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「同じようなケースっていうのは……」
お酒を口にして、目の前の彼女の表情を窺う。
「あの先生に弄ばれて、辞めていった女の子たちは、いっぱいいるっていうことよ…」
ふーっと息をついて、そう話すのに、
「やっぱり……」という言葉が口をついた。
「やっぱりって、あなたはそんな目で、あの先生を本当に見ていないのね?」
女史が、耳にした言葉の真偽を見極めようとしてか、私の瞳の奥をじっと覗き込む。
「見て…いない、です…」
不意に、あの医師との一夜が浮かび上がり、つかんだグラスからぐいとアルコールを流し込んで、頭から消し去ろうとした。
「その方が、賢明だわ。……政宗先生はね、誰も好きになんかならないのよ…」
松原女史が低く呟いて、お酒をひと息に飲み干した。