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「One vanilla ice cream, one strawberry ice cream, and one matcha ice cream…」(バニラアイスが一個、いちごアイスが一個、それから抹茶アイスが一個……。)
エマ・フロストはホテルのベッドの上に座りながら、買ってきたアイスを机の上に並べていた。
日本に来て二日目。
彼女の頭の中は、
すでにアイスのことでいっぱいだった。
「Japanese convenience stores are wonderful…」
(日本のコンビニって素晴らしい……。)
昨日食べたアイスの感動が忘れられない。
その結果――。
「Today, I’ll find even more ice cream!」
(今日はもっとたくさんのアイスを探す!)
エマは勢いよくホテルを飛び出した。
スマートフォンの地図を頼りに歩き続けること三十分。
見知らぬ街並みを眺めながら、エマはご機嫌だった。
「Japan is beautiful!」
(日本って綺麗!)
しかし、その十分後。
「……Hmm?」
(……あれ?)
エマは立ち止まった。
地図アプリが示している場所と、
今いる場所が違う。
何度確認しても違う。
エマは周囲を見渡した。
知らない駅。
知らない店。
知らない道。
「…I’m lost.」
(……迷った。)
完全に迷子だった。
「No, calm down, Emma.」
(落ち着いて、エマ。)
エマは深呼吸をする。
だが、周囲の看板はすべて日本語。
読めない。
人に尋ねようにも、日本語が話せない。
「What should I do…?」
(どうしよう……。)
困り果てていると、一人の青年が近づいてきた。
「大丈夫ですか?」
「……?」
エマは首を傾げた。
もちろん意味は分からない。
「Ah… um…」
青年は少し困ったような表情を浮かべる。
そして、たどたどしい英語で話しかけた。
「Are… you… okay?」
エマの表情が一気に明るくなった。
「You speak English!?」
(英語が話せるの!?)
「A little.」
(少しだけ。)
青年は苦笑した。
「My name is Minato Amamiya.」
(俺は天宮湊です。)
「Emma Frost! Nice to meet you!」
(エマ・フロストです!よろしく!)
エマは勢いよく握手を求めた。
突然の勢いに少し驚きながらも、湊は握手を返す。
「So… why are you here?」
(それで、どうしてここに?)
エマはスマートフォンの地図を見せた。
「I was looking for ice cream… and then I got lost.」
(アイスを探していたら迷子になっちゃったの。)
「……Ice cream?」
湊は思わず聞き返した。
「Yes! Japanese ice cream is amazing!」
(そう!日本のアイスは最高なの!)
エマは目を輝かせながら語り始めた。
昨日食べたアイスがどれだけ美味しかったのか。
日本のコンビニがどれだけ素晴らしいのか。
どれだけアイスに感動したのか。
五分後。
湊は理解した。
――この人、かなり変わっている。
「えっと……おすすめのアイス店なら知ってるけど」
「Really!?」
(本当!?)
エマの目がさらに輝く。
「Can you take me there!?」
(そこに連れて行ってくれる!?)
「え?」
「Please!」
湊は少し考えた。
今日は仕事が休み。
時間もある。
それに――。
目の前の外国人を放っておくのは、さすがに気が引けた。
「……分かりました。」
当然、エマには意味が分からない。
しかし湊が頷いた瞬間――。
「Thank you!」
エマは満面の笑みを浮かべた。
こうして。
アイスを愛しすぎるイギリス人と、お人好しな日本人青年の奇妙な交流が始まった。
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コメント
1件
ああ、良かったですね……。第二話、エマを助けた湊さんが良い味出してる。「この人、かなり変わっている」っていう湊さんの認識が的確で笑ってしまいました。アイスで迷子になるエマの純粋さと、困った人を放っておけない湊さん。この二人の温度差が絶妙な距離感で始まった交流、この先どう転がるのか気になります。