その王は孤独を愛した

白月が出した命令は１つだけ。

自分がまた転校するまでの間は白月の言うことをすべて聞くこと。

聞いた瞬間苛立ちを覚えたが、白月が言うにはどうせもうすぐ転校することになるのだから少しの間だけ言うことを聞いてほしい、ということらしい。少しの間耐えれば白月はいなくなり、後は平穏な生活が戻ってくる。

そう思えば安いものだったが、なぜ威嚇などしようとしたのか。あのときの自分を心底恨む。

「いい？相沢くん。1つ目の命令。」

「なんだよ…」

もうどうにでもなれ。

「私と、友だちになって。」

白月の口から出た言葉を理解するのに時間がかかった。こいつはクラスの連中に話しかけられて友達ぐらいいくらでもできたはずなのに。

「なんで…」

「口答え禁止。じゃ、これからよろしく。　お友達兼、下僕の相沢くん。」

これから地獄の日々が始まることだけは、俺でもわかった。