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校舎裏ーー旧棟の影。
夕日が差し込む中、木々の揺れる音に紛れて、黒い影が瞬く
「……出てこないなら、こっちから行く」
楓ーー忍者名・炎熊(えんゆう)は、腰低く構えて走り出す。その手には、炎の術式が刻まれた苦無。
「焔式・疾風斬!」
投げられた苦無は火の狐を描き、茂みに突き刺さるーー
「ギギ……ッ!」
黒い影が素早く木の上へと跳ね上がる。
その姿は、人間だと思えない。全身を黒い布で覆い、眼だけがギラギラと光っていた。
「炎熊、かこまれてる」
むつるーー忍者名・光龍(こうりゅう)が背後から光の糸を広げ、サポートする。
「光術・閃縛結界」
パキィン
一瞬、空気が砕けるような音とともに、光の輪が影を取り囲む。
だが、敵はそれを力で強引に突破しようとする。
「むつる!」
「わかってる、光術・裂閃槍 」
手のひらから放たれた光の槍が、一直線に敵を貫くーー
と思われたその時、敵の影が霧のように崩れた。
「……術で作られた分身体?」
「本体は……いない」
夕闇の中に、再び静寂が戻る。
「目的は……偵察、か」
「それとも様子見。」
楓とむつるは視線を交わす
(敵が、動き始めてる)