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『紫乃今日13時までだよねー?
中庭で待ってるからご飯いこ!』
部活が終わり着替えを済ませてスマホを開くと玲花からLINEが入っていた。
母に、お昼ご飯外で食べてくる、とLINEしながら廊下を早歩きで渡っていると、曲がり角で人とぶつかりそうになった。
「すいませ、、」
「おお幡中、悪い、大丈夫?」
上岡だった。少し久しぶりな感じがする。
「うん、ごめん。…髪切った?」
以前よりすっきりしたような。
「うん切った、結構伸びてたし」
上岡は自分の髪を軽く触りながら言った。
「あ、幡中さ、大会でベスト8取ったから飯ごちそうしたいんだけど、いつ空いてる?」
「え、いいよそんな」
「焼肉でもラーメンでもなんでもいいぞー」
上岡は優しいから、私が遠慮しないようにしてくれているんだろう。
「祝いたいのはほんとだけど、夏休み幡中と二人で出かけたいって思ってたから」
上岡は微笑んだ表情を見せた。
「奢るからとか、そんな誘い方せこいよな」
だせえし、と言って少し自分に呆れるような笑顔を浮かべたので、私も思わず笑った。
「じゃあ、焼肉」
「お、いいな。行く日はまた連絡するわ、今日 」
「今日?」
これにも思わず笑った。
「帰って予定確認して今日連絡」
じゃあな、と上岡は私に手を振った。
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中庭に行くと、玲花と誰かの後ろ姿が見えた。
その後ろ姿の眼鏡が見えた瞬間、あ、と声に出た。
「あっ、紫乃お疲れ〜」
「お疲れ様 」
「お疲れ」
いつもの静かな声だった。
「宇治今から部活行くんだって」
「そっか、頑張って」
宇治とはこの前のお祭りの日以来連絡を取ったりはしていなかった。
「ちょっと描いてあとは課題やるだけだけど」
「偉いね、学校で課題って」
「まあ、暇だし」
「よし、じゃあ紫乃ご飯いこ!今日はね紫乃はお好み焼きの気分だと予想します」
「えすごい、なんでわかったの」
「紫乃のことなんでも知ってるからね〜」
玲花は荷物を肩にかけて立ち上がった。
「じゃあ宇治またね」
「うん」
「じゃあ」
「幡中さ」
またその静かな声で、呼び止められた。
「部活、何曜にやってるの」
「え、ああ、」
だいたいは決まっているけど変わるときが多い。
「いや、ごめん、なんもない」
宇治はそう言って校舎に入っていった。
「?宇治変だね」
「、、なんだろ」
変には思いながらもお腹が空いて、早足でご飯屋さんに向かった。