テラーノベル
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キャプションをお読みの上、ご覧ください。
kr嫌われが起こって、その後の話です。
自傷、暴力やいじめのような描写があります。
ずっとくらい描写が続きます。
こういうお話がかなり好きです。
勢いで書いているので、続くんだか続かないんだか。
cp未定。希望があれば教えてください。
語り手が誰かは、解釈にお任せします。
「クロノアさん、ごはん持ってきましたよ」
錠付きの扉を開けて中に入ると、部屋の主人はぎこちなく笑って、ぺたりと床に座り込んだ。
「…ぁ……ありがと…う、」
誰かがここを訪れると、クロノアさんは指先が白くなるほど身体が緊張して呼吸が浅くなる。表情もこわばって、目線は機嫌を伺うようにこちらを見たり、不安そうに逸らしたり、何か粗相をしていないか考え始めてしまうと落ち着かなくて、それを隠そうとして手をぎゅっと握りしめて堪える。クロノアさんがこうなったのは、もういつからだったかも分からない。
事の発端は、仕事がうまくいかず、その原因を調べていた時に起こった事だった。度重なった任務の失敗は情報の流出が原因で、それは身内なら簡単に出来てしまう方法で、状況的に裏が取れなかったのはたった一人だけだった。_俺たちはクロノアさんを信じなかった。当時は状況や証拠が…、いや、そんなことはどうだって良い。思考を固定して、クロノアさんが陥れられている事に俺たちは気づきもしなかった。人ひとりを壊しておいて、弁明の余地なんてない。
「違う」「聞いてくれ」そう訴えていたひとが、「許してくれ」と言うようになって、俺たちが間違いに気づいた時には、もう遅かった。
彼は「どうすれば、…償える?」なんて、許されるための答えを欲しがるようになっていた。
不幸中の幸いは、皮肉にもクロノアさんを部屋に閉じ込めたことだ。おかげで俺たちは、彼を今も失わずにいる。
彼にとっては、その方が楽になれたかもしれない。外に逃げ出せていればこんな風に壊されずに済んだかもしれない。…でも、もう二度と会えなかったかもしれない。そう思うと何処までも利己的な自分に嫌気が差す。償うべきは俺たちの方なのに。
彼を部屋に閉じ込めている間、食事を渡す為に部屋を訪れる度に、何度も彼を責めた。彼が何か言うたびに首を絞めた。殴った。言葉で詰めた。彼が、こわれて何も言えなくなるまで、何度も、何度も。
クロノアさんは、壊れてしまってからも…様子はおかしいけど、これでも、落ち着いている方だ。
こうなる前の俺たちの夢を見た後はそれすら保てなくなって、「汚してごめん」「壊してごめん」「あんなことをさせてごめん」と床にうずくまって泣いて、落ち着くまで手をつけられないほどになる。
…そうでなくても最近はもっぱら、ベッドと床の行き来しか出来ていないけど。
一度、彼の思考の振り切れ方にゾッとさせられたことがある。
クロノアさんが無実に気がついて、もう手遅れになっていることに気がついてすぐの頃に、部屋に入ると自分の足にナイフを突き刺そうとしている所に出くわした。声を出さないように布を噛んで、血が必要以上に飛び散らないように足の付け根を縛って血流を制限して、手のひらサイズのちいさいナイフで。
慌てて止めてやめさせて、何をしようとしたのか聞くと彼は「解体…を、しようと…。俺は図体がでかい、から、その…、少しは、始末…の、手伝いになるかと…おもって……」と答えた。「何か袋か箱か、貰えないかな。ちゃんとそこに収まるように…、」なんて言う彼は、まるでなんで今俺がこんなにも焦って止めたのか分からない様子だった。
そんな小さいナイフで、人間が解体できるわけがないでしょう。それも自分で?ふつう考えませんよそんなこと。なんでそんな風に考えたんですか?…俺たちが………、そうしたんですね、…。
悲しくて苦しくて、涙が止まらなかった。この人をこんな風にしたのは他でもない自分なんだと自覚して、つらくて死んでしまいたかった。俺が急に泣くせいでクロノアさんが怖がっているから落ち着かせてあげたいのに、口から出るのは嗚咽ばかりで、息が詰まって苦しい。俺が何も言わないからクロノアさんもパニックになって顔を真っ青にして泣き出してしまった。
「…っごめ、…なさ…、また俺、泣かせて…、血、いやだったね…?ごめん、…おれ、どうしたら、」
「…っクロノアさん、何があっても絶対、勝手に死んだりしないでください。約束です」
「ぁ、ぇ…っ?は、はいっ…もうしません、ご、…ごめんなさい…、…」
クロノアさんがどう思ったのかは分からない。俺がどう願っているのか、きっと今の彼には上手く伝わらない。信頼を壊したのは俺自身だ。
今はただ、彼がここにいてくれれば、じゅうぶんだ。
ましゅ
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Ringoaisu。
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コメント
1件
第1話、読ませていただきました。冒頭から息が詰まるような重みのある空気感で、ぐっと引き込まれました。特に「解体しようとした」場面、クロノアさんのあまりに生々しい思考と、それを止める語り手の慟哭が胸に刺さります。自分が壊した相手を、それでも手放せない罪と執着の距離感が、とても繊細に描かれていると思います。続きを読みたい気持ちと、この苦しさにまた向き合うのが怖い気持ちと、両方あります…。