けません!」
オペレーターB「タルタロス凍結維持レベルを低下!第1、第2、第3タワー内、第1層にて、ケージ内の融解開始を確認。各被検体の意識レベル、上昇中です!」
オペレーターC「外部への緊急要請、所長への緊急コール共に応答がありません!賢者の島へ行ったカローン・ヘキサ班とも連絡が途絶えました!外部との通信が全て遮断されています!」
オペレーターD「インビジブル・シールド、緊急解除コード、否認!」
イデア「こ…これは…一体何が起こってんだ?」
アテナ「私達の想像以上に皆さん混乱していますね」
オペレーターA「所長代理!ケルベロス・システムが全ての機能を停止しています!」
イデア「あり得ない!ケルベロス・システムの設定を変更するには、シュラウド家の人間の生態認証が必要だ。この島で今その権限を持っているのは僕だけのはず…。なのに、どうしてこんなことに?とにかく、原因究明は後。まずはケルベロスを叩き起こさないと!生態認証で起動出来ないなら、手動で再起動用のコードを打ち込んでいくしかない」
アテナ「私も手伝います!」
オルト「ー兄さん」
アム「ー姉さん」
イデア「オルト!良かった、やっと繋がった」
アテナ「アム!無事だったのね」
イデア「ケルベロス・システムが止まってる。復旧を協力して!」
アテナ「アムもお願い!」
オルト「ごめんね、兄さん。それは出来ない」
アム「姉さん。私も出来ない」
イデア「えっ…?」
アテナ「え…?どういう事?」
オルト「僕、たくさん考えたんだ。ゼロをゼロにしないためには、何をすればいいのか。やれるだけの事をするってどういう事なのかなって…」
イデア「オルト?何言ってんの⁈今それどころじゃないって!」
アテナ「そうだよ!オルトくん、なんか変だよ!」
アム「姉さん…。これは姉さんの為でもあるんだよ」
アテナ「え…?私の、為…?」
オルト「そうだよ!それでね、さっきやっと最適解を導き出す事が出来たんだ。未来(シナリオ)を修正するのが難しいのなら一度消して、最初から書き始めればいい。プログラムだってそうでしょ?色んなエンジニアを経由してバグが積み重なったプログラムを地道に修正するより、1から書き直した方が早い」
アム「つまり…このバグだらけの世界を、一度リセットしてイデアさんと姉さんが新生すればいいんだ!」
イデア「オルト、何を言ってるんだ⁈」
アテナ「そうだよ!アムまで一体どうしたの?おかしいよ!」
イデア「チッ…やっぱりあの時、AIの演算装置内でバグが発生したんだ。すぐにメンテしてれば!」
オルト「バグじゃないよ、兄さん。これは僕の意思だ」
イデア「違う。お前は…今のお前は、僕の弟を模して作られた自律型AI搭載の魔導ヒューマノイド。お前が意思だと思っているのは、全部プログラムされているんだ…!」
オルト「そうだね。僕は確かに造られた存在だ。ーでも、知らないの?僕を造った兄さんは異端の天才と呼ばれた魔導工学の申し子。だから僕はロボットの枠を…プログラムを超える!」
警報が鳴った
アテナ「今度は何⁈」
オペレーターA「S.T.Y.X.のメインサーバーが何者かにハッキングを受けています!逆探知成功。これは…ヒューマノイド・ORTHOのAIプログラム⁈」
オペレーターB「侵食領域が拡張していきます!防壁アイギス、機能しません!S.T.Y.X.全システムのコントロールが、ORTHOのAI制御下に切り替わっていきます」
イデア「嘘だろ!オルトにそんな権限持たせてない!…僕が止める!…なっ⁈」
オペレーター C「ORTHO、緊急停止コードを否認。なおも侵食を続けています!」
オペレーターB「ラケシス、クロートー、アトロポス、全サーバーに侵食を確認!」
オペレーターE「あらゆるシステムのアクセスコードが、全て書き換えられていく…!」
イデア「くっ、手動じゃオルトのプログラムを書き換えるスピードに追いつけない!こうなったら最終手段だ…緊急用含めて全電源を手動で落として!」
オペレーターD「ダ…ダメです!電源、落ちません!」
イデア「嘘だろ…。こ、このままじゃ…嘆きの島が全部乗っ取られる!」
アテナ「ッ!…オルトくん、アム!もうやめて!なんでこんな事するの!」
オルト「だから、世界を新生する為だって!RTS(リアルタイムストラジー)は、僕の勝ちだね」
イデア「や、やめるんだ、オルト。世界を新生するなんて、不可能だ!」
オルト「不可能じゃない。ヴィル・シェーンハイトさんが言ってたでしょう。0.001%でも可能性があるなら、それは可能って事なんだ!新しい世界では、ファントムと既存の生物が共存することになる。冥府とタルタロスを解放するんだ。そうなれば世界はブロットで満たされて…ブロットを焼却できる呪いを持つ僕達が、新しい世界のボスになれる!」
アム「そしたら、普通の人みたいに気軽に友達を家に呼べたり、一緒にゲームや映画を見たり出来て、記憶をリセットする必要なんてない。また遊びに来てねって言える。どんな事だって、イデアさんと姉さんが望めばなんだって叶う!」
オルト「そう!そして、新しい世界では、兄ちゃんが全宇宙の支配者で、スーパーヒーローなんだ!」
イデア「兄ちゃん…だって⁈」
アテナ「⁈」
イデア「…そんな、あり得ない!だって、オルトはあの日…!」
アテナ「でも、ケルベロス・システムをシャットダウン出来る人を考えると…」
イデア「まさか…っ⁈ほ、本当、に…?本当に、お前なのか…オルト?」
オルト「そう…僕だよ、兄ちゃん。僕があの番犬を眠らせたのさ」
アム「そして、私もそうだよ…お姉ちゃん」
アテナ「⁈…嘘…」
イデア「…っ!!」(行った)
アテナ「イデアさん、私も、ドクン」(倒れた)
オペレーターA「所長代理⁈どこへ行かれるのです!所長代理!イデア様…!!」
オペレーターB「大丈夫ですか?しっかりしてください。大丈夫ですか⁈」
アテナ「…ハァ…ハァ…(なんで急に発作が…。早くイデアさんを追いかけないと…私もアムのところ行かないと…)…イデア…様…」(気絶した)
〜アテナの夢〜
???「アテナ!…アテナ!」(アテナと同い年ぐらいの男の子)
子どもアテナ「!…我が主…」
???「どこか行っちゃうの?」
子どもアテナ「…はい。私はご主人である貴方様を守りきれず、傷つけてしまった。しかも、弟君まで…」
???「なんで…なんで!僕がやった事なのに!アテナは何もしてないのに!なんで、アテナが悪い事をしたことになってるんだ!」
子どもアテナ「…たとえやってしまった事が貴方様であっても、私は貴方様を守るというお役目を果たせなかった。だから、私は罪人としてここから立ち去らないといけないんです」
???「やだ!やだよ!アテナと離れたくない!アテナを忘れたくない!せっかく友達になれたのに。君をこんなに愛しているのに。なんで…。なんで、こうならなくちゃいけないんだ…」
