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小さい頃から探偵である父さんに憧れてきた。
小説や漫画、映画などのように銃を持てたり、殺人事件や盗難事件を解決したりするようなことはめったにはないけれども、そういった作品や父さんに憧れてきた。
父さんはすごく親切。なによりも忠実で公正な人である。そんな父さんだからこそ、税金のことを考えずに、探偵という職業を選んだ。
それは、警察官になったとしても、日本の法律を簡単に変えられないと彼はわかっていた。だから、デモクラシーを気にせずに動けられるからといった理由で探偵になると、夢を変えた。
その父さんの目指す職業を変えたのは、私のお母さんだった。
彼女が大学生の時に父さんの兄貴からレイプされ、警察官はそれにたいして何もしなかった。
それは、証拠が足りなかったから。
でも現実には風月爺さんの知り合いや友人が数人、参考人として嘘情報聴取をし、警察官に母さんと風月爺さんが前から付き合っていたと確認済みをされた。そして、母さんは妊娠中であることを知った風月爺さんが子供を引き継がないと言い、母さんは嘘をついて彼の金で、自分自身と生まれる子供のために復讐をしたく、警察に届出をしたと疑わられた。
という汚い嘘話。
当然、風月爺さんの足を舐めるように、警察官は最初から最後までの情報聴取者達の言葉そのままに、書類を書いた。
それから、私が生まれてから数日後、母さんは虚偽告訴罪となって、一年間の実刑判決を受けた。
お母さんは私を生みたくなかった。でも彼女のお母さんであって、私のお祖母のマリコ祖母ちゃんが、
「その子を生んでだけ生みな。私に預けてもらってもいいからさ」
と言ったらしい。
お祖母ちゃんはその時期にはもう年を取っていたが、命をすごく大切にしているから、それを気にせず私を預けてくれた。
そういうことで私は生まれた。
生まれたばかりにマルコ祖母ちゃんの元に渡されて、育てられていた。
それから数カ月後、兄貴のしたことを知った父さんが、兄貴の変わりに誤りに、マルコお祖母ちゃんの家まで訪れて来た。それも、私が生まれてから六カ月後。
できたことならもっと速く来ていたらしいけど、父さんの両親は、彼の兄貴がしたことを全身全霊で隠したらしい。
ということで、六カ月後にしか事実を知らえなかった。
父さんは、私が彼の兄貴の子供と知って、育ちたいと語った。その時、父さんはまだ高校三年生だった。
成年になったばっかりの頃で、まだ高校生であったこともあって、彼の両親はその選択に反対した。
そもそも私の存在すらを彼から隠していたのだから、恐らく、彼に私と一切関わりを持たせたくなかったのだろうね。本当に。
「絶対高校を卒業して大学に受かるから、この子を預かせてくれ!」
それでも私を育てたく、両親の前で父さんは土下座をしながらこのようなことを宣言した。らしい。
何を父さんにそんなにも私を預かりたいという気持ちにしたのか、私は全くわからない。
父さんによれば複雑なことで、私を見た瞬間に『育ちたい』という気持ちが現れたみたいだけどね。
父さんの両親は、父さんのしつこ差で諦めたのか。無視をして、話の内容を替えていた二人が答えた。
知っている通り、両親の許可とマリコ祖母ちゃんの許可から、父さんは私の保護者となった。
事実は辛い。本当は、お父さんがお爺さんであって、私のお爺さんは私の本当のお父さんである。
イヤ、 彼は鬼である。お爺さんなんかではない。ただ血が繋がっている鬼。悪魔だ!
