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透海side
周りは真っ暗……私…死んだの?
目の前には、膝を抱えて座り込み、泣いているアルカ。
無意識にその場に座って、声をかける。
「……どうして貴方がここにいるの…」
その声に気づいたアルカは、涙に濡れた顔をこちらに向け、何か言っている。
口は動いているのに、音が耳に入ってこない。
「聞こえない……聞こえないわ…」
アルカ「ーーーー ーーーーー」
涙をこぼしながら必死に何かを訴えかける。
「ごめんなさい……聞こえない……聞こえないのよ」
その時、私の体が、何か暖かいものに包まれる。
視界がぼやけてゆく。
そんな私を見て、アルカは悲しそうな顔をしてこう言った。
「助けて」
この言葉だけが唯一私が聞き取れた言葉。
目が覚めると、いつものベットだった。
ベットの横には椅子に座ったまま寝てしまっているヒスイがいる。
《おはよう。 深夜2時にお目覚めとは……お前、今何歳だよ》
「15ですけど何か?」
《そうかよ》
深夜2時……だいぶ寝てたのね……
さっきの変な夢はなんだったのかしら……?
あれは本当に夢だったの?
「不思議なこともあるのね……」
《??》
それにしても……昨日1日で、ほとんど全員アイラのオモチャになるとは思わなかったわ……
アルカ……貴方言ってたじゃない……
「僕だけを信じて」って……
なのに……どうしてオモチャになったのかしら
私は…籠の中の小鳥。
貴方がいなければ大海原へ出ることもできない。
いつしかの台詞を思い出す。
そろそろ寝ようかしらね……
今から寝ても1、2時間目しか眠れなそうだけど…
「……明日、アイラの所に行くわ。」
《まじで?》
「えぇ…今までは、ヒスイが仲間はずれにされて、見ていて面白かったけど、私の友達まで奪われてはアイツのこと放っておけない。」
《……ふーん》
「絶対に……殺す。」
《おぉ、怖い怖いw 女の嫉妬は怖いねぇ?》
「……そういうことだから、明日も、起こしてくれる?」
《げ、俺が起こすのかよ……》
「えぇ。」
《へいへい。そんじゃ、おやすみ。》
布団に潜って目を閉じる。
明日は忙しい日になりそうね。
ーねぇ、トウカ?
ー何?
ートウカってさ、他のみんなと喧嘩でもしたの?
ー……喧嘩なんてしてないわ。みんなヒスイが大好きなだけ。 私は除け者よ。
ー……? でもみんな君のこと心配してるよ?
ー本当に? 本当に「私のこと」を心配してるの? ヒスイじゃなくて?
ーえ、でも……
ーほら、貴方もヒスイの所に行ったら?
ー……ぼ、僕は…トウカと一緒にいる。 大丈夫だよ……?
ー…………勝手にしたら?
あぁ……懐かしい……
トウカが旅から帰ってきて、すぐだったかしら……?
みんなトウカのことが好きになって、何もしなかった私は……相手にされなくなった……
仲間はずれに…………
…………ホントウニ…… ?
本当にみんなは私のことを嫌ったの?
1度でも彼らに罵られ、虐げられたことがあったかしら……
否、そんなこと1度もない……
私がみんなから嫌われたと思って、家に引きこもったとき……みんなは……わざわざ私の家まで来て、心配してくれた……「私を」心配してくれた……
でもそれは、ヒスイが提案したことでしょう?
それとも、私の勘違いだって言うの?
だったら、今まで私はなんのために……ヒスイを……みんなを嫌って……
みんなが、私を嫌ってなくて……本当に私を心配してくれたんだとしたら……私は……
私は……
絶対に貴方達を救う。
「救う」だなんて……ヒスイみたいなことを言うようになったわね……
それでも、私は貴方達を救わないといけない……
それが、せめてもの罪滅ぼし。
私ができる、罪滅ぼしだから……
貴方への罪滅ぼしの為なら…命だって惜しくはない。
ーこの悲劇に終幕を
アイラside
日はとっくに沈み、月明かりが部屋を照らす。
…ごめんなさい
許して…お願い…
嗚呼…ようやく言えたよ。
みんなごめんなさい…許して…
私、初めて悪いことしたの。今まで言うことを聞いてずっといい子にしてたの。
悪い子になったのは…初めてなの…
だから……だから……
ー私は…何もしてないじゃない!
夕方の彼女の言葉を思い出す。
ヒスイ……
いつの間にか頬を伝っていた涙を拭い、鏡を睨む。
何言ってるのよ。情けない。
私は決めたの…この身が滅んだとしても
…たとえ、許してくれなくても…構わない。
私も貴方を…貴方達を許さないから。
貴方達に復讐するためなら…命だって惜しくはない。
この身体が…心が、腐り落ちるその日まで……
ーこの悲劇に終幕を