子どもアテナ「…我が主。確かに私や貴方様や他の人はお互いの事を強制的に忘れさられます。でも、私は信じてます。いつか、貴方様と巡り会える事を。だから、出来ればでいいんです。私を見つけてください。その時はきっと私はもう一度貴方様に…」
子どもアテナは何かを言いかけてアテナの夢が終了
〜S.T.Y.X.研究場 管制室〜
アテナ「うっ…う〜…」(起きた)
ヴィル「アテナ!」
アテナ「ヴィル兄!って、何そのカローン達⁈」
レオナ「説明は後だ!手伝え!」
アテナ「あ、はい!」(どんどん分解していった)
リドル「す、凄い。これがアズールが言っていたアテナの分解」
アズール「本当器用ですね」
ジャミル「しかも、魔力無しでその技術、凄まじいな」
しばらくして、エペル達と合流した
オペレーターA「ん?その髪色と瞳…」
アテナ「ッ!な、なんでしょう?」
カローンの1体がアテナを守るように立った
ヴィル「!アテナ!」
リドル「アテナ!離れて!」
アテナ「待って!このカローンだけ何か違う。お願い、信じて!」
レオナ「…チッ!面倒なことを…」
アテナ「…君はアムでしょ?正確にはアムが操ってるカローン、かな?」
カローンからスクリーンが出てきた。そこにはアムが映っていた
皆「⁈」
アテナ「アム!」
アム「お姉ちゃん、急にカローンを動かしてごめんね」
アテナ「ううん。アムなりに私を守ろうとしたんでしょ?」
アム「うん。…お姉ちゃん、よく聞いてね。お姉ちゃんと私は元々嘆きの島出身なの」
皆「え⁈」
アテナ「…それで?」
アム「お姉ちゃんは代々シュラウド家に仕え、シュラウド家を守る一族、ゼーレ家なんだ」
アテナ「…そっか。アムは知ってたんだ」
アム「うん。私ね、ずっとお姉ちゃんの側にいたの。本当はオルトくんと同じ場所にいるはずだったんだけど」
アテナ「え?もしかして…私の作ったアムのヒューマノイドに本物のアムの魂が?」
皆「⁈」
アム「そうだよ。ごめんね、ずっと黙ってて。言ったらお姉ちゃんやヴィルさんが危ないと思って…」
アテナ「いいのよ。貴女は昔から溜め込む癖があった。その分、とても優しくて可愛い自慢の妹。私は貴女が変わらなくて安心したわ」
アム「ありがとう。詳しくここの事を知りたいなら、あとはお姉ちゃん次第。お姉ちゃんならきっと思い出すよ」
アテナ「…ありがとう。お姉ちゃんは敵になっちゃうけど、貴女が愛する妹なのは変わらないわ」
アム「…うん。あ、もうすぐスクリーン終わっちゃう。こんな事言うのもあれだけど、オルトくんとイデアさんを止めて。私も理想はオルトくん達と同じ考え。でも、やり方は反対なんだ。だから…」
アテナ「大丈夫よ、アム。ヒューマノイドとしてから私達を見てたでしょ?だから、信じて。あと、お姉ちゃんに任せなさい!」
アム「…ありがとう、お姉ちゃん」
スクリーンは閉じてしまい、そのカローンは倒れた
アテナ「…やっぱり…」
ヴィル「アテナ…」
アテナ「大丈夫です。あとは私次第なので。とりあえず、イデアさん達を止めましょう」
ヴィル「ええ」
タルタロスへ行く準備をした
オペレーターA「やはり、君はゼーレ家の者か」
アテナ「確かに私はアテナ・ゼーレ。でも、私は罪人。名前はそう名乗ってますが、本来はただのアテナ。ゼーレ家とはもう関わりはありません。それにこの瞳がその罪人の証です」
オペレーター達「…」
リドル「そこまで思い出したのかい?」
アテナ「まだ思い出してない事はあるけどね」
オペレーターB「で、でも、君なら一族代々の魔法を出せると思う」
アズール「一族代々の魔法?」
オペレーターB「ああ。ゼーレ家はシュラウド家に仕えるだけではなく、ブロット耐性が強くある上にファントムを操れる力があるんだ」
皆「⁈」
アテナ「それはないな。私は両親から落ちこぼれって言われました。だから、その魔法は私は使えないと思います。でも、頭の隅にでも置いときます。皆さん、行きましょう」(行った)
ヴィル「ちょっと!」
皆でアテナを追いかけた
〜S.T.Y.X.研究場 廊下〜
ジャミル「アテナ、少しは落ち着いたらどうだ?」
アテナ「落ち着いてるよ。ただ…半分くらい記憶を思い出したからなのか、彼らは敵にしか見えなくて…正直一緒の空気を吸いたくなかった」
レオナ「は!お前でもそう考えるんだな」
アテナ「私だって良い子ちゃんってわけじゃないので」
チーム分けをした。アテナはアズール、リドルと同じチーム
ヴィル「いいの?アテナ」
アテナ「はい。私の力はサポート。しっかり2人のサポートをします」
ヴィル「分かったわ。またあとで会いましょう」
アテナ「はい」
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 非常階段〜
リドルとアズールは喧嘩してる
アテナ「…はぁ…。さてと(エレベーターのボタンを押した。少ししてエレベーターが来た)…行くよ」
皆、エレベーターに乗った
アテナ「…来たよ、オルトくん。いや、オルト様の方が良いかい?」
オルト「やぁ!アテナ・ゼーレさん。まさか君がそっちだとは思わなかったよ。あ、呼び方は好きに呼んでいいよ」
アテナ「ありがとう。貴方がこうしてるって事はなんか試練とかあるんでしょ?」
オルト「その通り!その試練はこれ!」
冥界伝説のゲーム画面が出てきた
アテナ「…冥界伝説か」
アズールとリドルがゲームをプレイしたが、失敗
アテナ「次は私ね」
アム「お姉ちゃん!」
アテナ「!アム」
アム「お姉ちゃんがいるって聞いたから来ちゃった。お姉ちゃん、頑張れ〜!」
アテナ「ふふっ。んじゃ、声援に答えましょう。私のゲームさばき、とくとご覧あれ!」
無事ゲームクリアした
オルト「流石アテナさん!高得点!」
リドル「アテナ、凄いね」
アテナ「イデアさんの指導の元、ですからね」
アム「お姉ちゃん、かっこいい〜!」
アテナ「クリアしたわ。オルトくん」
オルト「もちろん!約束は守るよ。通してあげる」
皆、歩き始めた。また言い争いが始まった
アテナ「はぁ…なんで、喧嘩するかなぁ〜…」
リドル、アズール「だって!」
アテナ「だってじゃない!言い争ってる場合か!確かにお互いの考えは分かるよ。でも、だからといって喧嘩していい理由にはならないわよ」
リドル、アズール「…」
アテナ「見えた。収容所だ」
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 収容所〜
アテナ(なんだろう…なんだか…ここを私はよく知ってるかのような感覚…)
リドルとアズールにファントムが後ろから近付き、襲おうとした
アテナ「!リドル!アズール!」
リドル、アズール「⁈」
アテナ(ダメだ、届かない。どうしたら…もう…あんな目には…あいたくない…!)「…欲望にまみれた亡き魂達よ、我の呼びかけに答えよ。暗黒の囁き!(アンクル・ソニード)」
