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バンッ!
「風夜くん!今から洞窟に行くのだけれど風夜くんもくるかい?」
風夜は涙をゴシゴシと擦るとすまない先生の方を向き
「はい!」
と精一杯元気に答えた。
洞窟にて。
「この辺りは敵mobが出やすいから気を付けてねー」
すまない先生はそう“知識”を伝えながら奥へと進んでいく。生徒達もその後に続く。
(……敵mob……)
風夜は少し距離をとって進む。少しいっしょに進んでて分かったのだが風夜はどうやらちょっとだけ敵mobホイホイらしい。
(あ……)
「すまない先生、敵mobです」
「え?」
風夜がミュータントゾンビに気が付き声を掛けたがもう既に遅く、ミュータントゾンビは両手を大きく振り上げていた。
「……すまない……先生……?」
ドォンッ!
土煙がもうもうと舞う。
「……嘘……」
風夜は考えるより先に飛び出していた。
「すまない先生!」
土煙の中に入ると人影が見えた。そこに行くとすまない先生が。しかしその姿は血塗れだった。しかし“肌には傷一つない”
「大丈夫だよ。僕、不老不死だから」
へらりと言ってのけるすまない先生に風夜は平手打ちをかました。
パシッ!
「ドアホ!」
風夜はそう言うとすまない先生の胸ぐらを掴んで引き寄せた。
「いくら死ななくても心臓に悪いです!生徒達が見てるんですよ!」
とミュータントゾンビの真ん前でお説教タイムの始まりだ。
「いくら死ななくてもこっちはヒヤヒヤするんです!」
「ハイ……」
「それに死ななくても傷を負えばその傷に応じた痛みを感じるでしょう?」
「ハイ……」
その後もお小言が続く。しばらく止まっていたミュータントゾンビも再び動き出した。
「お、おい!風夜!」
そう叫ぶ声が聞こえたはずだが風夜は動かなかった。まだ小言を続けている。
『ヴヴヴゥゥ……』
ゾンビが唸り声を上げ風夜に襲い掛かる。小柄で華奢な風夜の体は軽々吹き飛ばされた。鍾乳石などを壊しながら飛ばされ壁に激突してやっと止まった。
「……ふ、うや……?」
壁に激突した風夜はその場に倒れ動かない。当たり前だ。いくらゾンビといえどミュータントゾンビ。力が桁違いだ。すまない先生はダイヤモンドの剣でミュータントゾンビを斬りつける。それでゾンビは消滅した。
「風夜くん……」
倒れた風夜を抱き上げようとすると手がピクリと動いた。そしてずるりと起き上がる。
「あー……あいつひでぇな……」
風夜はすまない先生より酷い怪我だったはずだ。それなのに傷一つ無いし服もほつれもしていない。
「……どうやら僕も死なないらしいね」
風夜はニヤッと笑った。