そして、お母さんは私の顔すら、存在じたいを無視する。
でも、彼女の気持ちは理解できる。だって、私は彼女の人生で一番辛い思い出から生まれた者。
―非嫡出子だ。
私が生まれる前、鬼がやったことを警察に報告したお母さんは、彼らの行動を待っていた。
ちゃんと言うと、復讐を求めていたと思う。でも結局、二ヶ月で警察官は調査をやめ、鬼には罰が届かないまま、彼は今でも楽々とした幸せを巡り、生き続けているだろう。
そして、母さんのような何人もの女性に、何回も同じことをやり続けている。と、予想する。
なんでそんなに酷い人間が存在するのかがさっぱりわからない。
一応、お父さんの兄貴だと言え、父さんは私を預けて以来、彼と一言も交わさず、顔も合わせなかった。
どんなにも仲直りをしてと、家族から口うるさくっても。
その出来事で、裁判官になりたかったお父さんは、 探偵になると決めたのだった。
警察官が見つからなかったものや調査するのを諦めたことなど、それらを諦めずに解決できるまで調査をやり続けると思ったかららしい。
探偵という職業に触れたのは、私を預けた時だった。
お父さんはお母さんと同じ状況にあった女性や男性の話をインターネット上で調べていた中で、時々「探偵が解決してくれました!」のようなことを書いた人は少なくはあったが、そのような状況に満ちている人を助ける確率が1%だとしても、父さんは助けたいと思う、心強い人。だから探偵を目指すようになった。
私はそれらの話を何回も聞いて、小学二年生でお父さんと同じ、探偵になることを決めた。あの頃は探偵が出てくる作品にたくさん触れ合ったり、父さんに仕事内容を聞いたりしていた。
当然、彼は私がもっと大きくなったら、母さんについて言うつもりだっただろう。
でも私が
「なんで私だけお母さんがいないの?」
と、いつもいつも父さんにきいていた。そのせいで彼は言わないといけない。
そう考えたと私は思う。
「お母さんに悪い人が嫌がらせをして、警察にそれを言ったんだけど、彼らは何もできなかった。だから、お母さんは逃げたの。でもお母さんを嫌いにならないで」
のようなことを何回も何回もきいてきた。
そういった言い方だったのもあって、小四で警察官になりたいと言った男の子と大喧嘩した。
「今日は春休みが明けての初事業なので、ちょっとみんなのこと改めて知りたいと思います。なので、一限目は自己紹介です」
先生は私達にそう言った。
クラスのみんなが一人ずつ立って、名前や好きなことを喋った。
私の番が来たとたん。私は立った。
「私の名前は一条梓。好きな動物はキツネ。将来の夢は、父さんのような探偵になること!」
私は胸を張ってそう言った。そしたら、クラスのみんなが私に、大きな拍手をしてくれた。
「僕は横坂太郎。好きな食べ物はお母ちゃんのカレ一。嫌いなものはピーマン。将来の夢は警察官」
「すごい」
「すてき」
「きっとなれるよ!」
など、太郎に向かってクラスのみんなが言った。
そんな、みんなの反応が理解できない。警察官は悪い人だもん。なんで太郎を褒めるの?
私は立って、太郎の方を向いて、こう言った。
「太郎君、警察官のみんなは悪い人だよ。だから、夢を変えたほうがいいと思う」
もしかすると、太郎は知らないかもしれない。だから教えてあげた。これでやっとわかってくれるよね?
「ちがう! 警察官は正義のみかただって父が言ってた!」 太郎が立って、叫んだ。
太郎は自分のお父さんが言ったことを信じて、すごく偉い優等生だと思う。同時にすごくバカだと思う。
「そんなの嘘! 警察官は悪い人ばっかりだよ!」
「うるさい!」
本当のことを言っただけなのに。何故、彼は信じてくれないの。
「太郎のバカ!」
「バカはそっちやろ」
「バカバカバカ!」
「あずさがバカだ!」
「二人共、落ち着きなさい!」
先生は私達二人に向かってそう言った。
「バカ」
「黙れ。母さんがいないくせに、何がわかるんだよ!」
腹が立った。
私は考え直すこともしないで、太郎の上にのり、 次々と彼の顔を殴り始めた。
「やめろ馬鹿野郎!」
太郎は私のあごを思い切りうった。
「梓ちゃん、太郎を離しなさい!」
そう言いながら、先生は私を太郎の上から離そうと、両腕を掴んだ。
その後、私のお父さんと太郎の両親で話したらしく、お父さんがお辞儀をして、私の変わりにあやまた。
家に帰てから、お父さんは警察官は悪い人たちじゃないと言った。あの頃の私は、一回もそのように思えなかった。警察官の人たちは悪いものばっかりだ。だから太郎が警察官になりたい。そのように考えていた。
