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時雨の記憶
本編の前に注意です。誤字や脱字があるかもしれません、よろしくお願いします。
時雨の章
「痛い…やめて…」
あの日から、家族が壊れた。
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猫の杏が死んだ。
それによって、私と義母を繋いでいた糸がプツッと切れた音がした。
私は養子だった。義母は、音にだけ優しくした。音も、養子なのに。
音と私は、一緒に連れてこられた。
けれど、私は付属品だった。
音は明るく素直な子だ。どこか守りたくなるような。
それに対して、私は。
どこか馴染めなかった。人と話すのが怖くて。
何も信じれなかった私は、いつのまにか音にだけ、頼っていたのかもしれない。
けど、そんな毎日は続かない。
音が新しいワンピースを買えば、私は中古のボロ布のような服を着せられ、音が食べたいと言えば、どんなに
高いものでも食べに行ったし、買ったりした。でも私は、お金だけ、渡されていた。お腹が空いたら、コンビニでおにぎりやパンを買った。レジのおばさんが、お菓子をおまけしてくれたこともあった。
そんなとき、心が温かくなった。
お母さんは何も聞いてくれなかったから、お父さんに話をした。でも、ほぼ聞き流されていたんだろう。
でも、音は。違った。私がお腹が空いていると知れば、義母にお菓子をねだって、こっそり渡してくれた。
私が唯一話せた相手。妹なのに、私が救われてたんだ。
だから。守らなければと思った。