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馬車に突き飛ばされてしまった
街に出かけて執事と道を歩いていると、後ろから馬車が来た。
道の端に寄って馬車が通るのを待っていると後ろからドンと突き飛ばされ、馬車の下敷きになってしまった。
運悪く車輪が頭の上を通った為、主は即死した。
「な、主様!?お前、何してるんだよ!?」
ロノは主を突き飛ばした子供の首根っこを掴み、無理やり目を合わせた。
「だ、だって・・・」
子供はまだ10にもなっていないくらいの少年で、今にも泣き出しそうな表情でロノを見上げている。
そのとき、道の裏手の路地から子供の泣き声が聞こえた。
少年はロノの手を振りほどくとその泣き声の方へ駆けていく。
騒ぎを聞きつけて戻ってきた執事達に主を任せ、ロノは少年を追いかけて裏路地に入っていった。
泣き声のする方へ走っていく少年は、少し開けた場所に来た。
そこには泣いている小さな少年とそれを抱えてナイフを持っている男たちが居た。
「あくましつじのあるじは殺したよ!弟を返せ!」
「おにーーちゃーーんっ!!うわあぁぁぁん」
小さな男の子は少年の姿を見て更に激しく泣き出した。
「っち、うるせぇな」
男はナイフを男の子に突きつけ、ロノに向かって言った。
「おい!悪魔執事!主は死んでたかぁ?」
「っコイツ・・・あぁ、死んでた」
ロノは怒りで震える拳を握りしめて、何とか平たい声で答える。
「はははっ!ザマァねぇな!!主1人守れなくて何が悪魔執事だよ、笑っちまうね!」
あはは、と高笑いをする男にさっと縄が掛けられた。
「!?」
「ありがとうございます、ロノ君。
さ、貴方は殺人の罪を償ってくださいね」
ナックがささっと男を縛り上げて男の子を開放する。
「おにーちゃん!」
男の子はすぐに少年に駆け寄っていく。
少年は男の子を連れてすぐに何処かに行ってしまった。
「良かったんですか?あの子達・・・」
「いいのですよ。人質を取られていたなら仕方有りません・・・
それに、主様はあの子達の処分を望まれないでしょうから」
ナックとロノは抵抗できない男をボコボコに殴って八つ当たりし、憲兵に引き渡してパレスに戻った。
主はすっかり元通りになって2人を出迎えてくれた。
『お帰り〜ありがとね』
「「主様!?」」
まさか出迎えてくれるとは思っていなかった2人は大変驚き、回復した主の体調をまず確認した。
『うん、何とも無いよ』
その返事に安心し、執事達は出かけるときの警備強化を目指して特訓を始めたのだった。