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恋風
第2話
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ギュビンside
昨日はもやもやして眠れなかった。
結局あのあと、
ゆじにはずっと考え込んでるみたいにぼーっとしてた。
yu「ひょん、眠たいの?」
いつも通りふたりで登校している途中
隣を歩くゆじにに声を掛けられた。
gy「ん~ちょっとね~」
ねぇ、ゆじな。
これからどうしたらいい?
同じ学校に「あの人」がいる限り
ゆじにの気持ちがこっちを向くことはないんでしょ。
yu「……ぁ…」
隣で小さく声をあげる。
俺たちの前を歩く人。
同じ制服を来て登校するはおひょん。
gy「……」
隣に目をやると、
ゆじにはぼーっとはおひょんを見つめていた。
この子の目に映るのは
今までも、これからも
はおひょんだけなんでしょ。
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ゆじにを教室まで送り届けて
俺は自分の教室に向かう。
その途中廊下でまた出会ってしまった。
声を掛けるか、掛けないか。
……今はゆじにがいないから
gy「……はおひょん」
覚悟を決めて後ろから名前を呼ぶ。
zh「…!!ぎゅびな…」
俺の声に驚いたように振り向く。
gy「……何階?一緒に行こ」
なるべく普通に会話をしようとした。
昔と変わらないみたいに。
zh「いいの…?」
恐る恐る聞いてくるはおひょんにうなずく。
zh「…久しぶりだね」
優しくニコニコと笑いながら俺の隣を歩き始める。
気まずさが抜けきれずに会話はあまり弾まない。
zh「また話せて嬉しいよ」
gy「…懐かしいね~」
zh「…ゆじには……元気?」
恐る恐る聞いてくる。
言葉を選んで発言しているんだろう。
gy「…元気だよ。」
zh「そっか…良かった」
俺の言葉にほっとしたような表情を見せる。
ずっと気になってたんだろう。
ゆじにの今について。
はおひょんの気持ちは痛いほど分かる。
gy「……また…会いたいと思う?」
ただ気になった。
自分を安心させたかったから。
zh「………」
迷ったような表情を見せる。
zh「……会っちゃだめだから」
発言すると同時に顔を伏せたはおひょん。
「会いたくない」とは言い切らないはおひょんに
また不安が大きくなるだけだった。
gy「……会いたいんだね」
zh「………」
返事は返って来なかった。
だけど、無言の肯定だってことは
分かってしまった。
_______
ー1年前ー
zh「どうしたらいいと思う?」
gy「なにが?」
分かってた。
はおひょんが何で悩んでるか、
ゆじにが何で悩んでるか、
ぜんぶ分かってた。
zh「……どうしたら正解とか…」
zh「…そんなのわかんないじゃん」
はおひょんは人気者だった。
男子にも女子にも
常に周りに人が絶えなかった。
だからこそたくさん悩んだんだと思う。
自分の恋人に対するみんなの思いについて。
2人は幸せそうだった。
周りは幸せのままではいさせてくれなかった。
zh「…付き合うのに」
zh「……性別が必要なの?」
はおひょんが零したこの言葉が
一生忘れられない。
毎日投げられる無神経な言葉に
自分の恋人に対する批判に
どれだけ悩まされたんだろうか。
俺には計り知れない。
zh「…ねぇ」
zh「どうしたら正解だと思う?」
gy「…その正解は、2人で出さなきゃ」
その言葉で精一杯だった。
無神経なことなんて言えないから。
だけどそこではおひょんが出した答えは
一方的な別れだった。
gy「…なんで?」
gy「それがはおひょんの思う正解なの!?」
ゆじにの涙を見たあと、
はおひょんを問い詰められずには居られなかった。
zh「…他に方法があった?」
何も答えられなかった。
俺はこんな時、何も出来ない。
zh「……安心して。もう関わらない」
その言葉には確かな覚悟が感じられた。
俺には
ゆじにの辛さと
はおひょんの覚悟
どちらの気持ちも分かってしまうから
どうしようも無かった。
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