幸せじゃないループ

水白

水side

白）なぁ、ｯ”！ここから出してや…ｯｯ””！

水）初兎ちゃん…！い、一旦食事しよ…？

白）知らない奴とご飯なんて食べたくないわ…ｯ”！？

水）い、…一旦…

と言って、初兎ちゃんに差し出したのは今まで初兎ちゃんが好きだった僕の手料理。

白）何をさせる気なんよ…ｯ”！？

水）ほら…口開けて

初兎ちゃんは嫌な顔をしながらも小さく口を開けた。

水）…

僕はそっとスプーンに乗った僕の手料理を初兎ちゃんの口まで運ぶ。

そして、パクっと初兎ちゃんは僕の手料理を食べた。

白）…まっず…ｯ”なんやこれ…ｯ！？

水）……

水）…完全に僕の事忘れちゃったのかな…

これは数日前の話だ。

白）ーーでさーw

水）初兎ちゃんってばその話ばっかしてない？w

白）そうやっけ？

水）そうだよ？

最近初兎ちゃんはなぜか同じ話を何回も繰り返している。

最初はただのもの忘れだと思ったが流石に毎日も同じ話をしているのでおかしいと思った。

そして最悪のときは初兎ちゃんが家から帰ってこない時がある。

流石におかしい。

今までこんなもの忘れなんてした事もないし1人で家を出ても絶対家に帰ってくる。

最近の初兎ちゃんの行動は本当におかしいと思い病院に行ってみることにした。

）彼は「認知症」の可能性がありますね

水）に、認知症……

水）で、でも認知症って高齢者がなる病気じゃないんですか…？

）最近は高齢者以外にも若者も認知症になるリスクがあります

水）……

僕は初兎ちゃんが認知症って認めたくなかった。

僕の事忘れちゃうのかな？初兎ちゃんとどの様に接したらいいのかな？色々不安で感情がめちゃくちゃだった。

）認知症の症状は不安、幻覚、妄想、うつ症状などの心理症状、不穏、興奮、暴言・暴力、徘徊などの行動症状があります。

水）そ、そうですか…

水）認知症って治療法とかあるんですか…？

）一応ありますが……ですが彼の認知症はもう既に進行しておりますなので完治は難しいかと…

水）……

認知症には進行を遅らせる薬があるが完治ができる治療法は現在はないらしい。

そして、初兎ちゃんはもう既に認知症の症状が悪化しており治療は難しいらしい。

水）…ありがとうございました

白）なんで、こんな所に閉じ込めるんよｯ”！？泣

朝、 初兎ちゃんの様子を伺うとこれだ。

僕は誘拐なんてしていない。

ただの幸せだった恋人だ。

ただ同棲をしていただけなんだ。

水）…初兎ちゃん一旦食事しよ？

白）知らん奴と食べたくない…ｯ”！！泣

今日もこの言葉を発している。

なんだか一日一日をエンドレスしているみたいだ。

水）はい、食べて

初兎ちゃんの口まで僕の手料理を持ってくる。

初兎ちゃんはパクっと一口食べた。

白）まっず…ｯなんやねん…これ…

また、言われた「まずい」と。

どうやら認知症には味覚が低下するらしい。

だから、初兎ちゃんはまずいと言っている。

認知症を患った複数日は僕の手料理を食べたら「いむくん」って分かってくれた。

今では僕の事なんか完全に忘れてしまったようだ。

水）…しょうがないよね……

日に日に初兎ちゃんの記憶力は低下している。

でも、もう同仕様もない。

僕はただ初兎ちゃんのそばにいてあげる事しかできない。

水）…僕は初兎ちゃんの事忘れないからね

初兎ちゃんの最期まで僕はいるからね。