テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
41
もちもち丸ののの
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夜、
外は風が強くて、隙間風の音が気になるばかりだった
眠気はない
目を閉じても思考がめぐる
なあきんとき
気配で分かってはいたが反対の壁側のベットに横になるシャークんも起きていた
なに
もう消灯時間過ぎてるよ
起き上がりベットから降りるシャークんにいう
なんだよ
お前も寝れないんだろ
そう言ったシャークんの目は暗闇の中でただ輝いているように見えた
…..
な、こいよ
抜け出そうぜ
….
嫌だろ
明日のことを想像するのは
天井近くにつけられた窓から月光がかすかに注ぎ込んでシャークんの表情が見えかけた
ほんとに何してんだろこんな時間に
ははっ
起き上がった時点で俺の勝ちだよ
寝巻きの上からコートを羽織りマフラーをつけて
俺たちは部屋からでる
ねえ
シャークんはなんで見張られてないって知ってるの
さあね
シャークんは別の誰かと抜け出したことがあるのかとわざわざ聞く気にはならなかった
行くぞ
重い寮の扉を開けてすぐ冷気を感じる
それがこの行動を引き止めているようにさえ感じられる
きんとき
あの北の丘に上がるぞ
遠いから覚悟決めとけ
なぜこんなことを
そう思うことはもうやめようと気持ちをしまい込んで扉を静かに閉めた
夜の外をみて驚いた
光が少ない
俺のいた国とは違う
あの眩しいくらいに明るい夜はこの国には存在しないのだ
北から吹く冷たい風に逆らってシャークんと歩き続けていた
後ろを振り返れば建物の中から少しの光が見えるだけ
空を見上げようとした時前を歩くシャークんがいう
不思議だろ
俺もそう思うよ
これはこの国の指標だ
こんなに縛り付けようとする意味はここに上がってからじゃないとわからない
って言われてるけど
まぁ、俺はみてもこれを受け入れる気にはならなかったけどな
そうなんだ
シャークんは誰と上ったの
そんな疑問を口にすることはなかった
街灯はない
足元もおぼつかない
シャークんが何も言わずに手を差し出してきてすぐ握った
お前時々危なっかしいからな
そう言ったシャークんはこっちをみていなかった
ありがとう
思いのほか暖かいその手を握って歩き続ける
ほぼ目的地であろうとこまで来た時だった
目の前にはこれまでの建物や植物が嘘かのようにまっさらな地が広がって見て取れた
ただ
そこには誰かがいた
シャークん
ほぼ同タイミングで気づいてたであろうシャークんは一歩後ろに引くそぶりを見せつつも俺の手を離さなかった
ちょっと様子見だ
寒いけど、誰かは知らないが見られるのはよくないだろ
そう言われてすぐ近くにあった物陰に身を潜めしゃがむ
1人じゃねぇ
少なくとも2はいる
どうするの
せっかくここまで来たんだしあいつらが早々に引き上げるのを待とうぜ
わかった
待っているこの時間、俺とシャークんの間に会話はない
物理的に冷やされた頭が眠気を訴え始め、寒気を忘れさせていく
そんな俺を見かねてかシャークんが手を強く握りなおす
そんな死に際みたいな寝方しないで欲しいんだけど
しょうがないじゃん
眠気に勝てるわけないでしょ
ぽつぽつと会話をしてみても眠気でたっぷりの俺の脳は大して変わらない
まだ、いる?
あ、いないかもな
そう聞いて目的地をひそりと見ればたしかに人影はなくなっていた
行くぞ
すぐ立ち上がったシャークんに引き上げられるように腰を上げる
眠気もほどほどに足元に気をつけながら進んでゆく
周りに何もない
その頂上のような場所に立つ
な、別に何かを感じるようなとこだとは思えなくないか?
