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misaka
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「体育祭最初の競技!」
実況の声が競技場中に響く。
『100メートル走!』
歓声が沸き上がる。
「最初から花形競技か。」
「いきなり盛り上がるな。」
天城はスタート地点へ向かう。
出場者は八人。
救助科、研究科、支援科、戦闘科。
それぞれの代表が並んでいた。
「おっ、C組じゃん。」
「救助科落ちの奴らか。」
そんな声も聞こえる。
天城は深呼吸した。
(気にしない。)
(勝てばいい。)
スターターが前へ出る。
「位置について。」
全員が構える。
天城はゆっくり目を閉じた。
17%。
いや。
(20%。)
昨日の特訓で、限界は少しだけ伸びた。
たった3%。
されど3%。
今までとは違う。
「よーい。」
全身へ意識を集中させる。
《電光石火》。
脳から神経へ。
神経から筋肉へ。
微弱な電気を補助するように流す。
20%。
バチッ……
体が軽い。
「パンッ!」
号砲が鳴る。
全員が一斉に飛び出した。
赤城は炎を噴射し、一気に加速する。
桐生は《加速》で最高速度へ到達。
風刃の異能を持つ神谷は追い風を生み、自分を押し出す。
研究科の生徒は風を計算し、無駄のないフォームで走る。
支援科の生徒は身体強化で一歩一歩を大きく踏み出す。
そして天城。
「行け!」
電気が脚へ流れる。
ドンッ!
一歩目から飛び出した。
「速い!」
観客席がざわつく。
「C組の一年だ!」
「誰だあいつ!」
天城は前だけを見る。
(まだだ。)
(20%なら耐えられる。)
ゴールまであと五十メートル。
隣では桐生が並ぶ。
「速いな!」
「でも!」
さらに加速する。
《加速》同士の意地。
天城も負けじと踏み込む。
四十メートル。
三十メートル。
二十メートル。
脚が悲鳴を上げ始める。
(まだ耐えろ……!)
歯を食いしばる。
白峰の言葉が頭をよぎる。
『流そうじゃなくて。』
『流れるイメージ。』
余計な力を抜く。
電気が自然と身体を駆け抜ける。
最後の十メートル。
「うおおおおっ!」
全員が一斉にゴールへ飛び込んだ。
『ゴール!!』
結果が大型モニターへ映し出される。
一位――桐生 悠 10秒81
二位――天城 雷斗 10秒85
三位――神谷 悠真 10秒96
わずか0.04秒差。
天城は膝に手をつきながら息を整えた。
「負けた……。」
悔しさはある。
だが、不思議と後悔はなかった。
黒崎が近づき、静かに言う。
「いい走りだった。」
担任も小さくうなずく。
「20%でそこまで走れたなら上出来だ。」
「ただし。」
「まだ無駄がある。」
天城は顔を上げる。
「もっと速くなれる。」
その一言に、天城の瞳へ再び闘志が宿った。
体育祭は、まだ始まったばかりだった。
大型モニターに結果が映し出される。
一位――桐生 悠
二位――天城 雷斗
三位――神谷 悠真
会場がどよめいた。
「一年生なのに速すぎるだろ!」
「今年の一年は何なんだ!」
実況席では教師がマイクを握る。
『驚きました!』
『戦闘科一年生が上位を独占!』
『しかも全員が大会記録に迫るタイムです!』
隣で解説の教師が腕を組む。
『……今年は粒ぞろいですね。』
『特に一年C組。』
『落ちこぼれと呼ばれているクラスとは思えません。』
実況が驚いたように声を上げる。
『確かに!』
『今までのC組とはまるで別物です!』
観客席でもざわめきが広がる。
「C組ってこんなに強かったのか……。」
「救助科落ちなんて誰が言ったんだ?」
少しずつ、周囲の見る目が変わり始めていた。
一方、担任は腕を組んだまま小さくつぶやく。
「まだだ。」
「こんなもので終わる連中じゃない。」
その言葉を聞いた黒崎は、小さく笑みを浮かべた。
「もちろんです。」
「俺たちは、ここからですよ。」
コメント
1件
ああ、すごく良かったです……! 天城くんが「気にしない。勝てばいい」って自分に言い聞かせて、20%の力で走り切る決意をしたところ、もう胸が熱くなりました。0.04秒差の2位、悔しいけど不思議と後悔がないっていうのは、ちゃんと全力を出せた証拠ですよね。それに、周りの評価が少しずつ変わっていく描写もじわっと来ました。まだまだこれからの天城くん、応援したくなります。