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「類!!!助けてくれッ!!」
「…え?」
放課後、さて帰ろうかと思った矢先司くんに引き止められる。推しに助けを求められるなんてどんな夢小説だ…と思いながら、促されるまま向かい合うように席に座る。すると司くんは鞄から勉強道具を大量に出す。まさか…と思いながら口を開く
「司くん……もしかして…」
「ああ……………テスト勉強を全くしていないんだ…!!」
「少し意外だねぇ…」
少し笑ってしまった。司くんもちょっとだけ微笑むが、いや、笑っている場合では無い!とすぐ難しい顔に戻った。生で司くんの笑顔を見て、ドキドキしてしまったのはナイショだ
「というか…何故僕に?」
「類はいつもテストの点数が良いだろう?頼む!頼らせてくれ!」
「なるほど…?」
友達である司くんの頼みを断れるはずもなく、一緒に勉強をすることに。といっても、司くんは飲み込みが早い。少し教えるとスラスラ解いていくので、沈黙の時間の方が長いのだ。少し気まずいな…と思いながら、ふと司くんの方を見る。ノートに向かい合っていたはずの顔は僕の方を向いていて、
「……綺麗だ」
ぽつり、綺麗だと呟いた。
「え」
「………………?…………っえ、?!?!!!!」
呟いた本人も驚いていて逆に冷静になる…。声に出てたか?!!と焦る司くんはかわいくて、普段見られない姿を見られてラッキーだなと思っていた。あれ……司くん、僕の方を見て、綺麗………だ…って………………
顔が熱くなっていくのを感じる。傍から見たらまるで茹でダコのように真っ赤だろう。
「えっと、その、…つかさく」
「………………すまん!急用を思い出した!!!!!」
ガタッと急いで椅子から立ち、カバンを持って廊下へ走っていく。
「いきなり変な事言ってすまん!!!!また明日な!!!」……
「あ………またね…?」
…
はぁーーーーーー
大きいため息を着いてその場でしゃがみこむ。
『綺麗だ』
少し前に言われた言葉が脳内を飛び回る。今まで容姿について褒めれた事はまあまああるのだが、司くんに言われた時だけ心臓がうるさい。これは…何なのだろうか?