学校······行くのやだなぁーと思いながら嫌なほど美しい青空を見ながらとぼとぼと歩いている。
すると横からキキィーッとブレーキ音のような音がした。まあ分かるだろう、車に轢かれたのだ。
そして最後に見た光景は嫌なほど美しい青空と、自分の血と······トラックだった。
「はっ!?」目覚めるとベットの上だった。
「······知らない天井······」
この言葉を言うのは多分人生でそう無いだろうなぁー。
後なんかトラックに轢かれた記憶がある。
あれ? これもしかして死んだ? めっちゃラノベとかであるあるの死に方やん。うそやぁーん。
······はぁ〜、嘆いていても仕方が無い。
「おいしょっと」
と言いながら上半身を起こし辺りを見回す。
えっ、めっちゃ海外みたいな内装じゃん。めっちゃ綺麗〜。
ん? なんか窓の外おかしくない?
部屋にある窓から外を見る。すると······
「······何なんだよ······これはぁ」
思わず声が出る。それもそのはず、外にはとても綺麗な城下街があり、そしてその1番高いところには立派なお城が立っていたからである。
「あんなお城見たこと無いんだけど······もしかして王様とかがいるところ?」
とか言ってると空を飛ぶ何かが見える。
よーく見てみると
「わっ!?」
なんとそれは翼が生えたトカゲのような生物だった。そして直ぐにその正体に気づいた。
「······もしかして、ドラ······ゴン?」
するとそうだと言わんばかりに
「ギャオオォォォォ!!」と咆哮を上げた。
「うっるっさ!!」と耳を塞ぐ。
すると部屋にある扉の向こうから
「メルアー? 大丈夫ー?」
と声が聞こえる。
······メルアって誰?
「メルアー? 入るわよぉー?」
と言いながら誰かが入って来る。
「メルア、居るなら返事してちょうだい」
そこには赤い髪をした綺麗でスっとした女性がいた。
「えっ? あっ、ごめんなさい······」
訳が分からず変な回答になる。
この女性はまじで誰?
「今日から冒険者になるんでしょ?」
「えっ? そうなの?」
思わず口に出る。
「そうなのって······貴方昨日あんな楽しみにしてたじゃない」
いや知らねぇーよ!!
「あっ······あぁー、そうだったわー、楽しみすぎてなんか忘れちゃってたみたい、おかしいわねー、ハハハー」
我ながら全然ちゃんとした回答ができてないな。
「うふふ、まあ仕方ないわ、じゃあ下に朝ごはんと着替えを用意してあるから、早く降りてきなさいよー」
「はっ、はぁーい」
誰かわからない女性との会話が無事に終わってほっと息をつき胸を撫で下ろす。
めっちゃくちゃ焦ったー!! 知らない人との会話ってこんな緊張したっけ? 異世界に来ちゃったからかな?
そしてハッとする。
「そうだ私今異世界にいるんだった!!」
そしてドタドタと走って鏡の前へ行く。そこには赤髪で目が緑色の自分でも綺麗と思ってしまう人がいた。
「これが······私?」
と言いながら手を顔の頬に当てる。頬に感触があるから間違いなく自分だ。
「······これは······転生したわね······私」
もしやと思っていたが、これで確信した。
確かにトラックに跳ねられた記憶があったからまさかと思ったけど······本当に異世界転生するとは······トラックに跳ねられると本当に異世界転生するんだなぁ······
すると扉の向こうから「早く降りて来なさぁーい」と声がする。
音的に下の階に居るようだ。
「分かったー、すぐに行くわぁー」とだけ言っておく。
多分あれは私の母親······だよね?