ファントムの動きが止まった
リドル「まさか後ろから来てたなんて…」
アズール「まさに危機一髪でしたね。しかし…」
アテナ「2人とも無事?」
リドル「ああ。…アテナ。君はユニーク魔法が2つあるのかい?」
アテナ「え?」
ファントムがアテナに懐いてる
アテナ「わ!な、何⁈」
アズール「ファントムがアテナさんに懐いてる。これがあの人が言った一族代々の魔法じゃないですか?」
アテナ「確かに私はリドルくん達が危なくて無我夢中でなんか叫んだけど、まさかあれがそうなの?」
リドル「それしかないよ。この通り、ファントムは君に懐いてるようだ」
アテナ「これがファントムを操る魔法…暗黒の囁き…(アンクル・ソニード)…まぁ、使えそうか。あんまりやり過ぎはダメだけど」
アズール「そうですね」
アテナ「んじゃ(ファントムの目線に合わせ、しゃがんだ)このカードみたいなのを探してくれる?」(IDカードを見せた)
ファントムは頷き、ファントムが入ってる箱の中を次々探し出して、IDカードをアテナへ持って来た
リドル「本当に見つけて来た!」
アテナ「ありがとう」(IDカードを受け取り、ファントムを撫でた)
ファントム「♪」
アズール「お見事です。アテナさん」
アテナ「んじゃ、行こう。あ、君はここにいてね」
ファントムは頷いた。そして、皆は出口へ向かい、脱出した
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 非常階段〜
リドル「そう言えば、アテナ」
アテナ「何?リドルくん」
リドル「君、瞳の色が変わっているよ」
アテナ「え?(コンパクトミラーで自分の顔を見た)え、嘘⁈本当だ⁈」
アズール「恐らく、本来の力が発揮された事により、罪の証とされていた瞳の魔法が解けたのかもしれませんね」
アテナ「…そっか。やっとアムとお揃いに戻れたんだ」
アズール「…そんな解釈でいいんですか?💧」
アテナ「ん?うん。アムとお揃いはなんでも嬉しいし」
アズール「もっとあるでしょ⁈罪から解放されたとか」
アテナ「うーん、そうだけど、アムとお揃いが本望、かな?」
アズール「…意外と貴女ってズレてますね」
リドル「ふふっ、いいじゃないか。良かったね、アテナ」
アテナ「うん!えへへ。ッ!前方ファントム!」
ファントム「ギャギャギャッ!!」
皆はかわした
リドル「アズール、アテナ!下がれ!」
〈バトル開始〉
アテナ「ふぅ、なんとか撃退出来たね」
また喧嘩が始まった
アテナ「もう〜…」
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 収容所〜
オルト「仲間割れ深刻化してるね」
アテナ「オルトくん、あっちはほっておいて。何かあるんでしょ?」
オルト「流石アテナさん!実は大事なヒントがあるんだ」
アズール「ヒント?」
???「…すけて…助けて…!」
アズール、リドル、アテナ「!!!」
リドル「これは、女性の声…?」
アテナ「まさか、S.T.Y.X.の職員の声⁈」
オルト「正解!」
アテナ「…ゲームでいう人助けにより、アイテムを貰うってやつだね」
アム「そうだよ。仲間割れしてる場合じゃないよ。このままじゃ彼女が大変な事になるよ」
研究員「出して…誰かぁ…!」
アズール「まさか、ここにあるケージのどれかに閉じ込められているのか?」
リドル「なんてことを!すぐに助け出します。ケージを叩いて居場所を教えてください!」
アテナ「ダメ!研究員さん。中の状況は?」
研究員「く、暗くてよく見えないけど、同じケージにファントムが…っ!」
リドル、アズール「なっ⁈」
アテナ「やっぱり…。そう簡単には行かせないって事ね。今はじっとしてるとは言え、大きな音でファントムが目覚める可能性がある」
オルト「流石アテナさん。察し良い〜」
アテナ「ゲームでの当たり前ってやつだよ。ある意味君達のおかげでね」
アズール「分かりました。出来るだけファントムを刺激しないように、じっとしていてください」
アム「冒険者達、大ピーンチ!!この危機的状況を乗り越えられるのか⁈」
アム、オルト「それでは諸君、健闘を祈る!」(切れた)
アテナ「…アムまで楽しんでる…💧とりあえず、今は彼女を救い出すのが最優先ね」
リドル「ああ。一刻も早く彼女を助け出そう!!」
アテナ「…ねぇ、ここでこそ私のユニーク魔法じゃない?」
アズール「⁈いいんですか?」
アテナ「私の封じられていた記憶によればなんだけど…ファントムによって知能があるものもいる。もしかしたら、なりすましはあるかも」
リドル「でも、範囲とか色々分からないんじゃ」
アテナ「そうだね。でも、私には強いイマジネーションを持っている自信あるよ。だって、設計図なしでアムを作った。なら、やってやるわ!まずはこの収容所の大きさをイメージして…集中…ふぅ…暗黒の囁き(アンクル・ソニード)」
起きてるファントム達が出て来た
リドル、アズール「⁈」
アテナ「ファントム達、お願い。私と一緒にどこかのケージの中にいる女性を探して!」
ファントム達は頷き、探し始めた
ファントム「キキッ!」
アテナ「見つけたんだ。案内して」
ファントムは案内した
ファントム「キキッ」
アテナ「ありがとう」(ファントムを撫でた)
アズール「一応確かめましょう」(ノックした)
コンコン…
リドル「返してくれたね」
アテナ「んじゃ、救出開始!」
無事研究員を救出した
研究員「あ、ああ…やっと出られた!ファントムはケージの奥に!」
アズール「お任せください!すぐに始末を、」
アテナ「待って!あの奥にいるのって…カローン?」
リドル「あちこち壊れているし、襲ってくる様子はない」
研究員「えっ⁈奥にいたのは、ファントムじゃなかったの?」
アズール「そのようです。なにはともあれ、ご無事でなにより」
アテナ「すみません。私達、急いで先に進まないといけないので、貴女のIDカードを渡してくれませんか?」
研究員「は、はい。これです」(アテナに渡した)
アテナ(受け取った)「ありがとうございます」
リドル「貴女はすぐにタルタロスからの脱出を」
研究員「こちらこそありがとう!貴方達も気をつけて」(行った)
アテナ「…ファントム達よ、彼女の護衛を。絶対に危害を加えない。そして、必ず守りきったらここへ帰って来て」
ファントム達「ギギッ!」(行った)
アズール「いいのですか?」
アテナ「多分大丈夫。彼女は早く脱出しようと思うから時間は大丈夫。ただ…ファントム達がここへ戻るまでの時間、魔法が切れないといいけど…」
アズール「とりあえず先へ行きましょう」
アテナ「うん」
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 非常階段〜
アテナ「!」(なんだか暑い…?)
