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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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ジリジリと追い詰められたリカは涙目になり顔も火照ってくる。バックンバックンと心臓がうるさい。

この状況を打破できる術をリカは持っていなかった。


「せせせ、先輩のバカー!」


そう叫ぶと、リカは逃げるようにしてその場を後にした。


ひどく困った顔をしたリカを、航太は呆然と立ち尽くすように見ることしかできなかった。

リカが去った後も、視線はぼんやりと宙を彷徨う。


(やってしまった……。リカちゃんにフラれた……)


航太は頭を抱えてその場に膝をついた。

ずんと重苦しい何かが上に乗っかっている気分だった。


今の関係を壊したくなかったのに。

何事も少しずつだと思っていたのに。

それなのに答えを求めてしまった。

欲張りになった。


大人げなくも泣きたい気持ちに航太はぐうと項垂れる。


「うわっ、航太? どうした?」


通りがかった杏介に発見されるまで、航太はずうんと沈んで座り込んでいた。

納品物は散らばったままだ。


「大丈夫か? 気分が悪いなら医務室に……」


駆け寄った杏介は航太を立たせるため肩を抱く。

と、ガバッと航太に抱きしめられ思わず身を固くした。


「えっ、ちょっと、航太?」


「お前だけだよ、杏介。俺に優しいのはさぁ」


「は? ちょ、なに? ……俺、そういう趣味はないけど?」


「俺もねーよ!」


嫌そうな顔をして航太は杏介から離れる。

どちらかといえば杏介の方が嫌そうな顔をするべきなのだが、航太の沈んだ顔を見れば心配の感情が先に出てきた。


「何かあったのか?」


「……あった」


「……話聞いた方がいい?」


「……じゃあ今日仕事終わったら」


「ごめん、今日は無理」


「何だよ! 杏介の裏切り者ぉぉぉ!」


おいおいと泣く真似をする航太に杏介は苦笑いひとつ。

結局翌日に飲みに行く約束を取りつけられたのだった。

先輩が愛してくれた本当のわたし

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