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「相沢ー、早くしろよー。始業式から遅刻はないって!」

「わりい、ちょい待って!」

相沢湊。今日から高2。ていっても、俺の高校は小さいから面子は変わらない。

さっきから俺を急かすのは有馬楓。自称俺の親友。意味わからん。俺に親友はいらない。1人でのんびり学校生活を送りたい。でも、俺があいつを毛嫌いしないのは、あいつの事を少なからず友達だと思ってるからだろう。

これは自慢じゃない。他から言われたら少しくらい自覚するだろう。俺は「王様」らしい。成績はそれなりに良い方だ。楓が言うには顔も良い。運動は、まぁ成績ほどじゃないができる方だろう。そのせいか休み時間や昼には周りに男や女がずっといる。そろそろ、少しくらい1人の時間がほしい。

「いーそーげー!!みーなーとー!!」

……うるせぇ。

始業ギリギリで到着。HRが始まる。 朝課外はないからすごい楽だ。

「なあ、湊。今日転校生来るらしいぜ。 すげぇ美人だったら彼女にしよーかな」

「きも」

「はぁ!?言ったなお前!?」

わめき散らかす楓はほっとく。っていうか 転校生とか何処ぞの恋愛小説かよ。


「お前ら座れー。HRの前に転校生の紹介だ。入って来い。」

多分、俺だけだ。

「白月凜です。東京から来ました! みなさんと仲良くしたいです! これからよろしくお願いします!」

笑顔が特徴的な、白月凜と名乗ったその女を何処か少し、恐ろしく感じたのは。


休み時間になれば当然、白月は他の生徒から囲まれてた。(主に女子。女子はわからん。)生徒からの質問攻めに白月はすんなり答えてた。好きなタイプだの家族構成だの、初対面の奴によくも聞けるな。

「湊ちゃーん。人気取られてるね〜。このままだったら王様取られちゃうんじゃない?」

「いらん。あいつらが勝手に言ってるだけだろ。」

「またまた〜、強がっちゃって〜!」

「楓、殴るぞ」「ごめん」

………けど、良い気はしないな。

少し、威嚇しとくか。


「どうしたの?相沢くん。」

放課後白月を呼び出せばこいつは笑って了承した。普通警戒するだろ。

「いや、あのさ、白月さんに忠告しときたいことがあって。」

「…忠告?なに?」

後々考えれば、俺の悪夢はここから始まった。言わないほうが良かったかもしれない。

「俺さ、皆から王様って呼ばれてんだよね。最初はバカみてぇに思ってたんだけど、今日お前が転校してきて、王様の座を取られるかもしれないと思って焦った。」

「うん……」

「だからさ、単刀直入に言うけど、 俺の完璧な人生、邪魔しないでくれない?」

「え…完璧…?」

「そ。あいつら馬鹿だから、少し俺が相手してやればすぐ俺の事王様扱いすんだよ。 意外と良いもんだからさ。王様って立場。 だから、邪魔しないで

「は〜い!ストップ!!」

「……は?」

「今の全部録音してたよ〜!朝みんなにも聞いたよ。君が王様って呼ばれてること。」

「……」

「呼ばれたとき、真っ先にそのことが思い浮かんでさ〜!録音してて良かった!」

どうしよう。録音されてた。バレたら王様でいられなくなる。見捨てられる。

「バレたくないよね。相沢くん。」

「あ、当たり前だろ…!」

「…じゃあさ、私の言うこと聞いてよ!」

「は…?ふざけんなよ!!」

「いいの?みんなにとっての王様が、恥ずかしい思いしちゃう。あ!ほんとの『裸の王様』みたいだね!」

そいつはそう笑って俺に言った

「交渉成立だね。相沢湊くん。 これからよろしく。」

間違いなく、こいつは悪魔だ。そう思った。

「あ、ちなみに私も前の高校で『女帝』って呼ばれてたの。私のは尊敬じゃなくて嫌がらせだったけど。…ねぇ、王様は2人なんていらないでしょ?だって…」

(俺はこの高校の王様として、この女帝を捻じ伏せる。だって…)



「「王様は、ただ1人なんだから」」


第1話 王はただ1人

その王は孤独を愛した

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