リドル「はぁ、なんだか暑い。オルトに腹を立てたせいで、頭がのぼせているのかな」
アズール「奇遇ですね、リドルさん。僕もなんだか顔が熱くて。アテナさんは大丈夫ですか?…アテナさん?」
アテナ「この感じ…暑さ…まさか⁈ファントム・タイタンズ・マグマの仕業⁈」
リドル、アズール「⁈」
ズシン…ズシン…
アテナ「…巨大な何かが近づいてくる…!」
アズール、リドル、アテナ「!!!」
〈バトル開始〉
アズール「はあ、はあ…!なんですか、あの巨大な溶岩の怪物は⁈」
リドル「恐らくあれが原初のファントム…ファントム・タイタンズ・マグマ!」
タイタン「ドゴダアアア!!ジュピタアアア!!ガアアアア!!」
アテナ「やっぱり。神々の時代の怨念のファントムだからこそ、頑丈ね。でも、速さならどうかな?」(魔力のオーラを纏い始めた)
リドル「アテナ、何を⁈」
アテナ「格納庫は近い。走って、2人とも!私がこいつを引きつける!!」
アズール「ですが!」
アテナ「そう言ってる場合?私を舐めないで。私は最善の判断をしたまで。さぁ、走って!早く!!」
リドル、アズール「ッ!」(走った)
アテナ「…タイタン!私が相手だ。来い!」
タイタン「ガアアアア!!」
アテナ「…流星の如く!(メテオール・スネル)」(動きが速くなった)
タイタンが格納庫の扉を溶かし始めた
アテナ「ッ!ダメ!!タイタン!私が相手って言ってるでしょ!!」
リドル「アテナ!僕達は大丈夫!今雷霆の槍を使う!タイタンから離れるんだ!!」(格納庫からの声)
アテナ「ッ!分かった!!」(離れた)
リドル「ッ!…くらえぇぇぇ!!」
タイタン「グオオオオオオオ…!!」
タイタンは冥府の方へ落ちた
アテナ「ッ!…アズールくん、リドルくん!」
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 格納庫〜
リドル、アズール「ハァ、ハァ…」
アテナ「アズールくん!リドルくん!やったね!勝ったよ!タイタンを穴に落とすことに成功したよ!」
アズールとリドルは笑い、ハイタッチした
アテナ「…良かった…」
リドルはしばらくして寝た
アテナ「アズールくんは寝ないの?私、見張るよ?」
アズール「僕はこんな所で寝れないので」
アテナ「そっか」
アズール「…アテナさん。貴方はイデアさんの事、好きなんですか?」
アテナ「え⁈ちょっ、直球だね。…そ、そうだよ…///」
アズール「ほう?」
アテナ「な、なにその反応⁈君から聞いたんでしょ!」
アズール「ふふっ。正直意外でした」
アテナ「そう?」
アズール「ええ。貴女とイデアさんはとても仲の良い友人と思ってました。イデアさんは片想い状態でしたけど」
アテナ「え?」
アズール「ん?どうしました?」
アテナ「今、なんて言った?」
アズール「ん?イデアさんは片想い状態、」
アテナ「そこ!イデアさん好きな人いたの⁈」
アズール(呆れた顔した)「ハァ…そのお相手は貴女ですよ、アテナさん」
アテナ「…え⁈あり得ない、あり得ない⁈」
アズール「何故そんな否定的なんですか?」
アテナ「だって!だって、そんな素ぶりなかったですし…」
アズール「…」(あの噂を知らないのか?イデアさん、貴女と一緒に歩いてる時、アテナさんを狙う男性をもの凄い睨むんです。なので、姫の護衛って名前が出来るほどだ。本当に知らないのか?)
アテナ「?何?」
アズール「いえ、何も」
アテナ「…そう」
雷霆の槍が充電完了され、出発した
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 非常階段〜
リドル「そう言えば、アテナ」
アテナ「ん?」
リドル「イデア先輩と付き合ってるのかい?」
アテナ「ッ!ゲホゲホッ(あまりのことに喉を詰まらせた)はい⁈」
リドル「だから、」
アテナ「あー、言わなくていい。言わなくていい。あと、付き合ってないよ。私の片想いだよ」
リドル「え⁈君の片想いなのかい⁈」
アテナ「うん」
アズール(正確には両片想いですけどね)
リドル「大丈夫かい?片想いだとしても、攻撃するのは」
アテナ「…リドルくん。私ね、夢と野望があるんだ。それを叶える為なら、たとえ好きな人と戦うとしても私は戦うわ」
アズール「!」
リドル「…君は強いね」
アテナ「そう?普通よ」
リドル「そうかい」
アズール「!リドルさん、アテナさん。次の収容所の扉が見えてきましたよ」
リドル「オルト達がまた何か仕掛けてくるに違いない。油断せずに行こう」
アテナ「ええ」
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 収容所〜
アテナ「…アム!オルトくん!」
リドル「…反応しないね」
アテナ「もしかして…。いや、その前にここから出ないと…。ん?貴方は…研究員さん?」
研究員「は、はい。そうです」
アズール「IDカードは持っていませんか?」
研究員「それが小さな獣のようなファントムに奪われてしまって」
アテナ「そうですか。そのファントムは今どこに?」
研究員「分からない。恐らくケージのどれかに逃げ込み、身を隠してるんじゃないかと…」
アズール「1つずつ探してみるしかありませんね」
リドル「そうだね。行こう、アズール、アテナ」
アテナ「うん」
ファントムを倒し、IDカードを手に入れた
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 非常階段〜
進路のことを話し始めた
リドル「アテナはどうするんだい?」
アテナ「私は…イデアさんみたいにオリンポス社に入ろうかなぁ」
アズール「やはり、発明が好きだからですか?」
アテナ「それもあるけど…きっかけもあったからかな」
リドル「きっかけ?」
アテナ「うん。近所の人、足悪くてね。義足とまではいかないけど、足のサポート出来る機械と生活をサポートしてくれるロボットを作ったの。そしたら、とても感謝されたの」
アズール「とても素敵なお話ですね」
アテナ「うん!好きな発明で人の助けになってそれが嬉しくてね。だから、その道を選んだの。だって、発明は無限大よ!最近ではレストランとか医療でも活躍されてるんだ。それって世界が広く感じてとてもワクワクしない?」
リドル、アズール「!」
リドル「ふふっ、そうだね」
アズール「ええ、とても貴女らしいです」
アテナ「ふふっ、ありがとう」
リドル「あっ…前方に収容所のドアが見えてきた。地図を見る限り、ここが最後の関門になりそうだ」
アズール「つまり、1番危険度の高いファントムが収容されているということですね」
アテナ「慎重にいきましょう、2人とも」
リドル、アズール「ああ/ええ」
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 収容所〜
リドル「非常用の照明もついていない…真っ暗だ。今、魔法で明かりを…」
アズール「待ってください。この暗闇が何者かによって故意に作り出されたものだとしたら、わざわざ居場所を知らせることになる。敵も手強くなってきた。形勢が不利になるのを避けたい。今ここで明かりをつけるのはやめておきましょう」
リドル「分かった」
アテナ「なら、これを使おう」(コンパクトミラーを取り出した)
アズール「それはコンパクトミラー?」
アテナ「まぁ、見てて。魔導ゴーグル」(持っていたコンパクトがゴーグルになった)
リドル、アズール「⁈」
アテナ「ふふっ。色々変形が出来るんだよ。このゴーグルは付けると暗闇とかも見れるんだ。人数分はないけど(ゴーグルをつけた)ッ!床にタールなものが…これはファントムが纏ってるブロット?」
リドル「そうだ。魔法でマントを大きくして、テントのようにすれば…それっ!アズール、僕のマントの下にお入り。遮光性が高いから、布の下では明かりをつけられる」
アズール「なるほど、では失礼して…」
ごそごそ
リドル「明かりをつけるよ。ッ!本当だ。ブロットが散乱されてる」
アズール「見てください。リドルさんの足元にS.T.Y.X.のスタッフが付けているIDカード用のベルトが落ちています」
リドル「カードは…抜き取られてるね」
アズール「この状況。ファントムが持ち去ったと考えるのが自然です」
リドル「そして明かりを落とし、僕らが明かりをつけたら、それを目印に仕留めるつもりで…?」
アズール「想像よりかなり頭が回るようですね」
リドル「この暗闇の中でIDカードを持ったファントムを探すのは無理だ。まずは照明のスイッチを探そう」
アズール「いえ。…このまま敵を探しましょう」
リドル「なんだって?」
アテナ「私も賛成。相手の不意をつくにはいいと思う。私はこのゴーグルがあるし、アズールくんは暗闇は平気なんだっけ?」
アズール「ええ。なので、ナビゲートはお任せください」
アテナ「私も全力でサポートするよ」
リドル「分かった」
ファントムを無事倒し、IDカードをゲットした
アテナ「これで出れるね」
変な揺れが出た
アテナ「きゃっ⁈な、何⁈」
アズール「何かが収容所の入り口を破ろうとしています!」
???「ジュピタァアアアア!!ユルサアアアアン!!」
リドル「この声は…まさかファントム・タイタンズ・マグマか⁈」
アテナ「嘘⁈」
アズール「どういうことだ!雷霆の槍を食らったというのにピンピンしてるじゃありませんか⁈」
リドル「ここで迎え撃つしかない。急いで準備を!雷霆の槍は僕が!アズールとアテナは収容所のドアに氷でバリケードを作り、少しでも時間を稼いでくれ!」
アズール「分かりました!」
アテナ「了解!」
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 非常階段〜
アズール「氷よ!扉を覆い尽くせ!」
バキバキバキバキッ…!!
