!アテンション!
攻🐉×受🔝の捏造まみれのジヨタプ小説。
ご本人様たちとは全くの無関係。
ご都合主義の矛盾まみれ解釈違いもろもろですがたくさんの愛はある、たぶん。
センシティブにしてますけど全然センシティブしてない。
覚悟の上読んでくださる方はそのままお進みください…!
「はぁ…は…っ、」
息が上がる。冷房のきいた部屋のはずなのに身体は熱くて、こめかみから垂れた汗が顎を伝って落ちた。
「ぅ、あ…、あ、あ!」
普段あんなにかっこいいラップを刻む口からは、意味もない掠れた声しか出ていない。
「ふ…ぅ…は、」
あれ、今何時だっけ。というかここはどこだっけ。
「ぁ…ん……あ、ああ、」
頭が痛いな。なんでだろう、すごい興奮してるのに、どこか冷静な自分もいるな。
「あ…ん…ひっ、じ…じよ、」
もしかして、夢?
カッと目を見開いた。まるでジェットコースターのような速さで走っていたのに、それが急停止してびっくりしたような、そんな衝撃だった。普段眠りから覚めるとき、徐々に意識が浮上していくことしかなかったから、本当に今まで寝てたのか疑わしく思ったほど。天井を見つめること数秒。上半身を起こせば、体にかかっていた白いシーツが見えた。うん、ここは確かにベッドだ。俺は今まで確実にここで寝ていた、たぶん。
「………ゆめ、?」
にしてはやけにリアルだった。燃えるように体が熱くて、たしか彼もそうだった。指先でなぞった体は陶器のように触り心地が良くて、手に馴染んで、そして口から漏れる声が色っぽかった。
「………………ん?」
待て待て待て。俺は今なんの話をしていた?なにを考えていた?彼って誰だよ。無意識になにを思い出していた?
1人混乱する最中、ふと自分が服を着ていないことに気付く。
(あれ、俺の服どこだろ…)
服を探そうと、シーツに置いていた手を動かした瞬間、右手がなにかに触れた。びっくりして思わず手を引っ込める。そして恐る恐るそちらに視線を向ければ、人が寝ていた。
「えっ、」
なぜ今まで気づかなかったのかと思うほど、真隣で人が寝ていた。こちらに背を向け、端っこに縮こまるようにして微かに寝息を立てている。シーツの盛り上がり具合を見ると、身長は俺より大きい。ということは、男?
「……だれ、」
思わず震える声で呟いたのが聞こえたように、その人はこちら寝返りを打ったから、今度ははっきりと顔が見えた。
見慣れた顔。よく知っている人物。
「ーーっ!!??」
大声を上げて叫ばなかったこと、誰か褒めてほしい。
長かったようで振り返ればあっという間に感じたツアー最終日が無事終了した。小さなトラブルは多少あったが、みんな事故も怪我もなく見事完走できた。
メンバーはもちろんのこと、ダンサーやスタイリスト、照明音響スタッフ、プロデューサーやバンドメンバーなど、関わった人たちで打ち上げをした。多人数だったため店を1つ貸し切り、メンバーの挨拶もそこそこに乾杯をする。
「みんなありがとう!お疲れ様でした!乾杯!!」
そこからはもう浴びるように飲んだ。料理も酒も美味しくて、ツアーが無事終わった高揚感も相まって、酒がどんどん進んでいく。全てを出しきって体はくたくたのはずなのに、溢れ出すアドレナリンでみんなのテンションは上がりっぱなしだった。
次の日が仕事の人が大半だったので、ある程度で一次会はとりあえず終了となり、帰る者と二次会に行く者で別れた。約4分の1程度の人数で二次会へ。といってもその頃にはもうみんなだいぶ酒に酔っており、眠さも相まって疲労が顔に見え始めていた。
「うぇ…」
かくいう俺もその1人。ツアー中は酒なんて飲んでなかったから、久しぶりに胃に入れた大量のアルコールに、いつも以上に酔っ払っていた。腹もいっぱいで眠いし、身体重くてかなわない。じゃあそろそろ、と言ったヨンベの声をどこか遠くに感じていた。
「おい、大丈夫か?」
チラッとそちらを見れば、心配そうに顔を覗き込むトップの顔があった。目はとろんとして頬も若干色づいているが、確実に俺よりもしっかりと意識はあるようだ。いつも俺よりも酒を飲んでべろべろになってるくせに、少し前に酒で潰れたのを反省してたから、今日はちょっと制御したらしい。
