両手持ち用の杖を束にしていると形がすこし歪な杖を見つけた。
「何だこれ?」
手に取るとその杖はほかの両手持ち用の杖より非常に軽く、先端部分のオレンジ色の何かが点滅している。
「この杖は一体なんだったっけ?」
そう思いタグを見る。そこには
『自爆杖』と書いてあった。
「自爆杖!?」
確か結構ヤバめなやつな気がする。
説明も見ておく。
『敵をターゲットにして飛んでいき自爆する。自爆するのでこの自爆杖は木っ端微塵となる。』
とだけ書いてあった。
······へぇー、結構すごそうだなぁ〜。でも1回キリっていうのはなぁ〜······あ
ここで思いついた。この杖に魔法をかければ何とかなるんじゃないかと。
やってみよ!!
ということで両手持ち用の杖で【完全防御】(パーフェクトウォール)をかけてみる。だが結果は······
「かからない······」
自爆杖に魔法はかかんないのかぁ〜。まあ、予想はしていたけどね。だがここで私は諦めない!!
だってもう1つ可能性があるんだもん。 それは······
これ壊れた後に魔法ってかけれないのかな?
というものだ。
壊れた後に修復魔法なんかをかけられたら無限に使うことが出来るんじゃね?
······やるしかないじゃん!!
ということで宿屋の庭へ窓から自爆杖を投げる。
庭からボォーン!! と大爆発する音が聞こえた。
急いでそこに向かい【完全修復】(パーフェクトリペア)を使ってみる。すると······
「······直った」
直ってしまった。
あちゃ〜めっちゃやばい裏技見つけちゃったじゃん。これやばいなぁ〜。
自爆杖結構威力高そうだし。これを何回もできるって······うん、やばいな。
もうこれ最強やろ。
「これでツリーウルフ倒すか」
でもなぁ〜外は真っ暗なんだよなぁ〜。明日でもいいけどやっぱやりたいことってやりたい時にするもんじゃん? だから今やりたいんだよなぁ〜。······あ
光魔法を上にはなったら擬似的な太陽作れねぇかな?
という事で実験してみる。
無限収納袋から両手持ち用の杖の束を取り出し
「【光】(ライト)!! 」と唱える。するとほとんどの杖から【光】が放たれる。
あれ? なんかめっちゃ光強くね?
そして光が辺り一面に広がる。
「ぎゃああああ目がぁー! 目がぁー!!」
痛ってぇ!! くっそ目が痛てぇ!! おかげてム〇カみたいになっちまったじゃねぇか!!
まじで目が痛い。速攻で目に【完全回復】(パーフェクトヒール)をやる。すると目の痛みが引いて目が治った。
よし!! 【光】やめよ!! これは危なすぎる。
だけどここでまた思いつく。
【重力無効】(サイレントグラビティ)を杖にかけて上に持って行って【光】をやったら大丈夫じゃないか?
はいやろう、今すぐやろう。
という事で【重力無効】で杖を上に持っていく。そして結構上に行った所で【光】をやる。
すると辺りが一気に明るくなった。
昼と変わらないくらい明るい。
因みにこの翌日夜の時間帯なのに昼になったのでこれはきっと女神様のお告げだ!!という噂話で持ち切りになったがこの事をこの時の私はまだ知らないし、知った後も知らん顔した。
よし、取り敢えずこれでツリーウルフを狩れる。
ついでに庭も直しておいた。
という事でツリーウルフがいるという森林にやってきたわけですが、······めっちゃ見通しが良い。
普通こんな見通しがいい所に住まんやろ。
まあ、ギルドミッションランクEだから簡単になってるんやろ。
よし、入ってツリーウルフボコしますか。
と、意気込んでから1時間経った。え? 居なくね? どこにもおらんやん。もうくっそ歩いたと思うんだけど。
これはおかしい。······もしかして先に狩られた?いや、それはないと思う。だって今日の昼受理されたんだよ? そこからだいたい8時間よ?
普通先に狩られんやろ。
······まてよ、なんでツリーウルフって名前なんだ?森林に居るんだからフォレストウルフとかじゃないのか?······もしかして
という事で木の隙間から中を除く。
······なんか居る。
暗くてよくわからないけど確実になんか居る。
ほぼ確実にツリーウルフだろう。
うわぁ〜面倒くさぁ〜、これどうやって倒すん?倒すのめっちゃ難くね?
