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階段から突き落とされてしまった
『うわ、なにこれ?』
ある日、パレスに大量の手紙が届いた。
どれも同じ人物かららしく、全て主宛のラブレターであった。
『困るなぁ・・・私結婚とか無理なのに・・・』
「そんな事はありませんよ!」
『いや、人間とは結婚できないって話だよ』
結婚出来ないという主を慰める執事たちだったが、主はそんなことはどうでもいい。
兎に角どうやって断るべきか考えた。
『う〜ん・・・フェネス!』
「は、はい!」
『ラブレターのお断りの仕方って本ない?』
「えぇ?ないことは無いですが・・・数百年前の本ですよ?」
『あ、ダメだね・・・
じゃぁ・・・ルカス!断りの手紙の書き方教えてよ』
「いえ、ここは私にお任せください!」
『そう?なら・・・』
という訳でルカスに丸投げした。
それがいけなかったのだろうか。
とあるパーティーで、ラブレターをしつこく送りつけてきた男の婚約者を名乗る令嬢に、階段から突き落とされてしまったのだ。
「彼は貴女を本気で好きって言ってたのよ!
私との縁談も破棄して、貴女と結婚しようとしていたの!
貴女さえいなければこんなことには!!」
『あ~れ~』
階段を転がり落ちながらコイツにはちょっと罰を与えてやろうと思い、わざと受け身を取らずに階段を転がり落ちた。
そして、例のごとく死んでしまった。
「主様、主様・・・もう大丈夫ですよ」
『・・・ん?あれ・・・?』
主が目覚めたのはベッドの上だった。
ナックがベッドの横に立っていて、ニコニコと微笑みかけてくれていた。
『ナック・・・あの令嬢どうなった?』
「パーティー会場で殺人未遂を起こしたので追放されることになりました」
『やりぃ!』
「ですが、本当に死ぬことはないのでは?
わざと受け身を取るのを止めたように見えましたが?」
『あ〜・・・やっぱりリアルさは必要かなって』
「そんなところに凝らないでください・・・」
その後は男性からはあまり絡まれなくなったが、是非お友達になりたいという令嬢たちからの手紙に困ることになるのだった。