アテナ「はっ!(氷に強化魔法をかけた)これで少しはもつはず」
リドル「雷霆の槍、起動!」
無事雷霆の槍でタイタンを倒し、格納庫へ雷霆の槍を充電した
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 格納庫〜
リドル、アズール「………ぶはぁ〜〜〜〜〜…」
どさっ!
アテナ「え?大丈夫⁈2人とも⁈」
アズール「もうここから一歩も動きたくない…」
リドル「僕もだよ…。アテナは大丈夫なのかい?」
アテナ「うん。なんか、むしろ元気って感じ?」
アズール「なんでですか?」
アテナ「恐らく、ゼーレ家はこの瘴気やブロットは力になるものかも」
リドル「つまり、どういうことだい?」
アテナ「私は今この状況でオーバーブロット並みの力が発揮出来るって事。確かに普段に魔法使えるけど、弱い。これは、ゼーレ家だからこその特殊能力かもね。イデアさんも同じ…」
アズール「そうなんですか?」
アテナ「うん。イデアさんのあの髪はブロットを燃やす力を具現化されたものなの。でも、呪いでもあるの。ジュピター家に逆らわない為に…」
リドル、アズール「…」
アテナ「だからって、そこまでやっていいとは私は言わないよ。私も叶えたい事あるの。それは君達の現実で、そしてそれには必要な人がいる。だから…私も君達と一緒に抗うよ」
リドル「…そっか」
アズール(リドルの肩に頭が乗った)「スー…スー…」(寝息)
アテナ「あらら。まぁ、こんな大変ならそうか」
リドル「君も少し寝たら?」
アテナ「そうだね。んじゃ、お言葉に甘えて。…スー…スー…」(寝た)
〜アテナの夢〜
子どもアム「お姉ちゃん。イデア様とオルト様って、とても素敵な人だよね」
子どもアテナ「そうだね。初めて会った時、あの綺麗な青い炎の髪はとても素敵だったわ。それにお2人とも、とてもお優しい」
子どもアム「…お姉ちゃんはイデア様好き?」
子どもアテナ「え⁈///」
子どもアム「だって、お姉ちゃん。イデア様達と一緒にいる時、ずっとイデア様を見てたもん」
子どもアテナ「嘘⁈まさか我が妹にバレてたなんて…///」
子どもアム「アムは嬉しいよ!お姉ちゃん、イデア様とオルト様と仲良くなって笑顔が増えたし、イデア様がお兄ちゃんになったら、ずっと一緒だもん!」
子どもアテナ「え?アム、何言ってるの?」
子どもアム「だから!お姉ちゃんとイデア様が結婚すれば、イデア様はアムのお兄ちゃんになるし、オルト様ともずっと一緒だもん!」
子どもアテナ「え、え⁈それは無理よ!イデア様と私じゃ身分が違うもん…」
子どもアム「お姉ちゃんはイデア様が好きじゃないの⁈」
子どもアテナ「ッ!好きだよ!大好きだよ!従者としてじゃなく、私自身としてずっと好きだし、側にいたいよ…」
子どもアム「…なら、一緒に野望を考えよう」
子どもアテナ「野望?」
子どもアム「うん!考えるのはただでしょ?そして、お互いの秘密にするの!」
子どもアテナ「お互いの秘密…」
子どもアム「ね、ね!いいでしょう?」
子どもアテナ「…うん。いいよ」
子どもアム「やった〜!」
そこで夢が終わった
〜S.T.Y.X.タルタロス 第3タワー 格納庫〜
アテナ「…ん…懐かしい夢…」(起きた)
ドゴオオオン!!
リドル、アズール、アテナ「⁈」
アズール「なっ、何事です⁈」
リドル「外から轟音が…まさかまたタイタンか⁈」
アテナ「違う…。ッ!」(急に走り出した)
アズール「アテナさん⁈」
リドル「⁈雷霆の槍の充電は…」
ナビ「現在、充電は30%完了しています」
リドル「まだ3分の1しかエネルギーが溜まってない」
アズール「それでも無いよりは良いはずだ。持って早くアテナさんを追いかけましょう!」
リドル「ああ。行こう!」
〜S.T.Y.X.タルタロス〜
皆、チャリオットに乗り始めた
アズール「アテナさん、貴女はファントムの力で飛べますか?」
アテナ「た、多分。でも、なんで?」
リドル「君はヴィル先輩のところに行くべきだ」
アテナ「え、なんで⁈」
アズール「これは予想ですが、貴女はイデアさんを救う鍵になると思います」
アテナ「私が…?」
リドル「うん。だから、君をここで退場させたくない」
アテナ「でも!」
アズール「アテナさん。僕らを信じてください」
アテナ「ッ!…分かった。でも」(リドルとアズールに加護を与えた)
リドル「!これは?」
アテナ「私なりの加護だよ。これで少しは瘴気の影響も和らぐ」
アズール「ありがとうございます」
アテナ「2人とも、頼んだよ」
リドル「ああ」
アテナ「…暗黒の囁き(アンクル・ソニード)」(ファントムの力で黒い翼を生み出し、上へ飛んで行った)
リドル「…さて」
アズール「行きましょう、リドルさん」
アズールとリドルはイデア達とバトルを開始した
アテナ「…」(アズールくん…リドルくん…)
ジャミル「ア、アテナ⁈」
アテナ「!ジャミルくん!レオナ先輩も」
レオナ「その翼どうした?」
アテナ「一族の力ってところです」
トランシーバーからアズールの声が聞こえた
アテナ「そんな!リドルくん…」
ジャミル「…後悔してるのか?」
アテナ「!ううん。2人は私を信じてここまでやってくれた。なら、私はそれに答えないと!」
レオナ「は!そのいきだ、草食動物。さっさとヴィルのとこまで行ってこい」
アテナ「はい!あ、少し待ってください」(レオナとジャミルに加護を与えた)
ジャミル「これは…?」
アテナ「私なりの加護です。これなら、瘴気の影響を和らげます」
レオナ「…ふっ、アテナにしてはやるな。助かる」
アテナ「ありがとうございます。では、お気をつけて」
ジャミル「ああ」
アテナ(黒い翼で飛んで行った)
レオナ「さぁ、ここであいつらの夢を砂に変えてやる」
ジャミル「…はい!」
レオナとジャミルはイデア達とバトルを開始した
アテナ「…」(ジャミルくん…レオナさん…)
エペル「え、アテナサン⁈」
アテナ「!エペルくん!ヴィルさん、ルークさん、ユウさんも!」
ルーク「アテナくん、それは一体…」
アテナ「覚醒しました」
ヴィル「!まさかこんなところでそうなるなんて」
アテナ「私もびっくりです」
S.T.Y.X. 所員A「まさかこんな奇跡が起きるとは…」
アテナ「…正直言うなら、ゼーレ家としていたら覚醒は出来なかったろうね。出来たのは…ヴィルさん達と出会えたおかげだもん」
ヴィル「!…アテナ…」
アテナ「だからこそ、この世界を壊させない!だから、早く行きなよ」
S.T.Y.X. 所員A「…分かった。どうか無事で」
ヴィル「さて、アタシ達のすべき事をおさらいしましょう。アテナも付き合って」
アテナ「はい!」
ヴィルが淡々と説明した
エペル「…来た!チャリオットは僕が操縦します。先輩達は攻撃に集中してください」
ルーク「エペルくんが操縦を?大丈夫かい?」
アテナ「あー、エペルくんは慣れっこだもんね」
エペル「はい!さあ、皆乗って!」
ヴィル「アテナ」