よし、ゴリおそう。
という事で無限収納袋から自爆杖を取り出す。これを【重力無効】で浮かせる。
そして飛ばす。
すると木が一本灰になった。
因みに私の気持ちはめっちゃハイになりました。
······さーせん。
誰に謝ったのかは自分でも分からないが取り敢えず同じく灰となった自爆杖に【完全修復】をやる。すると先程の自爆杖となった。
ハハッ。やべーなこれ。
因みになんで私は【完全】と付いた如何にも最上位魔法みたいなやつを使えるかというと称号を獲得したからだ。
実は両手持ち用の杖を買った時、機械音声のような声がして『称号︰両手持ち用の杖の最高者 を獲得しました』と言われた。
すると頭の中に先程の【完全】と付いた魔法が流れ込んできた。
因みに、それ以外の魔法も流れ込んできた。【光】や【重力無効】とかもそれの1つだ。
少々頭が痛くなったが少々で済んで良かったのかもしれない。
まあそんなこんなあったのだ。
取り敢えず称号を獲得するとセットで何かが付いてくるらしい。
最高やんけ。
こんな事を考えながらも木々を焼いていた。
考えながらも仕事出来るって、私ってばてんさーい!!
······一体何を考えてるんだ私は。
そして自爆杖で木々を燃やしているとさすがにツリーウルフも攻撃をしてきた。
だけど私にはこれがある!!
今杖達は【光】をやってもらう為上にある。
その為手元にあるのは自爆杖と【重力無効】を発動するようの2本だ。
という事で【重力無効】を自分にかけて上に行く。
この時、上を見ずに下を向いていた。
じゃないと目が死ぬ。
そして束になっている杖の高さを越すと束になっている杖から魔法を下に向かって放つ。
「【地獄の業火】(ヘルファイア)!!」
そう言った。
すると昼が夜に戻り、代わりに【重力無効】をやっている杖以外の全ての杖から【地獄の業火】が放たれた。今度は地面が昼の明るさ、もしくはそれ以上の明るさになった。
この翌日、近くの森林から突然とてつもない量の炎が出て、ツリーウルフの住処が全て焼けたらしい。というか森林自体全てが焼けてしまったらしい。
この事を冒険者ギルドの受付嬢に言われて
「何か心当たりありませんか?」と聞かれたが
「いいえありません」と知らん顔した。
だがこの時の私はまだ知らなかった。ここら一帯のツリーウルフがほぼ全滅したという事が悲劇を招く事を······。
ツリーウルフを倒した後に気付いたのだが全てが灰になったので尻尾を回収できなかった。そう、これが悲劇だ。違うツリーウルフの住処を探さなくてはいけない。
······やっちまったぁ〜!!! めっちゃ面倒臭い事やっちゃったじゃん私!!
という事でこれから【地獄の業火】をやる時は数本の杖だけにする。
失敗からちゃんとしっかり学べる私やっぱ凄い!!
凄いったら凄い!!
という事でその日は宿屋の庭で魔法をひたすら練習することにした。
もしかすると今分かっている魔法を全てやると称号が貰えたりするかもしれないからね。
ツリーウルフの現実から逃げている訳ではない。
ないったらない。
あ〜結構な時間やっていたからかな?めっちゃ疲れてきた。
多分、MP的なのが無くなってきてるんだと思う。
少し休憩するか。
という事で宿屋のベッドで横になる。
すると直ぐに眠くなってしまって視界が真っ黒になる。その時
『称号︰完全を極めし者 を獲得しました』と聞こえた気がしたが気のせいだろう。
そのまま意識を手放した。
一方その頃生き延びたツリーウルフは······
「ワフ!! (ここに誰かいないか!!)」と、木に向かって吠える。
すると木の中からツリーウルフが1匹出てくる。
「ガルルルルルウォフ!! (一体何の用だ!!)」
「ワフワフ、ガルルルルル!! ワフ、ワフ!! (実は俺らの住処が焼かれちまったんだ、あの変な女が全てを燃やしたんだ!! だから頼む、助けてくれ!!)」
そう吠えると周りの木からもツリーウルフが出てくる。
「ウォフワーフ!! (何だって!? そいつは大変だ!!)」「ガルルルルルバフ!! (そんな女殺してやろうじゃねぇか!!)」「ワフ? (本当か?)」「ウォフウォルルルルワフ!! (仲間のピンチなんだから助けてやるよ!!)」「ワフルルルル!! ワフルルルル!!(ありがとう!! ありがとう!!)」
そしてそんな会話があるなんて夢にも思わず翌日······
「んー?」と言いながら目を擦って起きる。
あ〜昨日は結構魔法を使いすぎて疲れた。
でも一晩も寝ればこの通り!!