「たぷひょ〜ん」
「ぅわ!ちょ、」
酔ってぐでぐでなことをいいことに、両腕を伸ばしてその首に抱きついた。リーダーだけど俺の方が歳下だし、いつも迷惑かけてないし、たまには甘えてもいいよね。
「ほら、もうみんな帰るぞ。しっかりしろ」
なんだかんだ優しいこの兄は、俺に肩を貸して立ち上がる。本当は一人で歩けそうだけど、彼の温もりが心地よくて支えられながらふらふらと歩いた。
「ちょっと、ジョンヒョン大丈夫ですか?」
「…大丈夫じゃなさそうですね」
「まあホテルもすぐそこだし、ジヨンの部屋まで送り届けてから俺も自分の部屋帰るわ」
え、そんなことまでしてくれんの?優しいじゃん。て、言ったら突き放されそうだから黙っておく。
タクシーに揺られ、ホテルについても彼は甲斐甲斐しく俺を気にかけながら廊下を歩いた。俺の部屋のドアを開けて、ベッドに俺を座らせる。
「ついたぞ」
ため息をつきながら離れていこうとする彼の腕を掴んで、ベッドに引きづりこんだ。
「…っおい!」
「タプヒョン、いいにおいする」
抱きついて首の辺りで息を吸い込めば、彼の体臭と香水の匂いがした。彼はビクッと体を揺らしたあと、必死に逃げようと俺の腕の中でもがく。
「やめろって、」
「やめない。ねー、タプヒョン?」
「…なんだよっ」
「このままさぁ、」
このままさ、君を、
「痛っ、」
ズキン、と頭痛がして思わず頭を抱える。今に至るまでの経緯を思い出そうと考えを巡らせていたが、そこで思考がストップした。
たしかにトップに肩を担がれながらタクシーに乗り、部屋に連れてきてもらったことまでは覚えている。しかし、
「そこから先が思い出せない…」
ズキズキと痛む頭は完全に二日酔いだ。全く思い出せないが、なんとなく予想はつく。だって2人とも裸で、ベッドで、直前の記憶が抱きついてるなんて。そんなのもう、1つしかないじゃないか。
「はぁ……」
「………ん、」
「!!」
大きなため息をついた瞬間、寝ていた彼が動いた。ギョッとながら見つめると、長いまつ毛を揺らしながら、トップがゆっくりと目を開けた。
「ぁ…お、おはよ…」
「…………起きてたんだな」
「ちょ…っと、前に?」
彼はゆっくりと起き上がると、ハッとして落ちていた自分の服を肩からかけた。普段から身体見せたくないのは知ってるけどさ、今さら恥ずかしがる?まあ、昨夜の記憶がないから彼の裸がどんなものか覚えてないんだけどね。
「……じゃあ、俺は戻るから」
沈黙に耐えかね、彼は急いで立ち上がった。途端に痛そうに顔が歪み、ふらっと足を縺れさせる。俺は慌てて彼の身体を支えた。
「タプヒョン、大丈夫?痛い?」
「……お前のせいだろ」
微かに染まる彼の頬に、思わずドキッとする。恥ずかしげに伏せた目がやけに色っぽくて落ち着かない。
「えっと………うん、」
「………………覚えてないのか?」
「ぃ、いや…あの………、」
眉間にシワを寄せ、こちらを睨みつける彼の大きな瞳と視線が交わる。微かに揺れるそれは、酷く悲しい色をしていた。
「…………うん、ごめん」
ここでなにか言い訳じみたものを言っても仕方がない。覚えていないのは本当だし、彼を傷つけたのも事実だ。
「…………ふっ」
彼は小さく息を吐くように笑った。笑っているのに、泣きそうな顔だった。
「タプヒョン、」
「いいよ、別に。気にしてない」
嘘。そんな今にも泣きそうで寂しい顔でなに言ってんのさ。彼はそそくさと着替えると、こちらに背中を向けて歩き出した。
「待って、」
「じゃあな」
バタン、とドアが閉じる。伸ばした手は届かず空中をさ迷っていた。
「……はぁー……なにしてんだ、俺…」
思わず頭を掻きむしってベッドに転がる。まだ微かに頭は痛いけど、それよりも胸のあたりが締め付けられるように痛い。
「やっちまった」
彼の温もりもなにもかも置き去りにされたシーツをギュッと握りしめた。
「…………やっちまったんだよ、な?」
そう、君と、昨夜ここで。
それからと言うもの、明らかにトップが俺を避け始めた。
仕事中やライブなどの「ファンの前」では全くと言っていいほど以前と変わらないのに、ふと裏に入ると俺から逃げるように距離を取られた。それは絶妙な動きで、周りもほとんど気づかないほどに。
