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「待って。行かないで」
立ち上がって出ていこうとする彼女の手をすぐに掴んで引き止める。
「だって・・私迷惑・・」
「迷惑、じゃないから。透子は、特別だから・・」
迷惑なはずないでしょ。
あなたはずっとオレの中で特別なんだから。
今あなたがここにいるだけで嬉しすぎるのに。
そんなオレの気持ちが伝わらなくてもどかしくて、つい掴んだ手に力が入る。
あなたをこの見つめる視線でわからない?
オレがこんなにもあなたを想っていること。
「お願い。ここにいて」
だからオレから離れないで。
帰らないで。
「わかった・・。ちゃんといるから」
するとオレの気持ちが伝わったのか納得してくれた彼女。
「迷惑じゃないなら。ちゃんと最後まで看病させてもらっていい?」
だから、なんでこの人はこうやって自分をわかってないかな。
だけどきっとこれがこの人の優しさ。
それがオレにだけ向けてくれる優しさだと信じて。
「だから・・ずっとそう言ってるのに。オレは透子だから看病してほしい」
オレにはあなただけ。
あなただからこうやって弱ってる姿も見せられるし、あなたに甘えたくなる。
だから、オレのすべてを知って?
「わかった。ずっといるから」
そう言ってくれる彼女の言葉が声が優しすぎて。
オレを受け入れてくれたのかと勘違いしそうになる。
ホントはずっとそばにいてほしい。
ずっとオレと一緒にいてほしい。
今だけじゃなく。
これからだって・・・。
あなたのその優しさをずっとオレが独り占めしたい。
「じゃあ、おかゆ食べて。冷めないうちに」
だけど、多分彼女はオレが病人だからきっと優しくしてくれてるだけ。
前の男もこうやって看病してたんだよな、きっと・・・。
どう頑張っても彼女との年齢差は埋まらなくて、彼女と出会ってこうやって一緒の時間を過ごすことは、これから可能だとはわかっていても。
オレが知らない彼女の時間があるのが悔しい。
オレじゃない他の男と過ごしていた時間も、誰かを想っていた時間も、考えるだけで腹が立って仕方ない。
そんなのどうしようもないことくらいわかってるのに。
「はい。もう熱くないと思うから。自分で食べて」
だけど今はオレの為に心配してここにいてくれる。
いつもと違ってずっと優しく接してくれる。
それだけでホントは十分なんだけど。
「ん。透子ってさ~料理出来るんだ」
今食べてるこのおかゆもマジでウマい。
食欲なかったけどどんどん食べれるし。
おかゆってこんなウマかったっけ?
「出来ないなんて一言も言ったこともないけど」
「だって修さんとこでいつもメシ食べてるから」
「あ~。あれは仕事終わりで疲れるとそれからご飯作るの面倒だから食べに行ってるだけで。料理作るのは好きな方だし、別に余裕があれば作って自分で食べてるし」
マジか、何それ最高じゃん。
料理まで出来るとか完璧すぎてヤバい。
理想すぎてどうしよう、オレ。
「ならさ。今度オレにも作ってよ」
もっとあなたの作った料理が食べたい。
「え~なんで。ヤだよ。今日は風邪ひかせたお詫びで特別」
「だよね。誰のせいで風邪ひいたと思ってるの? あの日、どれだけ酔っぱらった後、介抱するの大変だったか・・・」
「うわ~!それはホントごめん!わかった!今度きちんとまたお詫びも兼ねて作らせてもらうから!これでいい!?」
「オッケ」
よっしゃ!どさくさに紛れて手料理にこじつけられた!!
まさか彼女の手料理また食べれるとか嬉しすぎなんだけど。
急に幸せなことばっか起きすぎてオレこのまま死ぬんじゃね?
「てか、それなら美味しいモノご馳走するよ?私作ったのなんて、たいしたことない・・」
「透子の手料理がいい」
そんなの認めるはずないじゃん。
即効却下。
オレはあなたの料理が食べたいんだから。
「なんで、そこまで・・・」
「いいから。透子の作った料理が食べたい。オレの為に作ってくれる手料理なんて最高じゃん」
例えあなたが振り向いてくれなかったとしても、そんな幸せなことをしてもらえたら、それだけで多分オレ生きて行けると思う。
てか、オレの為に料理作ってくれるって考えるだけでヤバい。
あなたの気持ちがオレになくても、せめてその時くらい彼氏の気分味わわせてよ。