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放課後、夕焼けと秘密の約束

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放課後、夕焼けと秘密の約束

19 - 第19話「誰かに話すということ(前編)」

2025年06月15日

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春の終わり、母からの電話が鳴った。

「一度、実家に帰ってこない? あんたの話、ちゃんと聞きたいのよ。

最近ずっと“ルームメイト”って言ってた人のことも」

それはまるで、「本当のことを言いなさい」と

見透かされたような口調だった。

葵は、受話器を持ったまま硬直していた。

母は悪い人じゃない。ただ、あまりにも普通に生きてきた人だ。

「……うん、近いうちに帰るね」

そう答えて電話を切ったあと、葵はソファにもたれながらつぶやいた。

「ねえ、紗季。もしうちの親に“私たち付き合ってる”って言ったら……どうなると思う?」

紗季は、静かに目を伏せた。

「正直に言えば、驚くかもしれない。でも……私たちのこと、本当に大事に思ってるなら、いつかきっとわかってくれると思う」

「怖いよ。認めてくれなかったら、って思うと」

「……それでも、言ってみたい?」

葵は小さくうなずいた。

「本当に好きな人と一緒に暮らしてるのに、“ルームシェア”って嘘つくのつらくて……」

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