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misaka
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100メートル走が終わっても、会場の熱気は冷めなかった。
『続いての競技は――障害物競走です!』
観客席から歓声が上がる。
「次は何が出るんだ?」
「去年は壁と水路だったよな。」
「今年はもっとヤバいらしいぞ!」
天城は競技場へ目を向けた。
そこには巨大な壁。
その先には深い溝。
さらにその先には、不規則に動く足場。
最後にはゴール前を塞ぐ巨大なネット。
「……普通の障害物競走じゃない。」
黒崎が腕を組む。
「異能を使うことを前提にしている。」
「なるほど。」
天城は少し笑った。
「だったら僕にもチャンスがある。」
スタート地点には、各クラスの代表が並んでいた。
その中には桐生もいる。
「今度は負けないぞ、天城。」
「僕だって。」
スターターが旗を上げる。
「位置について!」
全員が身構える。
「よーい――」
「スタート!」
一斉に飛び出す。
最初の壁。
赤城が炎を噴き出して勢いをつけ、一気に飛び越える。
神谷は風を利用して壁の上へ。
御影は影へ潜り、そのまま壁の向こうへ移動する。
「異能って便利だな……。」
天城も負けじと走る。
壁まであと数メートル。
《電光石火》。
20%。
脚へ電気を流す。
踏み切る。
「せいっ!」
壁を蹴り、上端へ手をかける。
一気によじ登る。
だが、その直後。
「うわっ!」
足場が崩れた。
天城はとっさに横へ飛ぶ。
下には深い溝。
「危なっ……!」
着地。
そのまま走り出す。
次は動く足場。
足場は一定の間隔では動いていない。
右。
左。
前。
後ろ。
完全にランダムだ。
「これ、どうやって……。」
その時、後ろから神谷が追いついてきた。
「風で位置を読め!」
「え?」
「足場の動きには空気の流れがある!」
天城は一瞬だけ周囲を見る。
風。
足場が動くたびに、わずかに空気が揺れている。
「なるほど……!」
神谷の助言を利用して、足場を渡っていく。
一つ。
二つ。
三つ。
「行ける!」
最後のネット。
桐生が先に到着していた。
「ここで決める!」
《加速》。
桐生がネットを一気に駆け抜ける。
天城も続く。
20%。
電気を脚へ。
だが、ここで全力を出せば反動が来る。
(無駄に使うな。)
白峰の言葉が頭に浮かぶ。
(流れるイメージ。)
必要な瞬間だけ。
脚へ。
腕へ。
脚へ。
最小限の電気を流す。
「っ!」
ネットを抜ける。
ゴール。
『一着――桐生 悠!』
『二着――天城 雷斗!』
またしても桐生が一位。
天城は悔しそうに息を整える。
「また負けた……。」
桐生は振り返る。
「でも、さっきより差が縮まってる。」
「え?」
「100メートルでは0.04秒。」
「今回はほんの少しだ。」
天城は驚いた。
自分でも気づかなかった。
ただ速く走るだけじゃない。
異能をどう使うか。
いつ使うか。
どこに使うか。
それだけで結果は変わる。
観客席から声が聞こえる。
「今年の一年、本当に粒ぞろいだな。」
「特にC組、面白すぎるだろ。」
担任は競技場を見つめながら、静かに笑った。
「……少しずつ、分かってきたな。」
天城は拳を握る。
まだ一位には届かない。
でも。
昨日の自分よりは、確実に前へ進んでいる。
体育祭は、まだ始まったばかりだった。
コメント
3件
みたらし団子さん、第16話読ませていただきました!障害物競走の描写がすごく臨場感あって、思わず応援しながら読んじゃいました。天城くんが「異能をどう使うか、いつ使うか」って気づくシーン、じんと来ましたね。負けたけど確実に成長してて、続きがもっと気になります!体育祭、まだ始まったばかりなんですね…楽しみです🌷