私が中学三年生になると、父さんは母さんについて、ちゃんと話してくれた。レイプのこと、警察官のことも、お祖 母ちゃんの言ったことや母さんが私を育ちたくないことまで、言ってくれた。でも、その前に
「すごく重い話だ。もっと大きくなってからの方が良いと思う」
と、父さんはすごく真面目な顔で私の目を見つめながら言った。
「父さん、言って。本当のことが知りたいの」
私はそう言った。
父さんは大きなため息をついてから全てについて語った。
始め、私は信じられなく、自分の部屋に閉じこもったり、学校を休んだりした。母さんがどうしても許せなかった。
でも一週間が立った時に、全て元通りになったと言える。
大人になってからじゃないと探偵にはなれないなんて、それは大人が子供をなめてる証拠なのだ。父さんはそんなことを絶対言わない。言うのは、父さんと違う汚い大人たちだけ。
私は十六歳なのに、多くの大人ができないことができる。でも探偵にはなれない。なんて可笑しいことだ。
限界は自分で決めること。だから私は、今から探偵になってみせる。私はそう考えて、許可なしで探偵をやっている。私はまだ学生だから、捕まってもなにもならない。それに、父さんが味方している。手伝いが必要と思われる時、できるだけ手伝いを申してくれる。(父さんが捕まらないために、あんまり手伝いを受けていないが)
インターネット上で、父さんのように私は自分から仕事を探すようになった。
『一条二条』
インターネット上で良く使う愛称だ。時には、「一条二条さん」と、私が気づくように書いて、仕事を申し込んでくれる人もいる。それは結構ありがたい。
仕事を探していたら、父さんが部屋のドアをノックした。
「入るぞー」
父さんはいつも三回ノックをしてから、部屋に入ってくれる。
「梓、仕事は見つかったかい?」
「まだ見つかってない」
「そうか、見つかったら言ってな」
「そうするよ、父さん」
父さんは白歯を見せて、微笑んだ。彼はいつも、仕事が順序にいっているかをきいてくれる。とても優しく、暖かな口調で。
「食べたいものない?作ってあげるよ」
「父さんが食べたいもので良いよ」
「わかった・・・」
そう言って、父さんは子供のような寂しい表情で、部屋のドアを閉めた。
もう、父さんたら。大人のくせに、幼児に思えるくらいだよ。
椅子から立ち上がって、キッチンの近くのリビングで、ソファーに腰を掛ける。
「豚カツが食べたいなー」
父さんが聞こえるように、わざと、背伸びをしながら、普段より大きめな声で宣言する。
何秒か立って、台所の方をチラッと一瞬だけ覗き込む。父さんがニヤニヤと笑顔をしていたのが見えた。
父さんは本当に幼児だ。
「いただきます」
父さんと同時に手を合わせて、食事を頂く。平らな皿に、一口の大きさで切られている状態で並ばれてあるのは、思ってた通りのトンカツだった。父さんはトンカツを作ってくれたのだ。
空中に湯気が立ち、 香りが漂っていることで、焼きたてだとすぐわかる。
箸でトンカツを掴む。カサカサと良い音がした。三個ぐらい、米の入った皿にのせ、唐辛子の入ったソースレシピエントを取るために、手を伸ばす。
「唐辛子、好きだねー」
トンカツにソースをかけている私に向かって、父さんは笑みを浮かばせた。
トンカツを口にする。
「カリッ」と、とんかつを噛んだとたんに良い音がした。
美味しいことを 父さんに視線を向けて、彼が微笑んでくれた。嬉しい。
父さんの作る料理は、いつも美味しい物ばかりだ。
というか、父さんは料理以外にも、色々が上手である。 勉強、写真、縫製、調査や五言語以上を話せれるなど、 父さんはとてもすごい人だ。
『一条二条さん、私はネ子と申します。もしできるというならば、私の学校の調査をしてくれませんでしょうか?イヤ、事件になるための証拠を集めてほしいのです。警察官が来て、調査はしてもらったけれども、証拠が一つも見つからないまま、事件を終了されたみたいで―』
と、数日前に送られていたのが、晩ごはんを食べた後に目にした。
そこには、私の注目をあびさせるものがあった。
『事件内容は、女性レイプです。』
そんなことが書かれてあった。
「・・・母さんと同じだ」
思わず考えたことを其のまま口にした。それとともに、不思議な寒気と心が刃物に刺されたかのような苦しみを感じる。
母さん。母さんの話と似ている。
違う、似ているんじゃない。
―同じなんだ。
『お願いします。私が貯めてある金を全てあげます。 ですので、調査をしてください。このままだと、私や他の女性が学校に通えれない状態です。すごく辛いので、 通えないのです。お願いします。心からの頼みです。 学校名は、大阪府県立茜花高等学校』
「お、大阪・・・か」
大阪府となると、無理かもしれない。
嫌、完全不可能だ…
くそが!