アテナ「私はこの子達がいる。もうしばらく力を貸して」
ファントム達「ギギッ!」
アテナ「ありがとう」
ヴィル「いいこと、アンタ達。ここが最終防衛ラインよ」
ルーク「ウィ。私達の日常を取り戻す為にも…この戦い、負けられないね」
エペル「グリムクンを助けられるのは、僕達しかいない。けっぱろ、ユウ」
ユウ「うん!」
アテナ「アム…。これが最初で最後の姉妹喧嘩よ…!」
オルト「兄ちゃん、上を見て!」
イデア「!…アテナ、氏…なんで?君はこっち側だろ?」
アテナ「…そうですね。きっと貴方はアムから色々聞いたでしょう。私がここにいたことも全部。確かに私はこの世界が憎いです。無茶苦茶な罪で追い出され、昔ゼーレ家が住んでいた輝石の国の森の中で野放しにした。しかも、罪の証の瞳のせいでいじめられた」
オルト「なら、どうしてそっちにいるの?」
アテナ「…そうだね。たとえこの世界は残酷でも美しいのと、アムのこともあるから」
オルト「え…?」
イデア「アム氏が?」
アテナ「…」(ヴィル達に加護を与えた)
ルーク「!これは…加護?」
ヴィル「ええ。瘴気の影響を和らげてくれてるのよ」
エペル「凄い…」
アテナ「アム!返事をして!」
アム「…お姉ちゃん、お姉ちゃん…」
アテナ「アム!」
アム「お姉ちゃん、ごめんね。でも、これだけは信じて!私はオルトくんやイデアさんの意見に流されて決めたんじゃない!自分の意思で、自分の野望を叶える為にイデアさん達のところにいるの!」
アテナ「…そう。良かった」
アム「え?」
アテナ「アム、覚えてる?私の野望」
アム「…大好きな発明で皆を笑顔にすること?」
アテナ「そうだね。…でも、それは私の夢。私はアムと同じ野望を叶える為にここにいる!」
アム「!もしかして…」
アテナ「うん。全部思い出したよ。何もかも全部。だからね、アム。イデアさん、オルトくんも。私は自分の野望を叶える為にイデアさん達の夢を全力で潰します。全力でぶつかりましょう!最後にこのステージを制するのは私達です!!」
イデア、オルト、アム「!!」
ヴィル「うふっ、よく言ったわ。アテナ」
ルーク「ブラボー!素晴らしいよ!アテナくん」
イデア「なんで…なんで…!!」(アテナの首を絞め始めた)
アテナ「ッ!」
ルーク「アテナくん!」
アム「お姉ちゃん!」
イデア「なんで…なんで!この世界を新生したら、馬鹿にした奴らを見返せる。僕とずっと一緒にいれるんだよ。それなのになんで!!」(力が強くなった)
オルト「兄ちゃん!」
エペル「アテナサン!」
アテナ「ッ…だって…世界を新生してしまったら、その世界を肯定してしまったら…(涙を流し始めた)私は…ゼーレ家としてではなく、私自身として貴方を愛してるなんて、言えないですよ…グスッ…」
イデア「…」(急に手を離した)
ヴィル「アテナ!」(助けた)
イデア「?」
ヴィル「今よ!雷霆の槍で最後の一撃を!」
ルーク「狙いは任せておくれ、ロア・ドゥ・ポアゾン!」
エペル「ありったけのパワーでぶっ飛ばしてやる!」
ヴィル、エペル、ルーク「はああああああ!!」
イデア、オルト、アム「!!」
オルト「もう少し…もうすこし、だっ…たのに…」
オルトの体が崩壊し始めた
イデア「オルト…!…今度こそ、お前を置いて行ったりしない」
アテナ「ッ!ダメ…!最後の力…暗黒の囁き!!(アンクル・ソニード)」(ファントム達の力で再び黒い翼を出し、イデア、グリム、オルト、アムを引っ張っている)
アム「⁈お姉ちゃん⁈」
イデア「アテナ氏?何してるの?その手を離せよ!!このままだとアテナ氏も道連れに、」
アテナ「だからなんだ!!」
イデア「⁈」
アテナ「私の野望は私1人では叶えられない!貴方がいないとダメなんだ!!それにこのままだとアムの野望も叶えられない!!私はそれはヤダ!!」(涙ぐんでる)
イデア「!(記憶を思い出した)…アテ、ナ…」
アム「お姉ちゃん…」
オルト「アテナ、サン…」
アテナ「ッ、もう…ダメ…」(翼が消え、イデア達と共に冥府の方へ)
イデア「!アテナ!!」(アテナを抱きしめ、アテナの頭を片手で守った)
ヴィル「アテナ!!このままだと…行かせない!!」
ルーク、エペル「⁈」
エペル「ヴィルサン⁈あんたなすんず!まさが…」
ルーク「待つんだ!ヴィルーーーー!!」
イデア「ッ…アテナ…。今度こそ君を…」
アム(このままだと、お姉ちゃん達が…)「ッ!みんなお願い!!お姉ちゃんを、皆を助けて!!」
アムの呼び声にたくさんのファントム達がイデア達を助けた
〜アテナの回想〜
私はシュラウド家に代々仕えるゼーレ家の長女として生まれた。だからこそ、訓練、勉強は完璧にしないといけなかった。
アテナの母「いい?アテナ。シュラウド家に楯突くことしちゃダメよ?絶対にシュラウド家の顔を立つように振る舞うようにしなさい」
子どもアテナ「はい、お母様」
アテナの父「シュラウド家を立派に支えるのが我々ゼーレ家の使命だ。分かったな?アテナ」
子どもアテナ「はい、お父様」
両親はいつも、いつもシュラウド家を神かのように崇め、私に教えこんだ。それが当たり前過ぎたからなのか、私の世界は妹以外、色はなかった。だけど、ある時、私の世界が一変した。
イデアの父「イデア。この子がお前の従者になる子だ」
子どもアテナ「アテナ・ゼーレと申します。どうぞよろしくお願いします、イデア様」
子どもイデア「あ、うん。こっちはオルト」
子どもオルト「初めまして!よろしくね!」
子どもアテナ「はい、よろしくお願いします。アム、貴女も」
子どもアム「アム・ゼーレです!よろしくね」
イデアの父「では、仲良くな」(行った)
子どもアテナ「…」
子どもイデア「…ねぇ、ゲーム好き?」
子どもアテナ「え…?ゲー、ム…?」
子どもアム「お姉ちゃんとアム、ゲーム知らない」
子どもオルト「え、そうなの⁈面白いよ!やってみよ!」
子どもアテナ「え、でも…」
子どもイデア(子どもアテナの両手を握った)「大丈夫!僕が教えるから!」
子どもアテナ「!…はい」
私は初めてイデアさんを見て驚いた。本に書かれていた空のような綺麗な青い炎の髪に、月のような輝く黄色の瞳。何もかもが美しいと思った。そして、私はイデアさんとゲームを通して世界が色づき、イデアさんに恋をした。しかし、事件が起きた。
子どもアテナ「イデア様、本当に大丈夫ですか?」
子どもイデア「大丈夫、大丈夫。でも、アテナこそ良かったの?止めなくて」
子どもアテナ「本来なら止めるべきですが、正直自分も冒険したいです。それに私はイデア様の側にいたいので」
子どもイデア「!そ、そう…///」
子どもオルト「僕もアテナとアム、一緒がいい!」
子どもアム「私も〜!」
子どもイデアがシステムをいじったら、アナウンスがなった
子どもオルト「…兄ちゃん。これ、なんの音?」
子どもアテナ「まさかハッキングしたセキュリティはタルタロス…?」
子どもイデア「ど、どうしよう。元に戻さなきゃ!」
