テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
アラスターside
失いたくないもの。
それを取り戻すための戦いは、想像より遙かに苛烈を極めた。
俺が負った傷を治す〇〇の表情は、焦燥に後悔・・・罪悪感に満ち満ちていて。
そんな顔をさせる為に取り戻そうとしたわけではないと、たまらなくなって声を掛ける。
アラスター「大丈夫、かなり楽になりましたから・・・」
アラスター「ですから、そんな泣きそうな顔はおよしなさい」
その一言に顔を上げた彼女の頬には、戦闘時に俺を庇った際の傷が痛々しく残っている。
俺の傷を治すより先に治療してしまえば良いものを。
―――どこまでも他人を優先するというのか、貴女は。
アラスター「それより・・・・・・」
他の何を考えるより先に、指先がその頬をなぞっていた。
アラスター「―――すみません」
〇〇「え・・・・・・?」
ヴォックスに対し“甘い”と散々に罵ったものだが、俺自身にも見通しの甘い部分があったのだろう。
行き過ぎなほどにお人好しで、誰よりも優しい彼女。
彼女がこうして傷つく事など、想像に難くなかったはずだ。
アラスター「先程の戦闘です。傷をつけさせるつもりはありませんでしたが・・・」
アラスター「私の力が、少々及びませんでしたか」
その傷の痛々しさに、言い知れない感情が胸の中に渦巻く。
俺の言葉を聞いて、〇〇は何かを考えるように目を伏せた。
〇〇「守ってもらった・・・・・・たくさん救ってもらったよ、アラスター」
―――ほら。またこうして、泣きそうな顔を隠して貴女は首を振るのだ。
2,658
73
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!