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霧雨魔理沙は私の幼なじみだ。
ふわふわな長い金色の髪。
無邪気に笑う、少し幼い顔。
誰にでも明るく接する性格。
親はお金持ち。
でも、お金持ちなことを鼻にかけたりはしない。
勉強もスポーツもできる優等生。
でも、実はイタズラ好き。
老若男女、誰からでも愛されるその子は、突然姿を消した。
朝、私はあるニュースを見ていた。
内容は「女子高生が何者かに誘拐された」というもの。今のところ犯人の手がかりはないらしい。
誘拐された子の特徴は、ふわふわな長い金髪、少し幼い顔、そして、霧雨魔理沙という名前。
私の幼なじみだ。
そう思った矢先、インターホンのモニターから音がした。
私はびっくりして、食べていたトーストを落としそうになってしまった。
何かと思い、インターホンを覗いてみると、警察の人が立っていた。私に何か用があるらしい。
私はリビングの扉を閉め、玄関のドアを開けた。
どうやら誘拐事件について、私に2、3質問したいことがあるらしい。
1つ目は、誘拐された女子高生と面識はあったか。
私は、「あります。幼なじみで、小さい頃からよく遊んでいました。とても仲が良かったです。」と答えた。
2つ目の質問は、昨日の私の行動を教えてくれ、というものだった。きっとアリバイがあるかないかを探るためだろう。
正直、この質問に素直に応答することができなかった。
たぶん、少し怪しまれてしまったかもしれない。
3つ目の質問は、私は誰と暮らしているか、という質問だった。
この質問は想定外、少し驚いてしまった。
私は少し息を飲んだあと、一人暮らしですと素直に答えた。 そして、
「もう学校に行かないと遅れちゃう。」
なんて理由を付けて、ドアを閉めてしまった。
急いで支度して、なんとか遅刻ギリギリで学校に着いた。
案の定、学校でも魔理沙について話された。クラスはザワザワとうるさくなり、遂には泣き出す子まで出てしまった。あぁ、魔理沙は本当に愛されものだ。
その日1日、学校は魔理沙のことでいっぱいだった。空気もなんだか重い。
私は居心地悪くなり、早退してしまった。
家に帰ってすぐ、私は結っていた髪を解き、服を着替えてホームセンターへ行った。
食器や布団など、生活に必要なものを最低限度揃えた。
家に帰り、ただいまと言うと、リビングから
「おかえり」
という声が聞こえた。
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