与えてくれた事件は住んでいる都道府県外で、それに学校の中。同じ都道府県であれば、父さんに学校を替えるよう頼めば良いだけの話だが、県外はちょっと・・・
「梓、どうかした?仕事見つけたのか?」
気づくと、父さんは部屋に入っていた。
深く考え込んでいたせいで、三回ノックが聞こえなかったみたい。
「イヤ、その。なんでもない」
父さんには言わなくても、それは無理だとわかっている。だから言うまでもない。
「なんでもないと言ってごまかしていないか?顔に違うことが読み取れるが」
しまった。
悩んでいたことが、顔に出しているらしい。 父さんはベッドに座って、私が何かを言うのを待っているという目線で、私を見つめている。
「何でもきくよ。な、父さんに話してみな」
数秒が立って、父さんは優しい口調で言った。
彼には言わなくたっていいものだが、父さんに言ったほうが楽だと感じた。
そのようにして、私は父さんの横に座り、送られたメールのことについて話す。
「そう、か」
全て話し終わった後、父さんは手をあごに当てて、何かを考え込み始めた。
「その事件をどうしても解決してみたいか?」
数秒後、笑みを浮かべた父さんが私に質問をした。
「でも、それは無理だと思うけど」
「そうじゃなくって、解決したいか、したくないかをきいている」
「私は、」
あのメールを思い出すたびに、母さんの過去やその学校の女性たちの辛さを詠み替えてくる。
自分の中に火が燃えているかのように感じた。何等かをして、助けたいと、強い感情が巡られる。本当に強い気持ちだ。
「私は、解決したい」
私が何十秒もかけて迷う中、父さんはじっと答えを待っていた。
「そうか」
さっきと同じような。イヤ、同じ言葉を言ったはずの父さんは、今の言葉が前のと違って、安心したような口調だった。
「いいぞ」
「え?」
「事件受けてもいいぞ」
「でも、それは・・・」
「引っ越そうか」
「え?」
意外な言葉に悲鳴をあげる。父さんは私と目があったとたん、片方の目を閉じた。ウィンクをしたのだ。
引っ越す、か・・・・・あぁ、そういうことね。
ちょっと考えて、父さんの言いたいことが恐らく理解できた。
「わかったよ、父さん」
「金曜日に引っ越すからな、準備しとけよ」
私のおでこにキスをして、父さんは部屋を出ていった。
今日は火曜日。だとしたら、三日後で引っ越すことになる。でも、もう夜だから二日後となる。二日間で準備を整えれるの? やっぱり父さんは本当にすごい人だ。
「梓、忘れないわ」
「次の学校でも頑張ってね、梓」
「梓会長、元気にしてください!」
「梓ちゃん、元気でね」
放課後、そのようなことをいろんな人から告げられる。
友達やクラスメート、先生などからお別れを言われ、私も皆とおさらばをする。ある他クラスの人から、手紙を何個か渡された。中には、目から水たまりを流しながら涙する人もいた。話したことのない人からも、温かな言葉で送られた。お別れは本当に悲しいが、これは必要なことだ。
父さんとも相談した。と言うより、ちょっとした話しだったが。同時に、事件を解決できたら、またこの学校に転校してくること。
もし、大学生になった時にしか戻れないとしても、とりあえずまたここに戻る。
私自身はどうでも良かったが、陽乃たち(彼女と彼女の両親)が父さんに引っ越さないでと告げたことで、 父さんの心が痛めた。
陽乃は私の昔からの幼馴染内の大親友で、父さんも結構、彼女を気に入っている。だから、父さんはすごく悲しんだ。
陽乃も陽乃の両親も、保育園からのおつきあいが終わるということを聞くだけで、皆悲しくなった。
そのため、私は父さんと相談をした。(相談と言えるかどうかは、わからないが)