「…そりゃそうだよなぁ」
酒の勢いに任せて彼を抱いた、たぶん。そして終いには覚えてないときた。最低すぎる。
「くっそー……、」
そしてなによりも最低なのが、覚えていないことを悔しいと思ってることだ。散々好き勝手して彼を傷つけたのに、ふと彼を見る度に、あの夜彼はどんな顔でどんな声を上げて俺に抱かれたのかを想像している自分がいる。そしてその度体の奥がジリジリと熱くなるのだ。
「最低だ…」
トイレの鏡を見ながら呟く。蛇口を捻って出た冷水で乱暴に顔を洗った。ちっともスッキリしない。
そのとき、ふと空気が揺れ人が入ってきた。鏡越しに見えた顔に、思わず目を見開く。
「タ、タプヒョン…」
「……お疲れ」
声が震えてしまった。そんな俺と目も合わせず彼は踵を返した。トイレに来たからには用を足しに来たはずなのだが、俺がいたからやめたらしい。とことん避けられている事実に胸が痛む。痛める資格なんてない、全部自分のせいなのはわかってるけど。
「、待ってタプヒョン!」
叫ぶように呼んでしまった。彼の足が止まる。
ああ、だめだよ。
「……なに」
呼ばれたからって立ち止まっちゃ、だめだよ。君は優しいね、だから俺みたいなやつにつけこまれちゃうんだよ。
「この前の、ことだけど…」
「…もう忘れろ」
「え」
「忘れろ。俺も忘れるから、お前も…忘れろよ」
そんな震えた声で言わないで。俺のせいで泣かないで。
「……タプヒョン」
今度は立ち止まらなかった。彼は逃げるようにここから立ち去った。俺はズルズルとしゃがみこみ、立てた膝に顔を埋める。
「……忘れられるわけねーだろ」
いや実際、覚えてないんだけどさ。
それからも彼の動きは変わらず。忘れろと言われた日から、俺は忘れられるはずもなくむしろ時間があると彼のことを考え、気づけば彼を見ていた。
「はぁ…」
「…………ジョンヒョン」
頬杖をつきながら、無意識にテソンと話しているトップを眺めていると、小さな声話しかけられた。チラッと隣を見ると、スンリが心配そうに眉を下げながら椅子に腰掛けた。
「……なに」
「なんかあったんですか?最近…タプヒョンと」
うちの末っ子はあまり勘のいい方ではない。が、その彼にこれを言われるということは相当怪しまれているということだ。ヨンベあたりは気づいていながらもそっとしておいてくれている感じか。
「なんかってなに。変?」
「いや、だって…全然話さないし。かと言って喧嘩してるような感じでもない…みたいな?」
訂正しよう。うちの末っ子は割と勘のいい方らしい。
「喧嘩ねぇ…」
言いながら、少し離れた位置にいるトップに視線を投げる。なにやら楽しそうにテソンと話していて、なんだかモヤモヤした。
「……たしかに喧嘩はしてないかな。でも………喧嘩の方がマシだったかもね」
「ジヨンヒョン…」
突然スンリは立ち上がって、グッと胸の前で両手を握りしめた。
「なにがあったかは聞きませんけど、そんな2人を見てるの、なんか嫌です!だから!早くタプヒョンと」
「わーーー!声大きい!」
謎に熱弁する彼の声は、その熱量に比例して大きくなっていく。俺は慌てて立ち上がると、彼の肩を掴んで無理やり座らせた。
「す、すみません!つい…、」
こればかりは彼を責めることはできない。むしろ可愛い弟をここまで心配させるなんてリーダー失格だ。
「とりあえず、心配してくれてありがとう。どうにかするから、スンリは見守ってて」
精一杯笑ってみせた。彼はまだ納得のいっていない顔をしながらもしぶしぶ頷く。俺はそんなスンリの顔を視界の端に追いやりながら、もう一度トップの方を見た。
「!」
ほんの一瞬、久しぶりにしっかりと目線が交わった。まさか見られてるとは思わず息が止まる。彼は慌てたように目を逸らしたあと、そのまま顔ごとあちらに向いてしまった。
(やっぱりちゃんと、話さないと)
そろそろ向き合いたい。
そしてできることなら、一歩先に進みたい。
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