何回か先程の出来事を思い出して母親だと確信する。
「よし、そろそろ下に行くとしますか〜」
そうしてドアを開け、近くにあった階段を降りた。
「やっと来たわぁー、待ちくたびれたわよ」「ごめんごめん、母さん」
「さっさと朝ごはん食べ終わっちゃって~、この後は一緒に冒険者ギルドに行きましょう」
「分かったよ、母さん」
いやぁ〜冒険者ギルドへの行き方は分からなかったから母親と思われる人物が案内してくれるのはこっちとしてはめっちゃくちゃありがたいですわぁ〜。
よし、朝ごはん食ーべよ!! 朝ごはんはえぇーと······日本でもよく出る定番の目玉焼きと味噌汁と思われる汁物とそしてん? これは······「白米だ!」
思わず大声が出る。
「ん? どうしたの?」
「あっ、なんでもないよ母さん」
ラノベとか読んでると白米は異世界転生した話の中盤あたりに出ることが多いいからまさかこんなすぐに出るとは思わなかったなぁ〜。
いやぁ〜本当に最初から白米が食べれるなんて最高ね!!
よし! 食おう!!
そしてもぐもぐと朝ごはんを食べる。
そしてあっという間に平らげる。
「ご馳走様。母さん、美味しかった」
「あら、嬉しいわ、そこに着替えがあるからさっさと着替えてね」
「はぁい」
そうして用意してあった服に着替える。
うわぁ〜異世界系でよくある白がメインで黒いシマシマが所々にある服だぁ〜。
ん? なぁ〜んかボロっちい袋あるけど······一応付けておくか。
そしてその袋をつけ終わると
「着替え終わったようね、じゃあ行きましょうか」
母、ナイスタイミング!!
「はぁい」
そうして母親と思われる人物と共に冒険者ギルドへ向かうのであった。
母さんと思われる人物についていきながら歩いていると色んなものが視界の情報に入ってくる。
例えば種族。獣人やエルフ、他にも様々な種族がいた。そして出ている店は日本で売っているようなものは殆どなく、まさにThe・異世界という感じのばかりだった。
異世界すっげぇー、本当に異世界に来たんだなぁー。
そんな調子で母親と思われる人物について行きそして
「ここが冒険者ギルドよ」
「おぉー」
結構大きい。そして冒険者ギルドと書かれた看板が結構目立つ。だけどラノベとかだとこういうのは普通にありそう。
「じゃあ後は頑張りなさいね」
えっ!? 行っちゃうの!?
「あっ、ありがとう母さん」
おい何を言ってるんだ私は!!
「じゃあねー」
と手を振られながら何故かそのまま人混みに紛れて行くのを見ていることしか出来なかった。
あぁ〜······よし!! くよくよしてても仕方ない!!
「始めますか、私の異世界生活」
と言って冒険者ギルドに入る。
そして受付嬢にのところへ行き
「すみません、冒険者になりたくて来たのですが」と言う。
1度言ってみたかったんだよなぁ〜これ。
「かしこまりました、ではこちらの水晶に手をかざしてください、天職を調べます」「はぁーい」
あれ? 普通こういうのってステータス見るやつじゃないの? ······まあいいか。
そしてスっと水晶に手をかざす。
「貴方は······『魔法使い』が天職のようです」「魔法使い······ですか」
魔法使いねぇ〜。なんかいい魔法とかあるといいけど。
「はい、この冒険者ギルドを出ていただいた後、左に曲がり、まっすぐ行き、2回目の右へ曲がる通路を曲がっていただき、その道を奥へと進み、突き当たりを左に、そして右に、そして左に2回曲がっていただきましたら、その通路の奥に武器屋がございますので、そちらに行って魔法の杖をご購入下さいませ、ご購入していただいたらここに戻ってきていただき、ギルドカードを発行させていただきます」
え? 何? ここを出たら左に行って2個目の曲がる通路を行って、突き当たりを右に曲がって左に2回曲がって、その道の奥に武器屋があるの? 長っが!! もう地図作れよ。
「分かりました、行ってきます」
暗記できたか怪しいけどな!!