疲れもぶっ飛んで超元気です!!
腕をブンブンと回す。
さぁ〜て、冒険者ギルドに行きますか!!
と気合を入れて宿屋を出ると街が何やら騒がしい。
なんだなんだ!? 何があったんだ!?
あっ、受付嬢の人だ!!
「おぉーい!!」
と受付嬢に向かって言う。すると、気付いたようでこっちを見た。そしてこっちに来た。
「あのぉ〜、何があったんですか?」
と質問する。
「あぁー、実はですね。ツリーウルフの大群がこの街に来てるんです。」
なっ、なんですとぉ〜!?
「え!? それほんと!?」
「本当です。なので今から冒険者ギルドにて作戦会議が行われます。」
······絶対原因私じゃん。これ行かなきゃ駄目じゃん。
「あのぉ〜私もぉ〜行けませんかね?」
多分それこそダメと言われるだろうが言ってみる。
「貴方が······ですか?」
まあ、そうなるよね。だって私冒険者ランクFだもん。
「はい」さすがに自分でまいた種は自分でどうにかしないといけない気がする。
「······分かりました。行きましょう。」
まさかのOK、これは予想外。
「えっ、本当に?」
聞き間違いかもしれないので念の為もう一度聞く。
「本当です、早く来てください。」
そして受付嬢と一緒に冒険者ギルドに走って行った。
冒険者ギルドは冒険者で溢れていた。みんな何かを囲っている。その中心には周辺の地図があった。そしてギルドマスターらしき人が、状況を説明し始めた。
「えー、ツリーウルフの大群は現在、北西方面からこちらに向かってきている。よってこの街の北西方面の壁付近を緊急で防衛することにした。防衛が得意なやつは1番前へ、近接が得意なやつはそのひとつ後ろへ、そして遠距離が得意な奴は一番後ろに行け。」と言い終わる。
······遠近両方出来るやつはどうしたらいいんだろう?
そう疑問に思っているとつい声に出ていたようだ。周りが私をめっちゃ見ている。
怖!! めっちゃ怖!!
そしてギルドマスターがこっちに向かってきた。
「今の、本当か?」
圧がすごい。流石ギルドマスター伊達じゃないね。
「はっ、はい」
周りがざわざわと喋り出す。
「静かに!!」
とギルドマスターが言うだけで周りは静かになった。
「天職は?」「魔法使い」「名前は?」「メルア」「冒険者ランクは?」「今の所F」
この言葉に周りが大爆笑する。まあ、当然だよねぇ〜。冒険者ランク最低のFの奴が遠近両方出来るって言うんだから。
「静かに!!」
とまたギルドマスターは言った。
するとまたすぐに周りが静かになった。
「冒険者ランクFで魔法使いで遠近出来るやつなんざ今までで1人しかいねぇ。おめぇ、それホントか?」
更に圧が増す。本当なんだよなぁ〜これが。信じられないだろうけど。
「本当です」
じぃーっと顔を見てくる。
やっぱガン見されるのは怖いしやだなぁ〜。
そして見つめられること数十秒
「こいつは嘘を言ってねぇ。」
その言葉で周りがざわざわと喋り出す。さっきのよりも声が大きい。
「静かに!!」
本日3度目の静かにきましたー!!
そして本日3度目の言われた瞬間静かになるも来ましたぁー!!
······なんだよこれ。
「よし、この嬢ちゃんに最前線で戦って貰う。異論はないな!?」
え? なんで?
「「「「「「無いです!!」」」」」」
いや私にあるんだけど。
「よし、頑張ってくれ!!」
えー、うそやぁーん。
という事で何故か······私が最前線で戦うことになりました。
ツリーウルフの大群が見えるようになると所々で恐怖故に震えるものが出てきた。
そして「おい、大丈夫か?」と震えている人に質問する者がいる。
大体こういう時の返し言葉は······
「ふっ、ただの武者震いさ」
はい出たーカッコつけてるけど内心超びびってるやつー。
あっ、やべ。めちゃくちゃ近くに来てたわ。
という事で【重力無効】で宙に浮く。後ろからおぉ〜と驚きの声が聞こえた。そして
「自爆杖!!」
技名っぽく言いながら自爆杖を【重力無効】で飛ばす。ボォーン!! と音がして約20匹位が灰となった。
いや強よ!! やっぱ威力おかしいだろ!!
