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とりあえず第1部完結です 第2部もありますので気になった方はそちらもどうぞ〜 けれど次のシリーズはホラーよりかはミステリーとか推理系になりそうです
番組は当然放送禁止となり、警察も動く非常事態となってしまった。放送禁止となったことでXで【ヤバすぎる心霊番組】とトレンド入りしてしまい、放送局も編集部も嵐のように電話がかかり、仕事に追われているんだとか
ディレクターはあの事件の後から音信不通になってしまった。
【今どこにいるんですか?】
【何か知ってることがあれば情報をください】
ここでディレクターとの連絡は途絶えている。結局何もなかったのかもしれない。そう思い込んで次の仕事を探そうと思う
「はぁ………」
今でも美香さんの衰弱しきっていた時の顔が脳裏にこびりついている。結果的に亡くなってしまったので深く探る余地もないのかもしれない…けれど
心臓から血が溶けだしてくるような不快感に毎日毎日襲われ続けた。気づけば僕はみぞおち付近の霞かがった感触と、体が軋むような苛立ちを覚えていた
頭の中は飽和しきっているのに、煮えたぎるような怒りと憂鬱感で目が冴えていたし、意識もはっきりしている。そうして意味もなく今までの人生…もといレポーターの頃の事を思い出してはっとした
ディレクターが昔言っていた言葉…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はじめまして、私は〇〇〇〇〇。好きな飲み物はココア。これからよろしくね」
「あぁ…え?はい?僕は前川陽飛って言います。不束者ですが、これからお世話になると思います。よろしくお願いします」
(なぜココア…愉快な人だな…)
ーーーーーーーーーーー
「ねぇ前川くんはさ、幽霊って信じる?」
「えぇ…あんまり信じないです。けどやっぱり昔からの言い伝え的な考えで神様を崇拝している人がいるからこそ、邪悪ななにかはいるんじゃないですか?」
「なるほど、いい考えだね。実は私、最近うっすらとだけど、感覚で幽霊の居所がわかるようになったんだよね。」
「え!凄いじゃないですか!どうやってやったんですか?」
「匂いだよ。 匂いでわかるようになったんだ。幽霊かはまだわかんないけど、薄暗くて日の当たりが悪いところ、山の中、深夜の時間帯の場所、それから……広くて不潔な場所、そこから酷い匂いがするんだ」
「いやいや…最後のに関してゴミとかの匂いでは無いんですか?」
「あははっ確かにそうかもね」
ー最初の廃校の時だってー
「もしかしたら、悪臭自体がそこにいた霊の元かもしれないし…。あとその匂いは多分洗濯しても取れない」
「そう…ですか」
悪臭が霊の元…か… 記事には悪臭の事はの載っていなかったけど…まぁいいか
ー廃トンネルの会話でもー
「あ、ありがとうございます…。あの、ディレクター」
「なに?」
「録音は出来なかったけど…でも! 凄い情報を収穫しました! 」
「そっか…それは良かった。まず、普通に帰ってきてくれたことが私としては嬉しいね。本当に前川くんがレポーターでよかったよ」
ーピエロの旅館の話でもー
「ディレクター、タバコ吸うんですね。意外です。職場では吸わないのに…」
「まぁね〜。匂いがクセになるってゆーか…タバコの匂いって強いじゃん?だから嫌な匂いだったり、気分が悪くなったりするきつい匂いだったりすると、タバコの匂いの方がマシって思うんだ。」
ー??????????ー
「あれ?ディレクター眼鏡買ったんですか?今まで視力2.0とかマサイ族並だったのに…」
「さすがにそこまでじゃないよ。けどねーうん。最近視力が落ちてきてね…」
「えぇ…そんな急に落ちます?仕事のしすぎなんじゃないんですか?それともあれじゃないですか?霊感の嗅覚持ってかれすぎて視力に影響でちゃったとか?最近編集部でうわさされてますよ?ディレクターが心霊系に走り過ぎて後に仕事辞めて霊媒師とかお坊さんになるんじゃないかって」
「あははっ確かに、それはそうかもしれないね〜?」
ー聞き込み調査許可を取る時ー
「じゃあいい情報が手に入ったら、ディレクターが知っている範囲での情報を教えてください。」
「………私が持っている情報?」
コーヒーを飲もうと手を伸ばした手が止まった。眼鏡のレンズ越しから僕の顔を鋭い目つきでじっと見つめてくる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そうだ、匂いって言っていた。あの人は自分嗅覚で霊の居所を当てていた。しかし、あの番組を始めようと言った時から徐々にディレクターの嗅覚が鋭くなっていき、それとは対照的に視力が鈍るといったことがおきていた。ディレクターは生粋のココアオタクだったのに、コーヒーといった匂いの強い飲み物を飲むようになったし、タバコも吸っていた。僕が帰ってきたということに嬉しさを感じながらも、その顔は安堵の顔というより、驚きの顔だった。
色んな情報が頭の中を混乱させてくる。スマホを開くと午後14時と示されていた。とりあえず上体を起こし、水を飲みに行った。今にも溢れ出てきそうな胸のイガイガを少しでも止めるように。
スマホで電話をかける
「もしもし?珍しいやん。久しぶり〜」
「……ちょっと探して欲しい人がいるんだ。その人今失踪中で…捕まえて話がしたいんだ。…なぁに安心しろ死んでなんかない…多分」
「えぇ〜なんかめっちゃ怖いやんそのトーン…まっ俺に任せてや!」
「……あぁまかせた」
「なんか疲れ切ってるな〜…たしか仕事放送禁止なったんやろ?色々あるかもしれんけど、俺に仕事をさせるってことなら、陽飛さんにも少なからず情報提供して欲しいんよ。やでさ、いつ会えるかだけ教えてや。」
「そうだな…明後日だったら行けるけど…暖は?探偵もどきの仕事もあるだろ。」
「探偵もどきってなんやねん!こちとらしっかり探偵として事件とか捜査に加わったりして稼いでるんやからな!」
「はいはい、それで?行けそうか? 」
「え?あーちょっと待ってね?………………うん、行けるで。どうする?俺がそっち行こうか?」
「いや、僕が大阪行くよ。出張ってなると、料金高くなるだろ?」
「いやぁ…そんな友達相手に金せがまんけどなぁ…え!?もしかしてそう思われてるん…?」
「そうかもなぁ?まぁとりあえず明後日行くわ。よろしく 」
「はえぇええぇ!!???ちょいちょいちょい!ちょっと待っt」ピロン
……相変わらずのうるささだったな
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もう秋の時期になってしまった。肌寒くもみじや銀杏がイチョウの花弁と共に地面に落ちている。銀杏特有の酸っぱい匂いが鼻腔を擽る。正直、この匂いは苦手だが、これを嗅ぐ度に秋が来たと感じさせる。 在来線改札を通り、東海道新幹線「のぞみ」号を目指す。
焼き芋を片手に僕は新幹線を待っていた
第1部 完結