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キルクラ
任務帰りの宿。小さな和室、布団は二枚並べて敷かれていた。
ゴンとレオリオは別室。
クラピカとキルアのふたり部屋。
クラピカは早めに風呂を済ませ、横になっていた。
キル(クラピカのやつ、寝たかな……)
目を閉じたまま、浅く呼吸をしていた。
少し疲れていた。
でも、眠るにはまだ意識がはっきりしていて
クラ(……隣、動いてるな)
気配が近い。
布団と布団の間の、わずかな隙間から。誰かがこちらを覗き込んでいる。
クラ(……キルアか)
気づかれないように、まぶたを少しだけ開けてみる。
__ほんの十数センチ先に、キルアの顔。
クラピカは、目を開けた。
クラ「……何してる」
キルアが**ビクッ!!**と肩を跳ねさせた。
キル「っわっ!?ちがっ、え、今、起きてた!?寝てたんじゃ__ 」
クラ「見ればわかるだろう。起きている」
キル「いや、そ、そうじゃなくて!!その、えっと、確認っていうか!!」
クラピカは体を起こし、無言でキルアを見つめた。
キルアは焦って手を振りながら、
キル「その、お前……いつも怖い顔してるから…なんか、顔が、違って見えるっていうか」
クラ「……顔を覗き込む理由になるのか、それは」
キル「だって、男なのに……いや、男だけど、そう見えなくて、って…」
クラピカは思わず小さく息をついた。
そして、ふと口角を上げて言う。
クラ「……お前、まさかとは思うが、性別を確認しようとしたわけじゃないだろうな」
キル「ちがっ……ちが……た……」
キルア、沈黙。
顔がゆでだこみたいに真っ赤。
そのとき__
ゴン「クラピカ〜?起きてる?……あれ、今なんか声した?」
ゴンの声が部屋の外から聞こえた。
クラピカとキルア、即座に固まる。
キル「やべッ……っ」
キルアが布団に飛び戻る。
クラピカは咄嗟に布団をかぶり、寝たふりをした。
障子の外でゴンの足音が止まり、しばらく沈黙。
クラ(……バレたか?)
数秒後──ゴンはまた廊下を歩き去っていった。
キルアは小声で言う。
キル「なあ、今の、マジで事故だよな?不可抗力だよな……?」
クラピカはふっと目を閉じながら、ひとこと。
クラ「……さあな。少なくとも、男相手にやる行動じゃないな」
キル「うわぁ……ッ!!」
終わり