「お気を付け下さいませ」
まあ辛うじて暗記出来てはいるんだけどね。
よし、さっき言われた通りに行きますか。
そして言われた道を進むと確かに武器屋があった。
少しボロい感じだがしっかり武器屋だ。
······入りますかー。
ガチャりとドアを開ける。中は外からは想像がつかないほど綺麗だった。そして奥の方に魔法の杖がズラーッと並んでいた。
うっわぁ〜めっちゃあんじゃん。選びがいがありそぉ〜。
そして魔法の杖が売られている所まで行き、見てみる。
魔法の杖は大きいのから小さいのまであり、形も様々だ。
よし!! 大きいのを取ってみよ!!
タグを見ると『魔法の杖(両手持ち用)』と書かれていた。
······え? この軽さで両手持ち用?
この両手持ち用杖めっちゃ軽いけど? 発泡スチロールかってくらい軽いよ? しかも両手で持たなくてはいけないほど大きい訳でもないし······
······これ、両手持ちじゃなくて片手持ち行けるんじゃね?
ということで持ってみる。
「······持てた」
持ててしまった。
え!? まじ!? やばくねこれ!!
こんなん最強やんけ!!
あぁーでもお金ないや。一応服のポケットとかに手を突っ込んでみるがない。
後はこの······ボロっちい袋か。
まあ、見てみるか。
しかし袋の中にはとんでもないものが入っていた。
中には大量の金貨が入っていた。
やぁ〜ば!! もう私大金持ちじゃん!!
しかも金貨が入っているこのボロっちい袋······いや、この素晴らしい袋は多分無限収納袋だ。
······絶対この先の旅のお供じゃん、役に立つこと間違いなしじゃん、なんでこんなのがあるん?
まあこの話は取り敢えず置いといてお店の人を呼ぶ。
そして······
「ここからここまで全部買います」
と両手持ち用の杖の棚を端から端まで指さす。
言えたぁ〜!! まぁ〜じでこのセリフは言ってみたかったんだよなぁ〜!!
多分少しニマニマしていたと思う。
お店の人は驚いていたが、すぐに「かしこまりました、少々お待ちください」と言ってレジに行き、紙をペラペラとめくり始めた。多分商品表だろう。
その間両手持ち用の杖を見ることにした。
そして数分経った。
「お待たせ致しました。5926534ベイルジでございます」と言われた。
えっ? ちょっと待って、確かにけっこう量はあるけどそんな高いの?
「ちょっと待ってくださーい」と言ってタグに書いてある値段を見る。
そこには『10000ベイルジ』と書かれており隣は『12500ベイルジ』と書かれていた。だけど中には『100000ベイルジ』と書かれたのもあった。
これが何百個もある為こんな値段になったのだろう。
異世界物価やべぇ〜。
「これくらいで足りますか?」と金貨をぶわぁーっと出す。大金なのは分かるのだが詳細な値段が分かるわけない。だから適当に出す。
「はい、えぇーっと、お釣りが564ベイルジです、お買い上げありがとうございました」と言って頭を下げてきた。
えっ、お釣りが出んの? まじ?
「こちらこそありがとうございました」
と言ってお店を出る。
因みに両手持ち用の杖達は無限収納袋に入れた。いやぁ〜まじ無限収納袋様様っす。
そして冒険者ギルドに帰ってくる。
そして先程道を教えてもらった受付嬢の所に行く。
「お帰りなさいませ。杖はご購入出来たで御座いましょうか?」
「はい、買えました。」
何百本もな!!
「それは良かったです、ではこちらが貴方のギルドカードです」
そこには『名前︰メルア 性別︰♀ 天職︰魔法使い 冒険者ランク F』と書かれていた。
まあ、F······だよね。と少し落ち込んでいると
「冒険者ランクについて説明致しましょうか?」と言われた。
「あぁ〜······お願いします」と言っておいた。
ラノベとかと同じかもしれないがもしかしたら違うかもしれないので一応聞いておく。
「ではご説明致します。冒険者ランクはギルドミッションをどんどんクリアして行くと上がっていきます。ランクはF、E、D、C、B、A、S、SS、そして最後にZがございます。Sになると全てのギルドミッションへの挑戦が可能になり、様々なところに行くことができるようになります。後、その時のランクのギルドミッションを5回達成するとランクが上がります。そしてひとつ上のランクのギルドミッションを3回達成するとランクが上がります。Zを目指して頑張って下さい」
「説明ありがとうございます。」
うん、まんまラノベとかと一緒だね!! よかったわぁ〜まじで。
「では早速ギルドミッションを受注しますか?」
「はい、お願いします!!」
やっとギルドミッションを受けられるぅ〜!!
