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ここにいると時間感覚がなくなる。
この街の中央にある時計塔は0時を指して止まっている。
近くの公園は管理する人がいないのか、荒れ放題になっている。公園のベンチに座ってみた。
偽物の空にある太陽が怪しげに光り、私の周囲を照らす。
もうここから、出られなくなってしまったんだ。
おそらくかなりの月日が流れた。
地上と違い天気の変化も、真昼もないこの街は、鬱蒼としている。
誰もいない路地には生ぬるい風が吹く。
ここにいる間、お腹が空いたことも眠くなったこともないのは何故だろう。
ある日のことである。
なんの前触れもない。
突然、静止した時計塔からなるはずのない鐘の音が鳴り始めた。