子どもアテナ「!イデア様、オルト様!私とアムの後ろへ!」
子どもオルト「あ、あれ、何?」
子どもアム「ッ!来る!!」
???「グルルル…ガアアアアッ!!!」
あの時の記憶はあまり覚えてない。これだけは間違いない。私はゼーレとして正しい選択をしたが、家族として間違った選択をしてしまった。目を覚ましたら、アムはどこにもいなかった。私はこの後、レテの河で罪人として瞳に罪の証を施し、島送りをされた
子どもアテナ「…ここ、どこ?寒い…」
ヴィルの父「!君、大丈夫?お父さんとお母さんは?」
子どもアテナ「…いない…。うちも帰れない…」(倒れた)
ヴィルの父「ッ!き、君!」
子どもアテナ(目覚めるとベットの上にいた)「…ここ、は…?」
子どもヴィル「ここは僕のうちだよ」
子どもアテナ「…貴方、は?」
子どもヴィル「まずそっちからじゃない?」
子どもアテナ「あ、うん。私はアテナ・ゼーレ」
子どもヴィル「そう。僕はヴィル・シェーンハイト。君を助けたのは僕のダッドさ」
子どもアテナ「お父さんが?」
子どもヴィル「うん。ダッドに起きた事、伝えに行く」(行った)
子どもアテナ「う、うん」
私はその時、覚えている事を洗いざらい話した。そして、寛大なヴィルのお父さんは私を家族として迎え入れてくれた。
子どもA「うわっ、目が真っ赤⁈」
子どもB「血みたい〜」
子どもC「呪われてんじゃね?」
子ども達「あははは!!」
子どもアテナ「…」
子どもジャック「こらーーーーっ!!」
子ども達「ヤベッ、ジャックだ!」
子どもアテナ「…ヴィル兄、ジャックくん…」
子どもヴィル「大丈夫?アテナ」
子どもアテナ「うん」
子どもジャック「見せたい物あるって、本人が遅くて心配で来た」
子どもアテナ「ごめん、捕まってて。でも、きっと驚くよ」
倉庫の扉を開き、何かのスイッチを押した
アム「初めまして。アム・ゼーレです」
子どもジャック「うわっ!喋った⁈」
子どもヴィル「これって…ロボット?」
子どもアテナ「そう!正確には魔道ヒューマノイド。私の妹だよ」
子どもジャック「それって、よく話していた離れ離れの妹?」
子どもアテナ「うん。AI機能とかアムの記憶をしっかり組み込んだ自律型なんだ。ヴィル兄、ジャックくん。アムのこともよろしくね」
子どもヴィル「ええ」
子どもジャック「おう!」
アム「よろしくお願いします」
私はある意味恵まれた。だから、少しでもイデアさんの心に寄り添ってあげたい。たとえ高望みだとしても、お節介だとしても…。
アム「…お姉ちゃん」
アテナ「…アム…」
アム「私を助けようとしてくれてありがとう。私の野望の事も思ってくれてありがとう。嬉しかったよ。でも、お姉ちゃんはまだこっちに来ちゃダメだよ」
アテナ「…そうだね。そのままだと、私の野望もアムの野望も叶えられないもんね」
アム「うん…。ねぇ、お姉ちゃん」
アテナ「ん?なぁに?」
アム「止めてくれてありがとうね」
アテナ「うん…」
アム「お姉ちゃんはちゃんとイデアさんの側にいるんだよ?何があっても」
アテナ「うん…」
アム「私はオルトくんの側にいるから」
アテナ「うん…。でも、少し残念。アムの野望は叶えてあげられてもアムの夢は叶えてあげられないなぁ…」
アム「それでもいいよ。野望が叶うんだし。…お姉ちゃん」
アテナ「ん?」
アム「私、ずっと一緒にいるからね」
アテナ「うん。…またね、アム」
アム「またね、お姉ちゃん」
イデア「…アテナ…アテナ!!」
〜S.T.Y.X.タルタロス 非常階段〜
イデア「…アテナ…アテナ!!」
アテナ「ッ!…ここ、は?あ!(起き上がった)イデアさんやグリムくんは⁈」
イデア「お、落ち着いて。ぼ、僕はここにいるよ」
アテナ「…良かった…良かった〜!!」(泣きながら、イデアに抱きついた)
イデア「え、え⁈ちょっ、アテナ⁈///」
アテナ「良かった。本当に良かった。うわ〜ん!!」
ヴィル「良かったじゃない、イデア」
イデア「ヴィ、ヴィル氏…」
アテナ「!え、ヴィルさん⁈その姿…もしかして冥府に」
ヴィル「ええ、そうよ」
アテナ「ッ!…(イデアから一旦離れた)ありがとう、ヴィル兄。そして、ごめん」
ヴィル「いいのよ、これぐらい」
皆、帰ることになった
アテナ「皆さん!」
皆「?」
アテナ「少しだけお時間ください」
レオナ「チッ!なんだ?早く帰りてぇのに」
アテナ「手短に終わらせます。…暗黒の囁き(アンクル・ソニード)」(周りが光だし、白い空間に入った)
〜魂の記憶の間〜
ジャミル「ここは…?」
アズール「アテナさんがいません!」
リドル「え⁈」
???「ここにいないのは当たり前だよ」
ルーク「⁈…君は?」
アム「…こうして話すのは初めましてだね」
ヴィル「!…アム?」
皆(ヴィル以外)「⁈」
アム「そうだよ。今お姉ちゃんの力でこの通り、会話ができるんだ」
レオナ「とりあえず、早く要件を言え」
アム「もう!冷たいな〜。改めて、私達を止めてくれた事、イデアさんを助けてくれてありがとう」
エペル「そう言えば、なんでイデアサン達と一緒に行動したの?」
アム「私の野望の為だよ」
エペル「野望?」
リドル「一体どんな野望を…」
アム「それは…お姉ちゃんが幸せになること!」
皆「…は?」
アム「え⁈そんな反応する⁈結構大事だよ⁈」
アズール「そう言えば、アテナさんは瞳が戻って最初の言葉はアムさんとお揃いと言ってましたね」
ジャミル「姉妹そっくりだな」
ルーク「ふむ。それなら、我々と一緒でも良かったんじゃないかな?」
アム「それが無理だったんだよ。私の野望の一部にはお姉ちゃんの野望があるんだよ。そのお姉ちゃんの野望にはイデアさんが必要なの。というか、イデアさんにしかできない!」
イデア「え、え⁈拙者アテナになんかした⁈」
アム「!…ううん、してない。ただ野望に必要。まぁ、イデアさんがあんなになっちゃったし、決めた事を曲げなかったから尚更、ね」
ヴィル「そう…」
アム「…皆、お姉ちゃんのこと、今回のこと、本当にありがとう。あと、イデアさん」
イデア「は、はい⁈」
アム「お姉ちゃんの側、離れないでね」
イデア「!…絶対離れないよ」
アム「!…そっか。お話できて良かった。ありがとう、皆。バイバイ〜」
〜S.T.Y.X.タルタロス 非常階段〜
アテナ「…妹と話せましたか?」
ルーク「ああ」
アテナ「良かった…。あ、あの!私、イデアさんとS.T.Y.X.に残ります!」
皆「え⁈」
アテナ「私、ここでやる事あるので。それに一応監視役は欲しいでしょ☆」
ヴィル「!…ええ。お願いするわ。アンタもしっかり来るのよ」
アテナ「はい!では、皆さん。また学園で」
皆はチャリオットに乗り、行った
イデア「…いいの?」
アテナ「はい。ここでやりたい事あるし、それにイデアさんとまだ一緒にいたかったから…」
イデア「!…とりあえず…僕に出来る後始末はしておかないと」
アテナ「私も手伝います!」
イデア「ありがとう」
キラッ!
