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先生と俺の日々

11 - 第11話 ようやく気づくそれが恋だと

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2025年10月19日

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「若井くんおはよう〜昨日は夜いなくてごめんねぇ、お土産買ってあるよ」


「おはよう、別に···」



なんとなく顔を見られなくて隣を通り抜けて牛乳でも飲もうと冷蔵庫を開けるとプリンが入っていてそれがお土産だとわかる。



「これ、食べていいの?」


「もちろん、お土産だからね···それより」



ちょっとお高そうなプリンを取り出して座ると 冷たい手がぺち、と俺のおでこを押さえた。



「なっ、なに?」


「んー、熱ないかなって。ちょっといつもより元気ないし、顔も赤い?」



いつもより静かなのは昨日あんな想像をして少し恥ずかしかったから。

それに今、顔が赤いのは先生の手が触れていて顔が近いから、かもしれない。 パッと顔を横に振ってその手から離れる。



「平気だからっ」


「ごめんごめん、あ、ちょっとお昼は出かけるんだ、夕方には戻るから」



今日もいないのか、って少し心がざわっとしてそんな自分に驚く。

別に夕方には帰ってくるって言ってるし、これまで1人でいるなんて当たり前だったのに。



「夜ご飯は一緒に食べれる?」


「うん、用事終わったらすぐ帰るよ、一緒に食べようね」



じゃあいいか。

そう言えば、昨日気になったことを聞いてみる。



「先生って酒飲むの?」


「あー、好きは好きなんだけどねぇ」


「俺に気を使わないで飲んでもいいのに」


「飲むとね、ちょっと迷惑かけちゃうから」



少し困ったように、だから気を使ってるとかじゃないんだよって笑う。



「絡むとか?暴れるとか?」


「そんなことはしないけど···」


「気になるから教えてよ」



プリンうま。

そんなにはぐらかされたら更に気になってしまう。



「気になりすぎて勉強が手につかないかも」


「えぇ〜?···昔から酔ったら抱きついたりまぁそういうことになりがちで···最初の1杯くらいなら平気なんだけどたくさん飲むのは1人でだけなんだ。誰も居なかったら迷惑かけないから」



恥ずかしい、と赤くなった顔を手でパタパタ扇いでいる。

ほんとにそんな人いるんだ、見てみたい。



「へぇ···面白そうだけど」


「迷惑でしかないでしょう、僕なんかに抱きつかれたら」


「そんなこと···まぁ、そうかも」



そんなことほかでしたら困るからそうかもと言い直したけど、俺だったら嫌じゃないと思ってしまった。



「だから飲まないの、気を使ってくれてありがとうね」




先生の手が寝癖を直すように俺の髪に触れる。 その柔らかな手が、ひどく心地よくて好きだと思った。




先生が出かけて俺は早くも夜ご飯何にしよっかな、なんて考えて買い物に出かける。


先生はいつだって俺の作る料理を美味しい美味しいって大袈裟なほど褒めてくれるから、作るのが楽しくなっていた。



「あれ、若井ー?」


「元貴だ、何してんの 」


「ジュース買いに···若井は···買い出し?」



確かに俺のカゴには野菜、肉、調味料が入っていて、元貴がすごいな、料理出来るなんてって驚くのも無理はない。



買い物が終わって俺の荷物を半分持ってあげる、と言ってくれた元貴と一緒に帰っていると元貴はなんだかちょっと嬉しそうだった。



「若井変わったよね···前は夜遅くまで出歩いて学校も休んだりしてたのに。それにちょっと健康そうじゃなかったし」


「···まぁな」


「先生のおかげ?」




自分でも変わったと思う。

生活もそうだけど、心が、気持ちが穏やかになった気がする。


それは確かに先生と出会ってからだ。



「そうかもな···」


「良かったね、いい先生と出会えて。あの人っていい教師だよね、見た目も綺麗だし中身も···女子も結構ほんとに好きとか思ってる子多いみたいで人気あるし、先生からも人気ありそうだし」



良い先生、良い教師。

それを否定するつもりはない、面倒見も良くて優しくて教え方も上手くてその通りだと思う。


けどそれだけか?


それになんでだろう、女子に好かれていて人気がある···その言葉に心がぎゅっとなる。



「そう、なんだ」


「もしかしてもう告白とかされちゃってたりして、それか他の先生と付き合ってたり」


「···まさか」


「 若井はそれでもいいの?」


「え?」


「とうちゃーく、はいこれ荷物!また明日学校で!じゃーね」



俺に返事させる暇を与えず元貴は勢いよく帰っていった。




帰って宿題をして、夜ご飯を作っていると先生が帰ってきた。



「ただいまぁ、アイスクリーム買ってきたよ〜」


「先生って甘いの好きだよね、ほんと」



えへへ、と笑って手を洗ってからお皿を運ぶのを手伝ってくれる。



「今日はよかったら映画みない?気になってたのがあって」


「お、コーラ買っておいて正解?」


「最高だね〜幸せ!」




他愛もない会話が楽しくて、些細なことでも嬉しそうに笑う先生を見ているとこっちまで嬉しくなる。



お風呂上がりにソファにならんでコーラを飲みながら映画を観ていると肩に重みを感じ隣を見ると先生は寝てしまったようで俺にもたれ掛かっていた。



「おーい···見たかったの先生じゃないの···?」



小さな声で話しかけてもすやすやと眠る先生は気配がない。



柔らかな金髪が首に触れて少しくすぐったい、その髪からは シャンプーのいい匂いがした。


起こさないようにそっとその華奢な手に自分のを重ねる。




鼓動がうるさいくらい速くなって、先生に触れたところが熱くてずっとこうしていたくて、ふいに元貴が言った言葉が頭に思い浮かんだ。



若井はそれでいいの?


良くない。

良い訳ない。

だって···。



心がぎゅっとなった理由が、先生を思って身体が反応した理由が、一緒にいるとドキドキして幸せだけど心配になる理由が、ようやくわかった。




俺は、先生のことが好きなんだ。

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