「父さん、話したいことがあるんだ」
「あ、うん、そうか。聞いてあげる」
父さんはトントンと、彼の近くの椅子を叩いた。恐らく、『座って』という意味でしょう。
私は椅子に腰掛ける。
「事件を解決できたらさ。またここに住んで良い?」
「おう、もちろんだ」
苦笑いではないが、私が気づかないために、辛そうに笑顔をしていた父さんが、やっと、いつもの暖かい笑顔を見せた。父さんは、ほっとしている。
それで、私もほっとした。
悲しいにも関わらず、父さんは一度も文句も反対もしなかった。落ち込んではいたが、私が選んだことからではなく、どう陽乃の両親におさらばすれば良いのかがわからなかた。というか、父さんは彼らとわかれることじたいが、悲しかっただろう。春おじさん(陽乃の父)と佐智おばさん(陽乃の母) は父さんが私を育ち始めるようになった頃、彼らは父さんと知り合った。
佐智おばさんは母さんの親友のお姉さんらしく、彼女も母さんと仲が良かった。
でもあれが起こって、母さんは誰とも話さないようになった。美乃おばさん(佐智おばさんの妹)とすら、話さなくなった。
だから、佐智おばさんとも当然、遠ざかっていた。
けど、佐智おばさんは父さんが私を育てていると言う噂を聞いて、信じられなかったらしく、真理子おばあちゃんの家まで訪れたみたい。
ドアを開けてもらった人は高く、マッシュ髪をしたイケメン。でもちゃんと見れば、彼は子供を抱えていた。
「あんたがレイプした男!?」
「いや、その。それ兄貴のことだね。えっと、彼はここに住んでいません。さよーなら」
父さんはドアを閉めようとしたが、佐智おばさんは足をドアの済に挟んで、それを止めた。
「その子はもしかして!」
「そうだ。知りたいことがもうわかっただろう。
だから帰ってくれ」
「なんで君、その子を世話してるの? あんたのじゃないでしょ」
「あんたに関係ないだろ」
父さんは怒った口調ではなく、軽い雰囲気で言ったらしい。
「あんたこそ、なんで巻き込んでいるのよ」
「俺がそうしたかったんだ。父さんも母さんもこの子を捨てたんだぞ!だから俺はこの子を預かった。だから邪魔すんなよ!」
という話を何回も聞いた。
初めて聞いた時、信じられなかった。だって、こんなにも優しい父さんが怒鳴るなんて、めったに想像できないもの。
父さんは確かに怒っていた。(佐智おばさんの話によるとだ)それでも、すごくしっつこい佐智おばさんと仲良くなって、私と陽乃が初めて出会った。
そのようにして、竹川さんたちは父さんと私にとって、掛けがえのない人たちになった。だから、父さんの落ち込みは普通に考えて、(どう考えても)当然のことだ。
「あずちゃーん、元気にしてな」
陽乃から強く抱きしめられる。
「陽乃こそ、元気にしててね」
肩もとに温かいものを感じる。
陽乃は下に向いていた顔を、私の方に向けた。彼女は私の顎あたりの身長をもっていることで、私と話すために、陽乃はいつも顔を上げないといけない。
「元気にするよ」
目からポロポロと涙を流して、陽乃は泣いている。でも何故か、悲しくは泣いていない。笑顔をしながら泣いている。嬉しいときかれたら、多分それもちょっと違うかな。何と言うか、「頑張ってね」と言っているような、
「ありがとう」という感じだ。
「私も頑張るね」
「うん、わかってるよ」
「さようなら」
故郷を離れ、正義を選んだ私は、自分のした選択に後悔を今からしても手遅れだということをわかっている。
罪―犯罪をした人に必ず罰を与えるためなら、何でもします。
今から全て、私が取った行動と言った言葉に責任を果たします。
例え私が悪人に回されても。信じる人がいなくても。
信じられるまで、私はこの件を決着なしで終わらさない。
絶対に