そういうのはシャークん
でも俺は確実に
そこで
何かに見惚れていた
下にある街はポツポツと光るだけ
上を見ればどこまでも続く山脈と溢れんばかりの星の光
街が暗いからよく見えるのだ
理屈がわかったところでこの美しさは何も変わらない
その星空の中には1箇所ぽかりと穴が空いていてよく見れば暗い月があった
新月だった
きんときにはわかるのか
もしかして
いや、別にわからないよ
何もわからない
でもこの光景が俺は綺麗だと思う
そう言いながらシャークんを見て驚く
シャークんの目には星がうつり輝きを感じる
それはシャークんも例外ではないようで
俺らはお互いの目を離さずにいられなかった
たしかに、きれいではあるか
少し納得したと言うように頷くシャークんはゆっくり立ち上がる
それと同時に複数の気配を感じる
シャークん?
突然近くで感じた人の気配に俺はパッと立ち上がりシャークんに近寄る
ははっ
気づいた?
ずっと覗かれてたよ俺たち
誰だかしらねぇけどな
最初に出た時に気づいたけど諦めたんだよ
どうせもうはぐらかせないから
どうするの
そりゃもちろん
逃げるが勝ちでしょ!
そう言ったシャークんは俺の手を引き走り出す
わっ
突然の動きに寒さで鈍った足がもつれかける
来た道が見えてくる
木が生い茂り少しの家がある地帯
後数十メートルと言ったところでシャークんが“なにか”にぶつかりかけて急に止まる
シャークん?!
反応できなかった俺はすぐにシャークんの背中にぶつかる
くっそ
そう吐き捨てるようにいうシャークんが見上げたものを同じように見た
アウト〜
?!
そこに立つのは暖かいダウンに身を包んだ背の高い人
ちょ、シャークんシャークん
シャーくんと、きんときくん
アウトですよ〜
流石に見逃せないかなぁ
暗闇でも感じるこれはなんだ
この人の”心”は靄がかかっているようで変に感じられる
この人はまずい
山賊?
それとも国外からの侵入者?
ぐるぐると思考が回していたとき、シャークんが突然ぐるりと後ろを向く
あっ
シャークんが何故か諦めたような表情をする
久しぶりだな
2人とも
その声に後ろを振り返れば俺らの首根っこを掴むように手を伸ばす
スマイルがいた
穏やかな心地
暖かい
冷たさなどどこにもない
ただ暖かい
それはまさに
おい、きんとき、
きんとき?
はっ
大丈夫か?
気を失ったんだよ
寒いところ連れ回して悪かったな
暖かい何かに包まれて横になっていることに気づいた俺は起きあがろうと体を跳ねさせた
はいだめー
倒れた人はいきなり起き上がらない
その声の近さに驚いて顔を傾ければ頭上にはダウンを着ていた人の顔がある
わ…わわわ
おちつけ、きんとき
殺されやしないはずだから
はずなんてそんな言い方しないでよ〜
僕らがそんなことする気なんてひとつもないのわかるでしょう?
じゃなきゃこんなふうに面倒見ないからね
スマイル〜
お気に入りちゃん起きたよ〜
遠くに声をかけるように言ったその人に続いて顔を覗き込まれる
まだ真っ青だな
東の国はここまで寒くなることはないしな
しょうがないか
どうするのスマさん
どうせ今日明日の差なんだし連れ帰ってもいいんじゃない
会話の意図が理解できない
2人が話している間に俺はかけられたダウンを汚さないようにしつつ上半身を起こす
やはり俺の頭の下にはその人の足があったから暖かかったようで冷気を感じて身を震わせる
シャークんが俺の頭を包むように手を差し出す
そのままシャークんの胸に頭を埋めれば体温が伝わってきて暖かい
ごめん、ほんとに
こんなことになると思わなかった
言い訳にすぎないけど
聞いたことのないほど落ち込んだ声に驚きつつもシャークんの背中に手を回して撫でながら返した
だいじょぶ
なにもきにしてないから
背中に暖かく大きな手が当てられる
きんときー?
吐き気とかはない?
大丈夫、です….
あ、ダウン…
ありがとうございます
そう言って返せば
んー僕は元々寒さに強いからいいよ
孤児院まで送るからね
きんときは僕の背中だからそれ着てよ
シャークん
そう怒りを含んだ声色がその場にいた皆の耳に届いていた
スマイル…
話があるからお前はまだ帰せない
きんときもお前もしっかり孤児院に帰すことは約束する
….