まあ楽に倒せるならそれでいいや。
という事で【完全修復】で自爆杖を復活させる。後ろからは何も聞こえない。多分驚愕すぎて声が出ていないのだろう。
これを何回か繰り返したのだが流石に分が悪い。
くっそーもう一本あったらいいんだけどなぁ〜。
そしてまた自爆杖を【重力無効】で飛ばす。
ボォーン!! ボォーン!!と音がした。
······ん?ボォーン、ボォーン?
あれ?なんか2回音がした気がする。まあ気のせいだろう。という事で【完全修復】する。
すると自爆杖が2本あった。
······え? 2本? 何で? 周りを見るともう一本いつの間にか浮いている杖があった。多分だがさっき【重力無効】を使う用の杖を出そうとした時にもう1本出てしまったのだろう。
そして私のものだから分かる。その杖がやっている魔法が。
その魔法は······
【完全複製】(パーフェクトコピー)という魔法だった。
名前で分かると思うがコピーしたいものに対してこの魔法を使うとその物体を完全にコピーして近くに出すというものだ。
だけどこの間の両手持ち用の杖の最高者を獲得した時には無かったはず······。
あっ、もしかして昨日寝る前に聞こえたあれ、まじだった!?
多分【完全】って付いてるやつ全部やりまくったから手に入ったんだろうなぁー。
いやー、これはまじで便利すぎる。
あれ? ちょっと待てよ。もしかしてこれ【完全修復】する用の杖も複製出来る?
という事で自爆杖を飛ばしながらやってみる。
えいっ!! 【完全複製】!!
すると杖が2本に増えた。
うわぁー、出来ちゃったよ。これはもうやばいわ。
ここからはただの蹂躙だった。
何せ何百本もの自爆杖が上から降ってくるのだ。そして飛んできた自爆杖はまた復活してまた自爆するのだ。しかもその数は現在進行形で増えている。
うん、これは流石にツリーウルフに同情するわ。これは酷い。
まあやってるの私なんだけどね!!
そんなことがあってツリーウルフの大群は消え失せた。そしてツリーウルフの尻尾も消え失せた。
······またやっちゃったよ私。はぁ〜、まだ私冒険者ランクFのままなのかぁー。
取り敢えず地上降りるか。
そして降りると歓声が起こった。そして私はちょっとビクッとした。そしてみんなが「あいつすげぇー!!」と言っていた。
いやぁ〜照れますなぁ〜。あっ、ギルドマスターだ。
こっちにズンズンと歩いてきて、こう言った。
「これからお前は冒険者ランクSだ。さすがにこれ以上ランクを上げるとほかの冒険者から反感を買いかねない。許してくれ。本当はZ位上げたいんだが。」
え?まじ?冒険者ランク6つ昇格?やぁ〜ば!!
「やったぁ!!」
この後は冒険者ギルドに言って皆と飲んだり(まだ私は未成年なので葡萄ジュースなんだけどね)喋ったりしてすごい疲れた。
因みに冒険者ランクF〜Sに一気に昇格したのは私含め3人らしい。
いや私以外にもいるってま?
取り敢えず何とか宿屋に帰ってきた。さて、明日は何しようかなぁ〜? と思いながらぐっすりと寝た。
〜とある街にて〜
最初は耳を疑った。
だってその内容は信じられないものだったんだもの。
「え? 私とあいつ以外に他にもFランクから6つ一気に昇格したヤツがいるの?」
そう、この出来事がだ。
Fランクから一気に6つ昇格というのは本当に化け物しか出来ない。
何せ金をどれだけ積んでも一気に行けるのはせいぜいランクBまで。
その強さ······とても気になるわね······。
「へぇ······いつか1度戦ってみたいわね。」
この人生の先に楽しい事なんて1つもないと思ってたけど、今1つ出来たわ。
よし、早速旅の準備をするとしましょ。
「ありがと、じゃあね」
と教えてくれた人に対してお礼を言って私は宿屋の自室へとスキップしながら向かった。
この時、後ろから「たくっ、この戦闘狂が」と聞こえた気がしたが気分が良かったので無視してあげた。
コメント
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めちゃくちゃサボっててごめんなさい!!実はリアルの方で予定が結構ありまして······(言い訳ですみません。)まあ、本当にすみません。 所で、新しくなった1話を見ましたか?実はめっちゃくちゃ書き換えたんですよね。見てなかったら、是非見て下さい。 では、また次回のも見て下さい!! またね!!