「ではあちらの掲示板から受けたいギルドミッションをお選びください。あっ、冒険者ランクF、またはEのしか受けることが出来ませんのでお気を付け下さいませ」
「ありがとうございまーす!!」
そして掲示板に行き、そこに貼られているギルドミッションを見る。
へぇ〜色んなギルドミッションがあるなぁ〜。ん? なんだこれ? 『ドラゴンの巣の探索 冒険者ランク︰S』······怖すぎる。絶対行かない。あっ、これにしよ。
取ったのは『ツリーウルフの討伐 冒険者ランク︰E』というギルドミッションだ。結構簡単そうだからこれにした。
そしてそのギルドミッションの紙を取って受付嬢の所に行く。
「これをお願いしまぁーす!!」
と言ってカウンターに紙を置く。
「ツリーウルフの討伐ですか、ではツリーウルフの尻尾を取ってきてください、いわゆる戦利品ですね、あと倒したという証明になります。取ってきた材料は好きなようにお使いください」と言いながら紙にハンコを押した。
「分かりました!!じゃあ行ってしまぁーす」
「お気を付け下さいませ、宿をご利用したいのであればそこを右に曲がった先にありますのでご利用ください」
「最後までありがとう」
「どういたしまして」
宿屋の場所が分からなかったので聞けたのはありがたい。
そこで受付嬢の横に紙の束が置いてあることに気がついた。取って見てみるとそれはここら一帯の地図だった。
なんで気づかなかった私!!
取り敢えずまず行くのは道具屋である。
道具屋に入りスペース分けされている陳列棚から目当てのものを探す。
えーっと多分ここら辺に······あった。
探していたのは結構長めのロープだ。これで杖を束にしてまとめるとしよう。
という事でそのロープを手に取りレジに持っていき、購入した。
そして受付嬢に紹介された宿屋に行く。
「いらっしゃい」と言って出迎えてくれたのは面倒見が良さそうなちょっとポッチャリしたおばさんだった。
絶対いい人!!
「あのぉー、部屋空いてます?」
「空いてるよ、1泊70ベイルジだ。朝飯代もついて120ベイルジだ。どうだい? 泊まっていくかい?」
冒険者がよく使うって事はきっと質もいいだろう。
よし、1週間位泊まるとしよう。
「じゃあ、1週間泊めさせていただきます」「はい、ありがとね」
という会話をしたあと、お金を払い、ベットに寝っ転がって少し休む。
いっやぁ〜まさか本当に異世界に転生してしまうとは······まあ、転生しちゃたんだから楽しまないとね!! もう、学校に行かなくていいなんてまじで、最っ高!!
なぁーんて考えながら杖をまとめてロープで束にしていく。
「うんしょ、おいしょっと、よーし束になったー」
この調子でどんどん束にしていく。
え? なんで束にしているかって? そりゃあ1つの方がなんだかんだで持ちやすいからだ。実はさっきロープを無限収納袋に入れようとした時に気付いたことがある。それは、入るものの大きさにそって袋の口の大きさも大きくなるのだ。
······もう本当になんだよこの便利アイテム······。
まあ、取り敢えずどれだけ大きくても入るんだからひとつにしちゃってしまった方がいいのだ。
束にされた魔法の杖は傍から見ると結構カオスだ。
だって様々な形の何百本もある杖が1つのロープ(魔法で強度は底上げしまくってある)で束にされているわけだから。
やってる方は結構楽しい。
「これでツリーウルフを狩りに行くわよー!!」
と私は気合を入れるのであった。
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ありがとうございます!!
フォロー失礼します(ノ゚▽゚)ノ