イデア「ん?今何か光った?あれはグリム氏が喉に詰まらせてた…あっ⁈」
アテナ「え⁈どうしたんですか?イデアさん。…ッ!それは…」
イデア「うん。これがあれば、もしかすると…!!」
〜S.T.Y.X.研究場 管制室〜
イデアが無事オルトを完成し、ある意味和解した
アテナ「さて、私もお披露目しようか」
イデア「!それは…」
そこにはスリープ状態のアムがいた
オルト「アム、さん?」
アテナ「実はね」(手のひらを見せた。そこには、アムのメモリーカードがあった)
イデア「それってアム氏のメモリーカード!」
アテナ「うん。もしかしたら、あの一瞬で私に持たせてくれたのかも。アムは言ってたの。オルトくんの側にいる。私とも一緒にいるって」
オルト「!アムさん…」
アテナ「だから…いくよ、アム」
アム「エネルギー充電率100%、魔道リアクター起動。…動力安定」
アテナ「よし、その調子!」
アム「メモリーカードの読み込みを開始します…54%、83%…完了」
オルト「お願い…」
イデア「アム氏…」
アム「魔道ヒューマノイド『AM』…再起動します」
アテナ「…おはよう、アム」
アム「…おはよう…お姉ちゃん」
アテナ「!アム…アム!(アムを抱きしめた)うっ…おかえり、アム」
アム「…ただいま、お姉ちゃん」
イデア「アム氏、おはよう」
オルト「おはよう!アムさん」
アム「おはよう。イデアさん、オルトくん」
アテナ「良かった…良かった…」
アム「…だって、言ったじゃん。ずっと一緒にいるって…」
アテナ「…うん…うん…!」
アム「それにお姉さんの野望を見届けないと〜」
イデア「野望?」
オルト「そう言えば、アテナさんの野望って何?」
アテナ「えっと、それは、あの…///」
アム「イデアさんのお嫁さんになる事だよ!」
イデア、オルト「…え?」
アテナ「あーーー!!///アム!なんで言っちゃうのよ⁈///」
アム「だって、お姉ちゃん絶対に焦らすでしょ。だから、教えたんだよ」
アテナ「だからって、本人の前で言わないでよ!///ま、待て〜!!」
アム「うふふっ、待たないよ〜」
アテナとアムが追いかけっこを始めた
オルト「…兄さん」
イデア「うん。…アテナ!!」
アテナ(止まった)「え…?今、呼び方…」
イデア「うん(アテナに近づいた)僕も思い出したよ」
アテナ「嘘…本当に…?」
イデア「アテナ、約束を果たそう」
アテナ「!覚えてくれたんですか…?」
イデア「もちろんだよ。時間はかかったけど、やっと君を見つけたよ。(アテナを優しく抱きしめた)…アテナ、好きだよ。ずっと…」
アテナ「ッ!…(涙を流し始めた)私もです。私もゼーレ家としてではなく、私自身として貴方を愛してます。貴方が初恋です…うっ…うっ…」
イデア「…嬉しいよ、アテナ。君を離さない、ずっと側にいるから」
アテナ「…はい…!」
アテナとイデアは優しいキスをした。そして、数週間後。編入生としてオルトとアムがナイトレイブンカレッジに編入した
〜オンボロ寮 談話室〜
ヴィル「まさか、オルトとアムが学園に編入するとは」
アテナ「えへへ。イデアさんのおかげなんです。イデアさんがオルトくんとアムのお願いを聞いてくれて…」
ヴィル「…そう。しっかし、凄い独占欲じゃない。それ。しかも、宝石は青色なんてね」(アテナが付けてる指輪のネックレスを指さした)
アテナ「あははは💧一応遠慮はしたんですよ?ただ…」
{アテナの回想}
ー約2週間前ー
〜S.T.Y.X.研究場 会議室〜
イデア「父さん、母さん。紹介したい人がいるんだ。入って」
アテナ「こ、こんにちは。ア、アテナ・ゼーレと言います」
所長「!君は…」
アテナ「ッ…」
イデア(アテナの前に立った)
アテナ「!イデア様…」
イデア「僕は心から彼女を愛してる!その気持ちは本物。たとえ、彼女が罪人だとしても。だから、認めて欲しい。彼女と正式にお付き合いする事を!」
アテナ「イデア様…」
所長「!それは、」
主任「いいんじゃない?」
皆「え?」
アテナ「お、奥様?」
主任「だって、イデくんが心から思った女の子でしょ?絶対いい子じゃない!それにたとえ罪人だとしてもこの子は身をていしてイデくんを2回も助けてくれた。感謝するのはもちろんとして、蔑むのは違うんじゃない?」
所長「ッ!しかし、」
主任「罪の証の事?そんなのもうないじゃない。今ここにいるのはイデくんを心から思ってくれてる優しい女の子よ」
アテナ「!…奥様…」
主任「それに私の未来の娘よ!」
アテナ「…え?」
イデア「!んじゃあ…」
主任「うふふっ。パパの説得は任せて。私は心から貴方達を歓迎するわ」
アテナ「!…イデア様…」
イデア「うん。これで一緒にいられる」
アテナ「…はい!」
主任「んじゃあ、準備しないと!」
アテナ「え、準備?」
主任「そうよ。婚約指輪。今から作るわ」
アテナ「え、え⁈婚約指輪⁈そんな、そこまでしていただかなくても…💦」
主任「ダーメ!貴女はイデくんの大切な人!なら、私にとっても将来大切な義娘!それに何があるか分からないじゃない。貴女を守るものを用意しないと。せっかくだし、宝石の色もイデくんの色にしないとね」
イデア「!母さん、手伝う」(即答)
アテナ「即答⁈ちょっ、イデアさん⁈」
主任「婚約指輪はもちろんイデくんのも作るわ。イデくんのはアテナちゃんの色ね」
イデア「んじゃ、早速取り掛かろう。母さん」
主任「うん!あぁ、どんな指輪にしようかな♪」
イデアと主任は早足で部屋を出た
アテナ「え、ちょっと⁈お二方⁈指輪なんていいですって!てか、旦那様のお話も聞いてください!と、止まってください!とま、っ!も〜!アム!オルトくん手伝って〜!!」(叫びながら、2人を追いかけた)
{回想終了}
アテナ「こんな感じで大変でした…」
ヴィル「そうだったのね。あら、そう言えば、家の方は?」
アテナ「あー、私が覚醒したことで見事に手の平返し。なので、私はゼーレとは名乗っていますが、実質ただのアテナです。まだしつこかったら、ヴィルさんの義妹になります」
ヴィル「!ぷっ、あははは!!いつでも歓迎するわ。もちろんアムもね」
アテナ「ありがとうございます」
ルーク「マーベラス!君が幸せそうで何よりだよ、アテナくん」
アテナ「ふふっ、ありがとうございます。でも、まだまだこれからです。これからもイデアさんに寄り添い、支えてあげたい…」
ヴィル「…そう。頑張りなさい」
アテナ「はい!」
アム「お姉ちゃ〜ん!次お姉ちゃん出番だよ〜!」
アテナ「はーい。では、行ってきます」
ヴィル「ええ」
アテナ「お!イデアさん相手ですか」
イデア「フヒッ、負けませんぞ〜」
アテナ「私も負けません!」
皆でワイワイし始めた
ヴィル「…良かったわね、アテナ。たくさん幸せになりなさい」
《私は色々と大変な事を乗り越えて、私は好きな人と結ばれ、幸せになりました》
〜the end〜