じゃあちゃんと捕まっててねー?
辛かったら言って、なんとかするよ
はい…
暖かい
分厚いダウンは重い
背負ってくれてる人の背中が暖かい
眠くて眠くて
“心”を気にしようとしても意識がまともではいられなかった
頑張ってね〜
こんな日に体壊さないでよ〜
がんばれ〜がんばれ〜
柔らかく心地の良い声だった
美しい夜空の下
隣に腰を下ろすのは
1ヶ月前には非行少年と言われ続けていた子だった
シャークん、久しいな
あいつらのようにだらたらと話す気か
きっとこの子が言うのは孤児院に訪問する部下のことだ
ずっとずっとわかっていたんだ
あれの必要性を、1人わかっていた
シャークん、どうしてここにきた
…きんときに、見せたいと思ったからだ
本当にそれだけか
….あぁ
それだけだよ
こいつはこういうやつだ
肝心なことは胸にしまう
賢いのか小賢しいのかわからないやつだ
そうか
まぁ、よくないことはわかっただろう
まともに独り立ちしていないお前たちだけでくる場所じゃない
まともに、独り立ちしてない、か….
残念だが、間違いじゃない
聞いているだろうがお前たちは明日明後日から変わるんだ
お前たちの望む方向かはわからないがな
なんで俺たちだったんだ
….
だんまりか
申し訳ない
ただ、働いてもらわないといけなかったんだよ
場所を言及したところで教える気はないだろ
残念ながら俺の口からは無理だ
シャークん、きんときと仲がいいそうだな
そうだよ
悪いか?
いや、お前をいい意味で変えてくれたからな
結局無理させて倒れさせてるのに?
それを気にすることができるやつになれただけでも進歩だ
思ったよりも傷心した様子のシャークんの背中をそっと撫でた
重い扉が開く音を聞いて目を開けた
さぁ着いたよ〜
部屋どこだか言える?
いちばんおくのおおきなへやです
了解!
建物の中に入ったにもかかわらずそのまま背負われ揺られている
きんときー
起きてる?一回下ろすよ
そう言われて腰を下ろされ感覚の弱い足で立つ
よし、ダウンとか脱ごうね
ダウンを脱がされ
着て行ったコートやパーカーも脱がされる
体冷え切ってるなぁ…
暖炉ある?
おおべやには…
んーそれじゃあだよねぇ
じゃあさっさと布団に入ってあっためるしかないか
歩けるね?
眠気に耐えながら頷けばその人はパッと笑って部屋を出て行った
そのままぐらぐらとベットに飛び込めば思考は消える
窓に差し込む光で目を覚ます
狭く
暑苦しく感じた
ん…?
起きあがろうとすれば重みがあって簡単にいかない
寝起きの目を擦って再度目を開けばシャークんの腕の中だった
なんでだ
そう思って気づく
昨日、俺が入るベットを間違えたのだ
慌てて腕の中から抜け出して起きる
俺のベットで寝てくれてよかったのに
そう心の中で文句を言いつつもシャークんを起こす
起きて、朝だよ
いつものように目をシパシパさせもう一度寝ようとするシャーくんにいう
ごめんね間違えた
そう言った途端にシャークんがはっとして起き上がる
お前、大丈夫か?
体調とか
その反応にらしくないと思い笑いながら返す
大丈夫だよ
すごく楽しかった
また連れて行って欲しいくらい
バカ言うな
暖かくならない限り無理
いいから着替えなよ
今日起きるのちょっと遅かったんだから
確かに、こんな時間か
そう
静寂な朝ごはんはまたもやいつもと違かった
さぁ、昨日すでに話が広まっていたみたいだけど
国の方々によってみんなに仕事が割り振られた
正式に発表するから静かに座っていなさい
食べ続けていても構わないけど聞き逃すことのないように
そう言った人の表情はまさに静寂だった