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【怖くねぇし】 小柳ロウ
「お願い!小柳くん!」
「はぁ?」
朝起きたら星導が手を合わせ頭を下げながら声をかけてきた。
「今日だけはぁ~~」
「…」
事情は星導から聞いた。カゲツが怖い夢を見たそうでみんなと寝たい。とのことだ。
昨夜星導はカゲツと一緒に寝た。きっとそれがきっかけだろう。
「カゲツ、ライと寝れるって嬉しそうだったし!「ロウも一緒だったらいいなぁ~」って言ってたし!!」
「……」
こいつ、俺が断るとでも思ってんのか?と思いつつ、ふと気づいたことを言う。
「今日俺が東の奴らと飯食いに行くから、「あっ、小柳くん夜遅くなってきっと一人で寝ちゃうんだろうなぁ~~」なんて思って言ってんのか?」
「うっ」
星導の反応的に図星だ。
「あのな、俺がその約束を忘れるほどアホだと思ったのか?」
「え、うん。小柳くん眠いと本当にアホみたいになるから…」
こいつ…反論はできないけどなんな言い方はないだろ…
「一緒に寝ればい―んだろ、そんな心配しなくても大丈夫だろ、しかも今日はあいつら予定あるし早く解散する予定だから…」
「あっまじ?じゃあ大丈夫か、いっしゃらっしゃーい」
俺の言葉に星導は安心したのか、玄関まで向かう。
「ん、」
俺はドアを開け、眩しい朝日を浴びる。自然とほほが緩んだ。これは注意せねば東の奴らに突っ込まれるなんて思いつつ歩き始めた。
「えー!なにそれカゲツきゅん可愛い~~」
にやにやしながら俺を見るウェン
「俺、これからロウの家住むことにするよ…」
頷きながら唐揚げを口にするマナ。
「俺もあの頃に戻れたら…」
ハンカチで目元を抑えながら唐揚げを取ろうとするイッテツ。
「おい、イッテツこぼしてる…」
イッテツが落としそうになった唐揚げをぎりぎりでキャッチするリト。
「お前らさぁ…」
そして呆れる俺。これはなかなかの絵面だ。
案の定俺のにやけは出てららしく、それに気づいた東組に話したらこの様だ。今は昼休み。
午前中までの眠気は教室のにぎやかな空気で吹っ飛び、ウェンのお手製唐揚げをみんなでつまみながら雑談をしている。
「じゃあ今日の予定他の日にしようか?」
「はぁっ?」
ウェンの唐突な提案に俺は唖然とする。
「まぁ確かに、今日俺たちもご飯の後予定あるからそっちの方がありがたいかもな~」
マナが頷きながら答えた。
「っ、でもな…」
「いいよ別に!気にしなくても!」
俺が申し訳なさそうにするのを感じ取ったイッテツは気にしないでと笑いながら言ってきた。だけど俺はもともとあった予定だとか、予定ずらしちゃ悪いだろと彼らに訴えた。
「もぉ~頑固だな~ろうきゅんは!!大丈夫だって言ってんじゃん!!」
俺がどうも素直に受け入れないのに痺れを切らしたウェンは俺の肩を叩きながら言ってきた。
「小柳、そこは素直になるところだ。」
「…………」
リトに核心を突かれ、折れた俺は放課後、活動があるからと言ってた東の奴らと解散し、真っすぐ家に帰ることにした。
「おかえりなさーい…って、小柳くん!?」
家に帰ると星導は驚いた様子で、ご飯食べる予定だったんじゃないの?と俺に聞いてきた。
「いや、ウェン達に感づかれて…うん…」
俺のにやけが顔に出てたなんで死んでも言えない。そう思いながら当回しに事情を説明した。
「あ~…一枚上手だったってことか…w」
「は?なんだよそれ、別に俺が顔に出てたって訳じゃねぇ…し…」
星導に突っ込まれた所に反論をしようと思ったがボロが出てしまい一番事情を話したくない奴に伝わってしまった。それを聞いた星導はなにそれぇ~と顔をほころばせた。
「っ~~!!」
「わは~照れてやんの~~!!!」
俺の顔が恥ずかしさでだんだん赤くなるのを見ながら星導は俺を子馬鹿にしながら何かを取りにリビングへと向かった。
「…小柳くんこれ知ってますか?」
しばらくすると星導は俺を馬鹿にするのに満足したのか、リビングから帰ってきて、一枚のチラシを見せてきた。
「……ぇ……」
そこには、絶叫!全国から注目される恐怖のお化け屋敷!と恐ろしいフォントとともに書いてあった。
「……w小柳くんw」
俺の顔がこれでもかとくらい引きつって、声も出ていなのにのに気付いた星導は大丈夫ですか?と声をかけつつ俺の肩をゆさゆさと揺すってきた。
「あ、?んだよ、怖くねぇし…」
「そうですか?なら安心です。ライとカゲツが朝、ここに行きたいと言ってきて、明日は誰も予定ないので行こうかと思ってたんです!!」
俺が強がっているのにも薄々感づいているのにも関わらず星導は話を進めた。
「まっまぁ、いいんじゃね?最近熱くなってきたしな…」
俺は本心では行きたくないと思っているのに口からは別に大丈夫と言ってしまう。そこに感づかれたくなく、話を逸らそうと試みた。今の季節は6月の後半、梅雨も明けジメジメとした暑さが迫ってきている頃だ。
「そうですか?やっぱ小柳くんは頼りになりますね~~!俺、2人とも迎えに行ってきますね~!!」
パンッと手を嬉しそうに叩いた星導は行ってきます~と言いながら2人を迎えに行った。
「はぁぁぁっ…」
星導が玄関から出た途端、足の力が抜けてしまいその場でうずくまった。どうしても強がってしまう自分が嫌になる…なんて嘆きながらみんなの帰りを待った。
「ローウ!!聞いたか?明日行けるんやって!!」
「お、おう…」
カゲツが帰ってきてすぐ、大声をあげながら俺に飛び込んできた。俺よりも一回り小さい体を思いっきり俺に預けてくる。俺は耐えながらカゲツの顔を見る。とても嬉しそうで、にっこりと笑っている。ライも向こう側で星導と嬉しそうに会話をしている。あぁ、これ…駄目だ…ちゃんとしなきゃな…そう一人で思いながらみんなで晩御飯の準備をする。そして、カゲツが今日あったことを大きな声で話ながらライが訂正を加え、みんなで笑う、そんな雑談をしながら気づけば寝る時間になっていた。
「……」
あ~なんで俺ってこんな性格なんだろう…白狼なのに怖いもの苦手って……歯ブラシを鏡の前で動かしながら自分に絶望する。…いや、人には得意不得意があるし…そんな…
「小柳大丈夫?」
「っ…!?!?」
無心で歯ブラシを動かしていたら下からライの声が聞こえた。ライの声にびっくりしながら俺は洗面台からずれた。
「…ロウ怖いの苦手なのに大丈夫かな…って星導が言ってたよ。」
ライは俺の顔を心配そうに見ながら言った。俺は口をゆすぎ「別に…」と一言だけ言った。
「…そう?俺が手繋いであげるからね、」
「…は?」
ライは笑顔でおやすみ~と言い、寝室へ向かった。
「……」
俺はライの言葉でフリーズしている頭を再び動かし、洗面所から出ようとした。
「いい子ですねぇ~」
話を聞いていたのか、洗面所のドアに寄りかかり、ニヤニヤしながら星導が立っていた。
「……そうだな」
「んふw珍しく素直ですね。」
「うるせ…」
「これで小柳くんも行けますね。楽しみです。」
「…駄目だったらお前にしがみつくわ。」
「ちょ、それはやめてくださいね?」
「…wやんねぇよ、別に怖くねぇし。」
そう言い合いながら星導とカゲツとライが待っている寝室へと向かった、でも恐怖であまり眠れなかったのは、また別の話だ。